桐皇学園対海常(IH準々決勝)
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4ファールを取られた青峰だったが彼のキレはますますあがっていく。普通なら怖気づき消極的なプレーになってしまうが、青峰にはそんなことをする気は更々なかった。青峰が点を決めるとお返しとばかりに黄瀬は先ほどの青峰のプレーを模倣しボールを決めていく。
「黄瀬!!!」
「青峰っち!!!」
青峰と黄瀬の点の取り合いが白熱していく。
「やべーな…なんなんだよこの試合…」
その中で、ふぅーーーと大きくため息をつく高尾。高尾がこうなるのも無理はない。美桜も緊張の糸がすぐにも解けそうだった。でも、深く息を吐き椅子に座りなおす高尾を横目に見つつ美桜は一瞬たりとも二人のプレーを逃すまいとコートを真剣に見つめた。
先ほどから8点差と10点差を行ったり来たり...
展開が全く変わることが無い試合...観ている方も疲れてくるが、中にいる選手は一瞬でもぬけないこの状況、相当精神面も身体面でも疲れが感じられた。いつ、均衡が崩れるか?と思っていたらそれは唐突に訪れた。
「桜井!!」
呼ばれた桜井はとっさに振り向くが、ボールはすでに腕に当たり弾け飛んでいた。そのボールに飛びついたのは黄瀬だった。
崩れた...均衡が。
それは残り1分の出来事だった。
「これを決めれば差は...スリー二本分か」
「時間的に海常の最後のチャンスだね...そしてあの二人の最後の一騎打ち」
高尾と美桜が見つめるコート上では青峰と黄瀬の対峙する姿があった。
『どう来る?右か左か...もし俺が逆の立場なら、左フェイクからのクロスオーバーで...』
『右!』
『だから裏をかいてそこからもう一つ!』
『左...の裏をかかれたら...』
『右か?左か?』
対峙する両者はどうくるか探り合いをしていた。手の内をお互い知り尽くしてる以上、読み合いなんざ無意味...。だが、とある一つの行動をみた青峰はにやりとほくそ笑むのだった。
飛び上がりフォームレスシュートをする動作に入る黄瀬。すかさず、阻止しようと飛び上がる青峰。
「速い!これは止められるぞ!」
美桜も同じ事を思った。だが、黄瀬の考えは違かった。彼はボールを放たず、腕を下ろすと後ろへ放ったのだ。放った先には、笠松。誰もが予想だにしないパス、取れるはずがないと思われた。しかし、ボールは笠松に届くことは無かった。変わりに聞こえたのは、ボールを弾く音、地面に虚しくバウンドする音だった。
「あのタイミングで後出しのボールを取るか?普通!?」
「なんで...大輝はわかったんだろう?」
彼らの動きひとつひとつ逃すまいと固唾を飲んで見守っていた美桜達にも動揺が走った。
「ここまでよくやったが、最後の最後にヘマしたな。あのまま1on1だったらお前にも勝つ可能性があったかもしれねぇ。
あの時お前は目線のフェイクを一つ入れた。と、同時にインサイドの笠松を見た。
が、俺ならあの場面で目線のフェイクはしねぇ。
つまり、パスは一見意表をついた選択だが、逆に言えば俺の動きにない一番予測されやすい選択だ。
オレのバスケは仲間を頼るようにはできてねぇ」
なんで?と立ち尽くす黄瀬に青峰がワケを話した。その言葉を聞きながら、黄瀬の頭の中では先ほどのプレーが再現されていく。
あの時、探り合いをしてた時に黄瀬の視界に入ったのは笠松の姿だった。
パスで意表をつけたと思ったのに...逆に仇となり唯一のチャンスを逃してしまった。
この試合はもう...俺のせいで...。
目線を上げ、ゴールを意味もなく見つめていたら突然黄瀬の頭に衝撃が走った。
「切り替えろ!試合は...まだ終わっちゃいねぇーぞ!!」
彼をどついたのは笠松だった。そしてその周りには森山、早川、小堀…海常のメンバーがいた。
黄瀬は彼らを見てハットした。
なぜなら、皆の目はまだ諦めていなかったからだ。
俺が諦めてどうする!!と黄瀬は自分を奮い立たせて走り出すのだった。
『俺の勝ちだ、黄瀬。らしくない事したせいで、呆気ない幕切れだったな。結局敗因は、最後にチームメイトに頼った、お前の弱さだ。』
先程言われた青峰の言葉が黄瀬の脳内で木霊した。
確かにそうかも知んないすね。
でも、俺だけじゃここまでやれなかった。...先輩達が信じてくれた、懸命に点差が広がらないように頑張ってくれた...脳裏に浮かび上がるのは、必死な先輩達の姿だった。彼らが諦めてないのなら...俺だって諦めるわけには行かない!
