勝つために…
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「真ちゃん!俺ら先帰るから!」
「じゃあまた明日!真太郎!」
学校が始まってから美桜と高尾は居残り練習をしなくなった。この二人が人事を尽くさないはずがないのはわかっている。しかし、こうも残らない日が続くと何をしているのか気になって仕方がない。このままでは集中出きなさそうなので、帰った彼らがどこに行くか緑間は追ってみることにした。といっても彼らに怪しまれないように彼らが出ていった後に帰り支度を始めるので検討をつけて虱潰しに周囲を探していった。するとふとバッシュの音とボールの音が聞こえた。訝しげにその場に近づく。
「あっれ〜?真ちゃんじゃん。どうしたの?」
足音を立てずに忍び足で近づいたのにも関わらず、いち早く高尾は緑間の姿を視界に捉えたのだ。高尾の驚きの声を聞き、美桜も同じように、振り向いた。驚く彼らの頭の中には当然のように疑問が浮かび上がっていたのだ。一体何故、彼がここにいるのだろうか?いつもなら緑間は居残り練で自分のノルマを果たすためにシュートを打ち続けているはずなのに。
「最近直ぐに帰るから何をしてるのかと思ってな...まさか別の場所でやってるとはな」
呆けている二人を置き去りにしてポツポツと緑間が話し出す。
「で、こそこそと何をやってるのだよ?」
確信を突こうとばかりに緑間は眼鏡のフレームを押し上げ目を光らせた。眼光を鋭くさせる緑間に対して、高尾はヘラっと笑みを浮かべた。
「こそこそって…普通に練習だぜ?真ちゃん」
「はぐらかしても無駄なのだよ。練習なら体育館でもできるだろ?」
ギクっと高尾は身体を強張らせると半歩仰け反った。その反応を緑間は満足気に見つめる。その様子を見た美桜はため息をつき、肩をすくめた。
「あーあ...もう少し確率上げてから見せたかったんだけど...バレちゃったのはしょうがない。真太郎...構えて」
高尾からボールを受け取ると美桜はボールをつきはじめた。暫く何か見定めるように美桜を見ていた緑間は、小さく息を吐くと彼女の前に立ち身構えた。
「行くよ!ちゃんと守ってよね」
「お前相手に手を抜くわけないだろ?」
確かに!とクスリと美桜は微笑を浮かべる。が、すぐその表情を引っ込めた。真剣な表情で美桜は目の前にいる緑間の微かに動く重心を見て、ボールを軽快に操作していった。
なに!?
気づけば緑間の視界に映るのは空に浮かぶ月、そして感じるのは浮遊感。一体なぜ?と思っているうちに地面に尻もちをつく。
この感覚には見覚えがある。だが、しかしこれを使えるのは...
ハッとして顔を上げる緑間の傍らに立つ美桜はイタズラが成功したかのような表情を浮かべた。
「美桜...こ...これは?」
「アンクルブレイクだよ?驚いた?」
「あー...驚いたのだよ」
目をパチクリし、緑間は立ち上がる。この技は赤司が繰り出していたもの。そしてこれが出来るのは彼の目があってこそだった。それを知らないうちに美桜は練習をし習得していたのだ。
「これをずっと練習してたのか?」
「それもあるけど色々とやってたかな」
なるほどなと緑間は目を伏せる。どうして今頃になって彼女がひっそりとこの練習をしていたのか瞬時に察してしまった緑間は困ったように笑う彼女に小さく口角を上げた。
「俺も...やるのだよ」
伏せられた目が再び開かれる。その瞳は強い闘志でメラメラと燃えていた。その瞳を見た二人は、わかっていたかのように顔を見合わせる。そしてクスリと笑いあった。
「なんなのだよ?」
「イヤイヤ、真ちゃんならそう言うだろうと思ってさ」
「良いけど、真太郎はこっちが先だね」
美桜は持っているボールを緑間へ放り投げた。宙で小さな弧を描いたボールは一寸の狂いもなく緑間の手に収まった。
「まだやってないでしょう?」
含み笑いを浮かべる美桜と手元のボールを交互に緑間は見た後、そうだなと小さく頷いた。そして緑間はいつものノルマを始めようとする。だがそれに美桜は待ったを掛けるのだった。
「あ...真太郎...やってほしいことあるんだけど」
先ほどとは打って変わり歯切れが悪い彼女に緑間は初手を止め、彼女に向き直った。そして、言い渋りながらも彼女の口から発せられる言葉を聞き洩らさないように耳を傾けた。だが、その言葉を聞いた瞬間...緑間、そして傍らにいた高尾は二人揃って眉をしかめるのだった。
