インターハイ予選
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予選最終日、コート上には4校が整列していた。
誠凛高校
正邦高校
秀徳高校
銀望高校
今回、緑間と高尾の1年コンビは試合に出てすぐベンチに下げられていた。だが、そんな彼らが注目していたのは誠凛と正邦の試合だった。無論美桜自身も気になって目をやっていた。本来ならば目の前のチームの試合をしっかり見ないといけないのだが。
「おいおい...誠凛一年コンビ引っ込めちまったぞ。」
高尾が小さく驚いた声を上げる。その声に美桜は気づくとハッと目線を奥のコートに向ける。すると、高尾の言う通り火神と黒子がベンチに戻る姿を捉えられた。
「いや、むしろ逆だあの目は...」
高尾同様、奥で行われている試合を見ていた緑間が目を鋭くする。
確かに、誠凛2年の目は死んでいない
緑間同様、美桜も眼差しを尖らせた。1年生コンビをベンチに引っ込めた誠凛サイドのプレーには意地でも追いつくという闘争心が滲み出ていた。
なるほど、あくまで標準は私達ってことね
美桜は内心笑みを浮かべた。
誠凛はこの試合を諦めていない。正邦相手に黒子・火神を温存する作戦に打って出たのだ。
「二人共見る試合違うからね」
思わず美桜は拳骨を落としたくなる衝動に駆られる。が、こんな彼らでも大事なスタメンだ。寸前でギリギリ耐えた美桜は大きく溜息をつくのだった。
そして、ホイッスルが鳴り響く。
73対71で誠凛高校が、113対38 で秀徳高校がそれぞれ勝ち上がった。
その結果、決勝は秀徳高校と誠凛高校の対決に決まった。
「お疲れ様です!!」
「こっからまた休憩を挟んで決勝戦って、どんだけバスケ好きなのよ俺ら...」
試合に出てた選手に美桜は声をかける。その傍では立ち上がった高尾が大きく伸びをする。そして、大きく息を吐きだすと緩やかな表情を一変させ、ダークブルーの瞳を尖らせた。
「でも良かったじゃん...来たぜ」
「見ればわかるのだよ」
言われるまでもない。緑間の目線はすでに自分たちより遅れて試合が終わった奥のコートに向けられていた。遅れて美桜も目線を向ける。すると火神達もこちらに鋭い視線を向けていて、お互いガンをとばしている形となった。
楽しみ半分、
何が起こるかわからない恐怖半分。
でも大丈夫だよね...
美桜は複雑な感情を抱きながら、傍にいた高尾を横目で見上げていたのだった。
*****
「相手が虎であろうと兎であろうと、獅子のするコトは一つ。
全力で叩き潰すのみだ!
いつも通り勝つのみ!!」
ベンチ前で円陣を組むスターティングメンバー。その中の一人である大坪の声が響き渡る。それに他のメンバーが呼応し声を上げると、各々コートへと駆け出す。
「まさか、本当に勝ち上がってくるとは思っていなかったのだよ。」
黒子と向き合った緑間は開口一番に驚きを口にする。が、緑間は眼鏡を押し上げると、冷たい眼差しで黒子を見下ろした。
「だが、ここまでだ。
どんな弱小校や無名校でもみんなで力を合わせれば戦える。
そんなものは幻想なのだよ。
来い!
お前の選択がいかに愚かか教えてやろう。」
「誠凛は決して弱くはありません。負けません。絶対。」
そんな緑間から黒子は決して視線を逸らすことせずに彼を見上げていた。
「あれ?挨拶は黒子君だけでいいのかよ?火神は?」
整列を終えそれぞれ持ち場へ行く中。目の前にいるにもかかわらず直ぐに背を向けた緑間を高尾は不思議気に見上げた。
「…必要ない」
足を止めた緑間は蔑むような目線を背後に向けた。
「あんな情けない試合をする奴と話すことなどないのだよ。
もし言いたいことがあるようならプレーで示せ」
「…同感だね
思い出すたび自分に腹がたってしょうがない」
反吐が出ると吐き捨てる緑間。その言葉に火神は言い返す言葉もなかった。そんな火神はフラストレーションが溜まりに溜まっていた。だからこそ早く試合をしたくてウズウズとしていた。
「全部闘争心に変えて、テメェーを倒すためにためてたんだ…
もうこれ以上…抑えらんねーよ」
「なんだと??」
ギラギラと闘争心を燃やす火神。そんな彼を緑間は鋭い視線で睨みつけた。
「やれるもんなら…やってみろ」
そしてホイッスルが鳴り響き、戦いの火蓋が落とされた。