「だから、負けるだけならまだしも俺だけ諦めるわけには行かないんすわ!敗因があるとしたら、ただまだ力が足りなかっただけっす!」
青峰のダンクシュートを阻止しようと黄瀬は最後の力を振り絞り飛び上がって、ボールに触れた。
力と力のぶつかり合い...力の根比べ。
負けるもんか!と黄瀬は必死に食らいついた。
だが、響いたのはゴールを鳴らす音だった。
「黄瀬!!!」
「青峰っち!!!」
青峰と黄瀬の点の取り合いが白熱していく。
「やべーな…なんなんだよこの試合…」
その中で、ふぅーーーと大きくため息をつく高尾。高尾がこうなるのも無理はない。美桜も緊張の糸がすぐにも解けそうだった。でも、深く息を吐き椅子に座りなおす高尾を横目に見つつ美桜は一瞬たりとも二人のプレーを逃すまいとコートを真剣に見つめた。
先ほどから8点差と10点差を行ったり来たり...
展開が全く変わることが無い試合...観ている方も疲れてくるが、中にいる選手は一瞬でもぬけないこの状況、相当精神面も身体面でも疲れが感じられた。いつ、均衡が崩れるか?と思っていたらそれは唐突に訪れた。
「桜井!!」
呼ばれた桜井はとっさに振り向くが、ボールはすでに腕に当たり弾け飛んでいた。そのボールに飛びついたのは黄瀬だった。
崩れた...均衡が。
それは残り1分の出来事だった。
「これを決めれば差は...スリー二本分か」
「時間的に海常の最後のチャンスだね...そしてあの二人の最後の一騎打ち」
高尾と美桜が見つめるコート上では青峰と黄瀬の対峙する姿があった。
『どう来る?右か左か...もし俺が逆の立場なら、左フェイクからのクロスオーバーで...』
『右!』
『だから裏をかいてそこからもう一つ!』
『左...の裏をかかれたら...』
『右か?左か?』
対峙する両者はどうくるか探り合いをしていた。手の内をお互い知り尽くしてる以上、読み合いなんざ無意味...。だが、とある一つの行動をみた青峰はにやりとほくそ笑むのだった。
飛び上がりフォームレスシュートをする動作に入る黄瀬。すかさず、阻止しようと飛び上がる青峰。
「速い!これは止められるぞ!」
美桜も同じ事を思った。だが、黄瀬の考えは違かった。彼はボールを放たず、腕を下ろすと後ろへ放ったのだ。放った先には、笠松。誰もが予想だにしないパス、取れるはずがないと思われた。しかし、ボールは笠松に届くことは無かった。変わりに聞こえたのは、ボールを弾く音、地面に虚しくバウンドする音だった。
「あのタイミングで後出しのボールを取るか?普通!?」
「なんで...大輝はわかったんだろう?」
彼らの動きひとつひとつ逃すまいと固唾を飲んで見守っていた美桜達にも動揺が走った。
「ここまでよくやったが、最後の最後にヘマしたな。あのまま1on1だったらお前にも勝つ可能性があったかもしれねぇ。
あの時お前は目線のフェイクを一つ入れた。と、同時にインサイドの笠松を見た。
が、俺ならあの場面で目線のフェイクはしねぇ。
つまり、パスは一見意表をついた選択だが、逆に言えば俺の動きにない一番予測されやすい選択だ。
オレのバスケは仲間を頼るようにはできてねぇ」
なんで?と立ち尽くす黄瀬に青峰がワケを話した。その言葉を聞きながら、黄瀬の頭の中では先ほどのプレーが再現されていく。
あの時、探り合いをしてた時に黄瀬の視界に入ったのは笠松の姿だった。
パスで意表をつけたと思ったのに...逆に仇となり唯一のチャンスを逃してしまった。
この試合はもう...俺のせいで...。
目線を上げ、ゴールを意味もなく見つめていたら突然黄瀬の頭に衝撃が走った。
「切り替えろ!試合は...まだ終わっちゃいねぇーぞ!!」
彼をどついたのは笠松だった。そしてその周りには森山、早川、小堀…海常のメンバーがいた。
黄瀬は彼らを見てハットした。
なぜなら、皆の目はまだ諦めていなかったからだ。
俺が諦めてどうする!!と黄瀬は自分を奮い立たせて走り出すのだった。
『俺の勝ちだ、黄瀬。らしくない事したせいで、呆気ない幕切れだったな。結局敗因は、最後にチームメイトに頼った、お前の弱さだ。』
先程言われた青峰の言葉が黄瀬の脳内で木霊した。
確かにそうかも知んないすね。
でも、俺だけじゃここまでやれなかった。...先輩達が信じてくれた、懸命に点差が広がらないように頑張ってくれた...脳裏に浮かび上がるのは、必死な先輩達の姿だった。彼らが諦めてないのなら...俺だって諦めるわけには行かない!
「だから、負けるだけならまだしも俺だけ諦めるわけには行かないんすわ!敗因があるとしたら、ただまだ力が足りなかっただけっす!」
青峰のダンクシュートを阻止しようと黄瀬は最後の力を振り絞り飛び上がって、ボールに触れた。
力と力のぶつかり合い...力の根比べ。
負けるもんか!と黄瀬は必死に食らいついた。
だが、響いたのはゴールを鳴らす音だった。