彼女の言葉の真の意味に彼らが気づくのはずっと先である。
「じゃあまた明日!真太郎!」
学校が始まってから美桜と高尾は居残り練習をしなくなった。この二人が人事を尽くさないはずがないのはわかっている。しかし、こうも残らない日が続くと何をしているのか気になって仕方がない。このままでは集中出きなさそうなので、帰った彼らがどこに行くか緑間は追ってみることにした。といっても彼らに怪しまれないように彼らが出ていった後に帰り支度を始めるので検討をつけて虱潰しに周囲を探していった。するとふとバッシュの音とボールの音が聞こえた。訝しげにその場に近づく。
「あっれ〜?真ちゃんじゃん。どうしたの?」
足音を立てずに忍び足で近づいたのにも関わらず、いち早く高尾は緑間の姿を視界に捉えたのだ。高尾の驚きの声を聞き、美桜も同じように、振り向いた。驚く彼らの頭の中には当然のように疑問が浮かび上がっていたのだ。一体何故、彼がここにいるのだろうか?いつもなら緑間は居残り練で自分のノルマを果たすためにシュートを打ち続けているはずなのに。
「最近直ぐに帰るから何をしてるのかと思ってな...まさか別の場所でやってるとはな」
呆けている二人を置き去りにしてポツポツと緑間が話し出す。
「で、こそこそと何をやってるのだよ?」
確信を突こうとばかりに緑間は眼鏡のフレームを押し上げ目を光らせた。眼光を鋭くさせる緑間に対して、高尾はヘラっと笑みを浮かべた。
「こそこそって…普通に練習だぜ?真ちゃん」
「はぐらかしても無駄なのだよ。練習なら体育館でもできるだろ?」
ギクっと高尾は身体を強張らせると半歩仰け反った。その反応を緑間は満足気に見つめる。その様子を見た美桜はため息をつき、肩をすくめた。
「あーあ...もう少し確率上げてから見せたかったんだけど...バレちゃったのはしょうがない。真太郎...構えて」
高尾からボールを受け取ると美桜はボールをつきはじめた。暫く何か見定めるように美桜を見ていた緑間は、小さく息を吐くと彼女の前に立ち身構えた。
「行くよ!ちゃんと守ってよね」
「お前相手に手を抜くわけないだろ?」
確かに!とクスリと美桜は微笑を浮かべる。が、すぐその表情を引っ込めた。真剣な表情で美桜は目の前にいる緑間の微かに動く重心を見て、ボールを軽快に操作していった。
なに!?
気づけば緑間の視界に映るのは空に浮かぶ月、そして感じるのは浮遊感。一体なぜ?と思っているうちに地面に尻もちをつく。
この感覚には見覚えがある。だが、しかしこれを使えるのは...
ハッとして顔を上げる緑間の傍らに立つ美桜はイタズラが成功したかのような表情を浮かべた。
「美桜...こ...これは?」
「アンクルブレイクだよ?驚いた?」
「あー...驚いたのだよ」
目をパチクリし、緑間は立ち上がる。この技は赤司が繰り出していたもの。そしてこれが出来るのは彼の目があってこそだった。それを知らないうちに美桜は練習をし習得していたのだ。
「これをずっと練習してたのか?」
「それもあるけど色々とやってたかな」
なるほどなと緑間は目を伏せる。どうして今頃になって彼女がひっそりとこの練習をしていたのか瞬時に察してしまった緑間は困ったように笑う彼女に小さく口角を上げた。
「俺も...やるのだよ」
伏せられた目が再び開かれる。その瞳は強い闘志でメラメラと燃えていた。その瞳を見た二人は、わかっていたかのように顔を見合わせる。そしてクスリと笑いあった。
「なんなのだよ?」
「イヤイヤ、真ちゃんならそう言うだろうと思ってさ」
「良いけど、真太郎はこっちが先だね」
美桜は持っているボールを緑間へ放り投げた。宙で小さな弧を描いたボールは一寸の狂いもなく緑間の手に収まった。
「まだやってないでしょう?」
含み笑いを浮かべる美桜と手元のボールを交互に緑間は見た後、そうだなと小さく頷いた。そして緑間はいつものノルマを始めようとする。だがそれに美桜は待ったを掛けるのだった。
「あ...真太郎...やってほしいことあるんだけど」
先ほどとは打って変わり歯切れが悪い彼女に緑間は初手を止め、彼女に向き直った。そして、言い渋りながらも彼女の口から発せられる言葉を聞き洩らさないように耳を傾けた。だが、その言葉を聞いた瞬間...緑間、そして傍らにいた高尾は二人揃って眉をしかめるのだった。
彼女の言葉の真の意味に彼らが気づくのはずっと先である。