お出かけ
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「よし、着いたぜ」
高尾は目的地の前で足を止めた。用があったのは渋谷の南部デパート。高尾の目的は、80%オフで販売される限定モデルのバッシュを手に入れることだった。
待ちに待った日。あと少しで手に入るバッシュに心躍らせる高尾。その隣では美桜が恥ずかしそうに身体を縮こませていた。
「高尾君、そろそろ...手」
「....うわぁ~ゴメン!」
指摘されたことでようやく高尾は手を離していないことを思い出す。慌てて高尾は彼女の手を離した。
ようやく緊張感から解放された美桜は深く深呼吸をした。さきほどティッシュ配りをしていた人が配っていたチラシに目を通す。
「...10階のスポーツコーナーだっけ?」
「そうそう」
確認するように尋ねた美桜に高尾は嬉しそうに頷いた。
*****
「うわぁ、流石に賑わってるね」
エレベーターで10階へ。スポーツコーナーはすでに長蛇の列ができており、2人は慌てて列に加わった。が、暫く絶たないうちに彼らは名前を呼ぶ声が呼ばれる。その声に二人は不思議そうに顔を見合わせる。キョトンとしながらも二人は後ろを振り返る。するとそこには海常の笠松がいた。
「あれ?秀徳の高尾と神田じゃないか」
「え?笠松さんじゃないですか!!」
「お久しぶりです」
「おー、二人共お好み焼きぶりだな」
「いやーあんときは色々すんません」
「気にすんな。それよりお前らも...」
「そうなんすよ!限定モデル目当てできたんですよ!」
「そうか!」
楽し気に高尾と笠松がテンポよく話を進めていく。そんな二人を横目に美桜は不安そうな表情を浮かべる。
まさか嫌われてる!?
何か害してしまうことを笠松に対してしてしまっただろうか。美桜は記憶を必死にたどる。が、彼との接点はほぼない。美桜は全く思い当たる節が見当たらなかった。
長蛇の列はどんどん伸びていく。その列めがけて、遠くからドタドタと走ってくる足音が聞こえてくる。その音はどんどん近づいてくる。デパートで走るひとなどあまりいない。美桜らは不思議そうにその方向に目を向ける。するとゼイゼイと盛大に息を荒げて走り寄ってくる黄瀬がいた。
「おい、黄瀬!早く来いよ。売り切れちまうだろ」
「あれ?みおっちじゃないすか!」
笠松が黄瀬を呼ぶ。呼ばれた黄瀬は速度を落とすと彼らの前で立ち止まった。そんな黄瀬の視界に真っ先に飛び込んできたのは私服姿の美桜だった。
「涼太?」
「みおっちの私服姿久々に見たっす!
似合ってるっすよ」
「ありがとう」
「ちょっおい!俺もいんだけど!」
「あ...高尾君もどうもっす」
高尾に目をくれることなく黄瀬は美桜に話しかける。それに割って入る高尾だが、あっさりとした挨拶をされるだけで留まった。
「黒子っちきてないすか?」
黄瀬はお目当ての人物がいないことに気づくと辺りを見渡し始める。
「テツヤ?来てないけど?」
「おかしいな...限定モデルが目的じゃないのか?」
「どうやらバーゲンのことあいつら知らなかったぽいぞ」
「えー、だったらなおさらわかんないすよ火神っちはともかくなんで黒子っちにまで避けられなきゃいけないんすか。泣きそうっすよ」
「知ったこっちゃねえ」
肩をガクッと落とす黄瀬を笠松は呆れかえった表情で見る。が、事情を知らない美桜と高尾は全く話が見えず呆けていた。
そんな二人を他所に黄瀬はメラメラと闘志を燃やし始める。
「こうなったら意地でも捕まえてやるっす。キャプテンも手伝ってください!アイツラなんかとんでもない秘密を握ってるのかも知らないっすよ!
絶対暴いてやるっす。
さぁ!はやく!!」
黄瀬は笠松を急かすと勢いよく駆け出した。
「キセキの世代ってみんなこんななのか?」
小さくなる黄瀬の背を見ながら笠松は大きくため息を吐きだす。その体からはめんどくさいオーラが滲み出ていて、美桜らは苦笑した。
「すみません。あんなのばっかりで」
「はぁ...しゃあねぇーな行くか。じゃあな二人共」
笠松は渋々としかたなく後を追いかける。その背を見送った後、場が静寂さする。さっきまで騒々しかったのがまるで嘘のように。
「なぁ...今のどういうことだ?ってか黒子と火神も来てるんだな」
ようやく口を開けられた高尾が疑問を言葉に出す。美桜は考えたくないと頭を抱え込んでいた。
「...みたいだね。で、二人は逃げてるらしいね。
はぁ、デパートまで来てなにしてんだか」
「まぁそう言うなって。でも黄瀬に振り回されてる笠松さん不憫だな」
「高尾君だって真太郎に振り回されてるでしょ」
「違いねぇーな」
笠松を不憫に思う高尾。しかし、それは緑間に振り回されている高尾にも言える言葉。それをずばり指摘した美桜と、言われた高尾は
二人顔を合わせるとクスクスと笑いだすのだった。