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「あちらさんはまずなんとか緑間を止めに来るよね...
いくつかパターンあるけど...どうしようかなぁー」
「監督」
考え込む監督を顔を上げた緑間が呼ぶ。呼ばれた中谷は真剣味を帯びる緑間を見た。
「第2クウォーター、全部俺にボールください」
「何言ってるの!!真太郎!!」
緑間が中谷に放った突発的な言葉。それに対し、一同は顔を引き攣らせた。
「監督〜こいつ殴ってもいい?」
「宮地、パイナップル投げるか?うち八百屋だし」
「どんだけ唯我独尊だよ!まじそれ好き!!」
唯一高尾だけはお腹を抱え軽快に笑いながら、緑間の肩を叩いていた。
「どんな手で来ようが全部俺が叩き潰す」
周囲の反応お構いなく、緑間はジッと監督を見上げていた。
「うーん...よし。
今日のワガママ3回分で手を打とう」
「マジすか、監督!!」
「わかってるだろうな?俺もうギリだぞ。監督が言うならしょうがない、前半は好きにしろ...
ただし負けたら」
中谷の判断に一同は声を上げた。だが、監督の判断なら仕方がないと渋々と受け入れた。
緑間真太郎はバスケに対しては確かに凄く真剣に向き合っている。だが、彼にはチームプレーの欠片もない。入れられるボールがあればどんなものも自ら取りに行く。
そんな彼の...
いや、キセキの世代の今のバスケスタイルは嫌いだ
美桜は嫌悪感を滲ませた眼差しを密かに向けていた。
*****
「その程度の奇策で怯むと思うか?」
開始早々、緑間を止めようと黒子が立ち塞がる。が、驚くこともせず緑間は楽々と黒子をかわした。
残念…
この策はこの前しっかりと見させてもらったよ
抜けようとする緑間に黒子は手を伸ばす。が、想定していた美桜は第2クォーター開始直前に彼に密かに耳打ちしておいたのだ。
この間黄瀬に対して仕掛けたバックチップを繰り出そうとする黒子。だが、黒子の背後には気配を消して彼が迫っていた。
「おいおい...
後ろからとかなんて野暮なことしなさんない」
高尾君
真太郎にテツヤがついたら、バックチップに警戒して
緑間に野暮なことをするなと言われるだろうが、何重にも網を張っておいて損はない。先読みしていた美桜の耳打ちに小さく頷いた高尾により、黒子と火神の連携は崩された。
「余計なことするな、高尾」
「照れんなって」
1人でも対処できたと点を決めきった緑間がフォローした高尾を一瞥する。そんな彼の扱いに慣れてきていた高尾は小さく笑みを溢した。
その後、高尾が黒子のパスをことごとく止めていく。誠凛の攻撃は黒子のパスが機能せず足踏み状態に。一方の秀徳は緑間の3Pシュートで確実に点を積み上げていった。おかげで点差は開く一方。だが、役回りが回ってこない大坪達は心底退屈だった。その彼らの姿に美桜の胸は痛いほど締め付けられた。
ボールを受け取ったらひたすら打ち続ける緑間。そんな彼をぼんやりと見つめていた美桜はふとある記憶を辿っていた。
それは部活の帰り道、コンビニに寄った後の出来事だった。
「一番カッコイイシュート??そりゃダンクっすよ!
やる方も見る方も一番スカッとするじゃないっすか?」
ソフトクリームを食べていた黄瀬が喰い付くように目を輝かせて答える。そんな彼の答えをバッサリと緑間は否定した。
「だからお前はだめなのだ。より遠くから決めたほうがいいに決まっているのだよ。なぜなら3点貰えるのだから」
「緑間君って頭いいのにたまにアホですよね?」
「っん!?何!!」
「黒子っち...ストレート」
その緑間の考えに、ボソッと傍にいた黒子が本音を漏らす。その言葉に緑間は思わず黒子を睨む。
「2点ずつと3点ずつとでは多いほうがいいに決まっているだろ?」
「子供ですか?」
「ふん!シンブルだからこそ心理なのだよ。
いずれ俺が証明してやろう...」
緑間の3Pシュートへの執念は昔から半端がない。その執念深さが彼の才能を開花させ、どこからでも打てる超人的なシューターへと成長させたのだろう。
そういえばあの時私はどう答えたのだろう?
目前の相手を振り切ってゴールに切り込むのも、外から3Pシュートを決めるのも美桜は好きだ。だからこそ一番カッコいいシュートは?と聞かれた時、自分は悩みに悩みまくったに違いない。
もし私が答えていたのだとしたら…
思考を巡らせていた美桜は浮かび上がった1人の青年の残像を消す。だが、美桜の目の前では背筋が凍る事態が生じていた。思わず目の当たりにしたbの思考は停止していた。その美桜の視界の先のコート内では、火神が不敵な笑みをこぼしていた。
強者を目の当たりにして怖がることをせずに猛獣のように果敢に噛みつかんばかりのオーラが滲み出ていた。彼が放つ好戦的以上に異様な威圧感に美桜はとても恐ろしく感じた。
酷似して見えたのだ、あの時の彼に…
いつもと違う火神のオーラに黒子自身も嫌な予感を感じざる負えなかった。悪い予感を抱いた彼らの瞳の奥は不安げに揺れていたのだった。