お出かけ
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「笠松さん、買えたのかな?」
「どうだろうな?もしかしたらまだ買えてねぇーんじゃねぇーの」
「買っとけば良かったね」
「そりゃあ無理だろ!!サイズわかんねぇーじゃん!」
「あ...そっか」
無事に高尾はバッシュをゲットしていた。そしてそのモデルを偶々気に入ってしまった美桜もついでに購入していた。目的の物を購入し二人はブラブラと見回る。
「あれ?」
ふと高尾が足を止める。そこはキャンプグッズが置かれているアウトドアコーナーだった。
「どうしたの?」
「あれ、黒子と火神じゃないか?」
高尾は指を指す。その方向に美桜は目を向けた。そして彼らの姿を確認した美桜は頭を抱え込んだ。
「…なにしてんだか」
「ちょっと行ってみるか?」
それに反して高尾は面白いものを見つけたかのように笑みを浮かべ始める。
「もーだめだ!昨日の往復ダッシュよりしんどいぜ」
ぜぇぜぇと荒い息をする火神は現在位置を確認すると、げんなりとした表情を浮かべた。
「俺、バッシュ買いに来ただけなのに…」
火神は大きく肩を落とす。そんな彼の肩が軽く叩かれる。ハッとした火神は慌ただしく振り返るのだが、目の前にいた彼らに拍子抜けしてしまった。
「よっ、火神に黒子」
「あれ?美桜さんに高尾君」
「…なんでお前らがここにいるんだよ」
彼らの背後にいたのは満面な笑みを浮かべる高尾と、若干疲れが見られる美桜だった。気づけなかったことに驚く火神と黒子。だが、今彼らと呑気に会話している場合ではない。
「すみません、今取り込み中で…」
「黄瀬に追われてるんだろ?
つくづく大変だな?お前ら」
高尾の言葉に黒子と火神は意表を突かれる。が直ぐに火神は険しい顔つきになった。事情を知っている彼らをこのまま野放しには出来ない。
「お前らちょっと面貸せ」
「「えっ!?」」
急に火神に美桜と高尾は腕を掴まれる。呆気にとられる二人を他所に火神は黒子が隠れ場所として見つけた場所へと彼らを放り込んだ。
「「うわぁぁ」」
いち早く投げ出された高尾に抱きつくかのように美桜の身体は投げられる。高尾は咄嗟に両手を広げ彼女の身体を受け止めた。
「「!?!?」」
ホッと安堵する両者。だが、この体勢に気づき顔を見合わせた二人は固まった。その間に火神と黒子もその中へ。そして黒子によりジッパーが閉められ、中は暗くなった。
「おい、狭くないか?」
「火神君が大きすぎるんです。
我慢してください。」
彼ら4人がいるのはテントの中。高尾の上から退こうと思った美桜だが、あまりの狭さに座るスペースがすでになかった。申し訳なさそうに美桜は彼の胡坐の上に身体を縮こませて収まっていた。
「たく、いきなり投げるなよな
あぶねーだろ!」
「仕方ねーだろ?
あんなとこにいたら黄瀬に見つかる。」
「結局なんで二人は逃げてるの?」
この場が暗くて本当に良かったと美桜と高尾は思う。今のこの表情は誰にも見せられない。それくらい彼らは密着する体勢のせいで顔を真っ赤に染まっていた。このことを指摘されたくない。彼らはこの状況を棚に上げて、黒子と火神の事情を尋ねた。
「…実は」
黒子は訳を話す。この前の試合で壊したゴールの弁償をさせられるかもしれず、海常から逃げ回っていると。
「え、なに?火神、他校のゴールぶっ壊したんかよ!」
「ぶっ壊したんじゃね、ぶっ壊れたんだ」
「どっちも一緒じゃない」
今にも豪快に噴き出しそうになるのをかろうじて堪える高尾に火神がジト目を向ける。が、意味合い的にはどちらも一緒だろうと美桜は遠い目をしていた。
「おかしいなぁ。
俺の勘だとこの辺だと思うんすけど」
「どんな勘だよ」
「やばい!捕まる!50万払わされる!!」
「落ち着いてください
外からは見えませんから」
一方、彼らを追いかけてきた黄瀬は驚異の勘でテントの前に辿り着いていた。キョロキョロと辺りを見渡す黄瀬。その近くでは笠松が呆れた眼差しを向けていた。そんな二人の登場に火神は顔を青ざめていた。が、これは火神の早とちりだったと外にいる黄瀬と笠松の会話から判明するのだった。
例のこと忘れてないっすよね?
黄瀬が発したその言葉の真意はリベンジのことだった。が、火神はこれを弁償のことだと勘違いしてしまった。弁償の件は、もうとっくに解決していたのだった。
「うそ!!そんな理由であの二人に逃げられてたんすか!!」
真相に黄瀬が悲鳴を上げる。その悲鳴が聞こえるテントの中では火神が納得していた。が、散々振り回された黒子はジト目で火神を睨みつけた。
「そんな目で見るなよ。
万事解決じゃねーか。」
「…別に」
不服げに黒子はそっぽ向く。そんな彼らに美桜と高尾は苦笑いしていた。これで1件落着。皆がそう思った。が、一難去ってまた一難。新たな面倒事に彼らは巻き込まれてしまうのだった。
お客様に申し上げます。
突如館内放送が鳴る。その放送は、バッシュの完売を知らせるものだった。バッシュを目当てにデパートに来ていた笠松は、向かおうとした足を止めざる終えなかった。
「黄瀬ぇ」
腹の底から湧き上がる怒りは無論、黄瀬に向けられた。地響きかのような低い声に呼ばれた本人はビクッと恐怖で身体を震わせた。
「あ、はい」
「テメェのせいで買い損ねたじゃねーか!!
喰らえ!ドロップキック!!」
急に片言になった黄瀬に向け、今までの鬱憤を全てぶつけるかのように蹴りを繰り出した。
「うわぁぁぁぁ!!」
渾身の蹴りを喰らい黄瀬は背後にあったテントへと倒れ込む。その衝撃でテントは崩壊。中に居た4人は突然の出来事に絶叫を上げた。
「イテテ…
美桜ちゃん平気か?」
「うっうん」
咄嗟に危険を察知した高尾が覆いかぶさってくれたことで美桜はほぼ無傷で済む。だが他の3人は多少なりとも被害を受けていた。
「…今なにか声が聞こえたような」
不思議に思った黄瀬はテントの布をどかし始める。
「つかなにこれ!?なにこれ!?
テントの中に誰かいる!?」
「なにすんだよ!いてぇだろ!!」
バサッと黄瀬は剥ぎ取る。するとずっと探し求めていた人物がそこにいた。
「なぁ!?」
「火神君、早く出てください。つかえてます。」
「うるせーな」
「おい火神!早く出てくれ!
マジで潰されそう!」
「黒子っちに火神っち!!
それに高尾君にみおっち?!」
「そんなところに隠れていたのか…
ってなんでお前らもそこにいるんだよ」
「いやぁ、巻き込まれちゃいまして」
テントから出てきたメンツに二人は目を白黒させる。その彼らの前に這ってでてきた高尾と美桜は苦笑いをするのだった。