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「さぁ、やろう!!」
勉強に区切りをつけ美桜は高尾を連れてある場所に向かう。そこは馴染みのバスケットコートだった。
着いた途端美桜はボールを突き始める。その彼女の楽しそうに笑う美桜の瞳の色を見て、高尾は嬉しそうに目を細めた。
「おっ!今日は本気モードだしてくれるの?」
「もっちろん」
美桜の今の瞳の色は緋色だったのだ。一度対戦したがその時は手を抜かれていた。今度は本気の彼女と対峙できる。高尾ははやる心を落ち着かせようと深呼吸した。
「よっしゃ!!どっからでもこい!!」
「じゃ遠慮なく」
ギラギラな獰猛な瞳を見据え美桜は口元を緩める。そして、ギア全開で駆け出したのだった。
これが本来の美桜ちゃんのバスケか...すげぇ...
高尾は肌で感じる美桜のバスケに痺れていた。
バスケコートを華麗に舞い、変幻自在・自由自在に動き回る「絢爛豪華な疾風のドリブラー」。その異名通りのバスケスタイル。彼女はコート全体を意のままに風のように駆け回っていた。
ホークアイでコート全体を見渡せても彼女を捉えるのは至難の技。それほど彼女の動きは素早かった。
それ以上に高尾は目を目を見張ったことがあった。彼女の一つ一つの動きは繊細なのだが、リズムが読めないのだ。想定して動いても、彼女は予想外の動きをする。そんな、型にはまらないプレーをする彼女の動きは滑らかだった。それ以上に生き生きとバスケをする美桜は高尾から見て新鮮だった。
もっと見ていたい
この時間がずっと続けばいいのにと高尾は思うのだった。
*****
気づけば夕方、日が傾いていた。
夕方まで彼らは無我夢中でボールを追いかけていたのだ。
「そろそろ終わりにしよっか?」
美桜は汗を拭うと手に持っていたボールを浮かせるように放り投げた。適当に放り投げられたと思われるボール。だが、そのボールはゴールへと吸い込まれたのだった。
「すげぇよ!あれ入れちゃうのか?」
「楽しくなっちゃうとつい癖でやっちゃうんだよね」
呆気に取られていた高尾だったが、彼女が意図してやったことだとわかると目を輝かせた。そんな彼に美桜は照れくさそうに笑った。
「今日はいいもん見せてもらったわ、あんがとな!美桜ちゃん」
「こちらこそ...ありがとう。またやろうね?」
「おう!!」
屈託のない笑顔の高尾に、嬉しそうに美桜は微笑んだ。
ホントに楽しかった。
バスケするのがやっぱり私は好きだ。
こう思えたのも、高尾君のおかげだ。
美桜はふと視線を彼にやる。すると高尾はゴールドリングの前で考え込んでいた。
「さっきのあれどうやったら入るんだ…」
ぶつぶつ呟きながら、ボールを試しに放り投げ始める高尾。その姿に美桜は自然と笑みがこぼれた。
アイツともまたバスケできたらいいのに…
太陽が沈みかけ茜色に染まる空を晴れやかな心地で美桜は仰ぎ見るのだった。
*****
「なんなのだよお前ら!この点数は!?」
後日、美桜と高尾は腕を組み仁王立ちする緑間の目の前で正座せざる負えない状況に追い込まれていた。
勉強会をしたのは試験前日。その日に叩き込む予定が、結局彼らはバスケをしてしまった。その結果、彼らは緑間の逆鱗に触れる結果を叩き出してしまったのだ。
「真ちゃん、実は…」
「えっと…これはですね…」
「なんだ?お前ら、言い訳する気か?」
かろうじて口を開く高尾と美桜。だが、ギロッと緑間が睨んだことで二人は口を噤んだ。
「人事を尽くしていないからこのような結果になるのだよ!
少しは反省しろ」
ご立腹な緑間の説教は暫く続く。
顔を上げられない美桜は伺うように隣を見る。すると高尾も伺うように美桜をチラ見していた。美桜と目があったと気づいた高尾は軽くアイコンタクトをとる。だが、その一部始終はガミガミと説教する緑間の目にしっかりと入っていたのだった。
「…イテッ!」
突如走る鈍痛に高尾は頭を抑え顔を上げる。すると無表情に見下ろす緑間の左手には玩具の小槌が握られていた。
「…高尾、反省の色がないのだよ」
「わっ悪かったって!
ってかなんで小槌?!」
「今日のラッキーアイテムなのだよ!」
タイミングよく持っていた小槌を緑間はリズムよく振り下ろす。それに耐えきれずたまらず高尾は立ち上がり逃げ出す。それを追いかけようとする緑間。だが、視界の端に捉えた美桜を見て彼は小さく息を零した。
「…イテ」
「お前もなのだよ、美桜」
一回軽く落とされる小槌。美桜は頭を抑えながら彼を見上げると、エヘヘと小さく笑う。そんな美桜を見て緑間は小さく口元を緩めるのだった。