インターハイ予選前
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おい高尾…」
「はっ…はい!!」
IH予選前のミーティング前、高尾は体育館の床に正座をしていた。その彼の目の前では凶悪な面持ちを浮かべる宮地と木村がいた。
「どうやらよほど轢かれたいみたいだな
木村、パイナップル」
「あるぜ!ほら!!」
事の顛末を聞き終えてから宮地はずっとこの状態だ。よほど頭にきたのだろう。宮地は額に青筋を浮かべながら黒い笑みで拳を鳴らす。そんな彼を真正面に高尾は冷や汗をかいていた。そんな彼に追い打ちを掛けるかのように、目の前に大きなパイナップルが現れる。
「げぇっ!!なんでパイナップル持ってるんすか!!」
「俺の家、八百屋だからな」
「いやいや!八百屋だとしてもおかしくないっすか!!」
どんどんと青ざめていく高尾を置き去りに、パイナップルが宮地の手に渡った。
「ちょっ!待っ!!」
「誰が待つか!!」
ギャァァァ!!
「…そろそろ止めたほうがいいか?」
「いえ、もう暫くこのままにしておきましょう」
「自業自得なのだよ」
悲鳴を上げる高尾。
そんな彼らを遠巻きに見ている3者は、大坪こそ心配そうに見ていたが、美桜と緑間はこの結果は当然だと云わんばかりに止める気など更々なかった。
もっと懲らしめたほうがいいのでは?
今回の1件で二人は誤魔化すことが上手い高尾をもっと疑うべきだと学んだのだった。
「宮地、それくらいにしときなさい」
終止符を打ったのは中谷の登場。そして中谷は、鶴の一声で宮地の行動を止めると、高尾を一瞥する。
「高尾、ミーティングが終わったら外周行ってこい」
「へぇ?!」
「…いいね」
「はっはい!!」
有無を言わせない監督の一言に高尾は背筋を伸ばし答えた。それを確認した中谷は招集をかけた。
「IH予選リーグのトーナメント表が出た。我が校は4回戦からだ。」
東京都は出場チームが多いためA~Dの4ブロックに分かれている。そのブロックで頂点に立った1チームが決勝リーグに進出できる。そして1IHに出場できるのは決勝リーグ上位3チームだ。
「今回のブロックの難敵は、順当に行けば北の王者の正邦だろう。
残りの日数更に気を引き締めるように...」
「はい!!」
一同が声を上げる。
監督の言う通り、順調に行けば正邦高校が対戦相手だろう。
美桜は目を通したときの記憶を思い起こす。
正邦高校のブロックにいたのは誠凛高校だ。
もし仮に彼が更に成長を遂げていたら…
美桜は密かに口角を上げた。
番狂わせが起こって、誠凛と決勝で当たる可能性がある…
久々の高揚を美桜は覚えていたのだった。
「美桜…」
ミーティングを終え、高尾は言われたとおりに外周へ。その後ろ姿を目で追っていた緑間は、美桜の名を呼んだ。
「ん??」
「一応言っておくのだよ…」
不思議そうに顔を上げた美桜に緑間は口を開く。
青峰と桃井は桐皇高校なのだよ
もしかしたら決勝リーグで当たるかもしれないな
美桜は突きつけられた現実に目を瞬かせるのだった。
*****
「なぁなぁ真ちゃん!美桜ちゃんって怒ると怖いの?」
「.....」
散々な目にあった高尾は帰路につく頃にはケロッとした顔に戻っていた。そんな高尾は、隣りにいる緑間を覗き込む。すると、すぐに言葉を返すことなく緑間は仏頂面で黙り込んだままでいた。
その表情で瞬時に悟った高尾はニヤニヤとしだす。
「さては...怒られたことがあるな?」
「...っ!!うるさいのだよ!!」
緑間は鬱陶しいと云わんばかりに声を荒げた。だが、説得力の欠片すらなかった。何故なら緑間の顔は真っ赤だったのだから。