インターハイ予選後
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OKONOMIYAKI
誠凛対秀徳戦が行われた近くのお好み焼き店。そこには、観戦しに来ていた二人の青年がいた。
「すみませ~ん」
「いらっしゃい..あれ?お客さん多いね〜」
「11人なんですけど...」
店の引き戸が開き、ぞろぞろと人が入ってくる。その人物達に見覚えがあり、入り口が見える位置にいた1人が食べる手を止めた。
「お?」
「ん?」
そんな彼を不審に思うと正面で食べていたもう1人が訝しげに後方に背を向ける。
「黄瀬と...笠松!?」
入ってきたメンバーの1人が彼らを見つけ声を上げた。
「呼び捨てか!おい!!」
「うぃーす」
店に居たのは海常高校の笠松と黄瀬。そして、入店してきたのは王者との2連戦を終えた誠凛メンバーだった。いち早く気づき声を上げた火神に、笠松は噛みつくように声をあげ、黄瀬は軽く手を上げた。
「なんで相席なんすか?」
トントン拍子に進んだ展開に黄瀬は眉をひそめた。
11人という大人数できた誠凛メンバーに困り果てていた店主が彼らが知り合い同士だと気づき、相席を頼み込んだのだ。こうして黄瀬の隣には黒子が、笠松の隣には火神が座り、同じテーブルを囲む状況になったのだ。
「そして火神っちなんでドロドロだったんすか?」
「あぶれたんだよ..
泥はほっとけよ、あと火神っちってつけんな」
火神は不機嫌そうに答える。
無理して跳び続けた火神は体力の限界を遥かに超えており、一歩も動けない状態に。そんな火神を運ぶために、ジャンケンで負けた黒子が背負うことに。だが当然、黒子が背負えるわけがなく、黒子は火神を引きずる形で運んだのだ。
「食わねぇーと焦げんぞ」
黙々と食べていた笠松が鉄板にあるもんじゃを指した。不思議げに火神を見ていた黄瀬は、その声にそれもそうだと手を伸ばそうとする。がその時、新たな入店を知らせるように引き戸が開かれたのだった。
「すみませ~ん...おっちゃん..3人..
空いて...」
真っ先に入ってきた1人の青年がそこにいる異様なメンツに、言葉を失っていた。
なんでここに…
目を疑うように高尾は店を見回した。
「どうしたの?」
先陣を切り引き戸を開けた高尾がうんともすんともしない。それに不思議に思った美桜が背後から顔を覗かせた。
「…みおっち!!」
高尾の背後から現われた美桜に気づいた黄瀬は目を輝かせた。そんな彼に対し、この状況に気づいた美桜は高尾同様固まっていた。
なんという顔ぶれ..そして何故海常がいるの?
先程まで死闘を繰り広げた誠凛がいるのはわかる。だが、神奈川である海常がどうしてここにいるのかは理解に苦しんだ。
「なんでお前らここに?つか他は??」
固まる両者と同様、店に居たメンバーも驚いていた。その中、硬直からいち早く脱したのは日向。彼は、一同を代表して啖呵を切ったのだ。その声に高尾はヘラッと表情を崩した。
「いやー真ちゃんが泣き崩れてる間に先輩達とはぐれちゃって...
ついでに飯でも的な?」
冗談交じりに答える高尾。だが、一番最後に店を覗き込んだ緑間はムッと表情を強張らせた。
すると隣りにいた真太郎は今の発言で不機嫌さがさらに増したらしく
「店を変えるぞ」
「おい!!」
緑間は一言そういうと踵を返し暖簾をくぐり外へ。そんな不機嫌さを滲み出す緑間を追いかける形で高尾も外へ出ていってしまう。
えッ…
1人残される形になってしまった美桜は、一斉に集まる視線に愛想笑いを浮かべた。
急いで二人を追いかけよう…
この空気に耐えられない。美桜はこの場から退散しようとする。
「ドタバタしててすみません...いつものことなんで...
では失礼します」
美桜はお辞儀をして、彼らに背を向け、引き戸に手を掛ける。だが、ザァーーと激しい雨の音とガタガタとドアを揺らす風の音が聞こえ思わず美桜は躊躇した。
ガラッ!
手を止めた美桜の目の前で、引き戸が再び開いた。そこには、先程の突風と雨によりずぶ濡れになった高尾と緑間がいた。
「…ッ、アハハハ!!」
ビショビショな彼らに、美桜は表情を崩した。
「…笑うな、美桜」
「だっ…だって!!
運なさすぎ」
笑いを抑えきれない美桜。そんな彼女が発した一声に図星を突かれた緑間はジト目を彼女に向ける。
ホント運ねーよ
こうなるなら追いかけなければよかったと、げんなりとする高尾。だが、目に止まったある人物に気づくと大きく目を見開いたのだった。