誠凛vs海常
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「黄瀬君は強いです。僕はおろか火神君でも歯がたたない。
けど、力をあわせれば…二人でなら戦える」
「やっぱ黒子っち変わったっすね」
第2クォーター。今までパスを受け取るだけだった火神がパスをしだしたのだ。パスが回るようになり誠凛側の攻撃の選択肢が増えたのだ。火神をマークする黄瀬は、火神が黒子へと出すパスに対応ができなかった。なぜなら黒子の位置を把握できていないからだ。
「帝校時代にこんなバスケはなかった。けど…
そっちも俺をとめられない!そして勝つのは俺っすよ!」
そう言って黄瀬はボールを受け取り飛び出す。だが、黄瀬の行く手を拒むように立ち塞がったのは黒子だった。
え?どういうこと?
「まさか夢にも思わなかったっすね。黒子っちとこんな風に向きうなんて…いったいどういうつもりか知らないっすけど黒子っちに俺を止めるのは無理っすよ!」
美桜も含めて見ていた観衆も、もちろん黄瀬自身も驚く。がすぐに正気を取り直すと黄瀬は黒子を躱した。が、その前に今度は火神が立ち塞がった。
その光景にようやく美桜は誠凛の作戦に気づき目を見張った。
「違う…
止めるんじゃなくて、取るんだよ!!」
ニヤリと笑みを浮かべる火神。そしてその火神の前にいた黄瀬の背後には黒子。ハッとした黄瀬が持つボールへ黒子は手を伸ばすと、そのボールを弾いたのだ。
最初からこれが狙いだったんだ。
バックチップでボールを奪うことが…
「そんなの抜かなきゃいいだけじゃないすか。
誰も言ってないっすよ。スリーポイントがないなんて」
次に抜くのがだめならと黄瀬は3Pシュートをしようとする。しかし、黒子を土台にして火神がジャンプをし止めたのだ。
「やられた…
平面は黒子っちが、高さは火神がカバーするってことっすか!!」
してやられた黄瀬は失態を取り戻そうと慌ててボールを追いかけようと踵を返す。だが、ここで衝撃的なことが起こってしまう。
ハ!?ウソ...
美桜はおもわず身体を前のめりにしてコートを覗き込む。なぜなら、黄瀬の左手が不運にも黒子の頬に勢いよく当たってしまったのだ。そして黒子はコート上に倒れ込んでしまった。
「大丈夫です。
まだまだ試合はこれからで…しょ…」
立ち上がった黒子は頭から血が流れている状態。だが黒子自身はまだ行けると思うのだが身体は正直。フラッと身体が揺れバランスを崩すと床に倒れ込んでしまった。そんな彼を遠くから黄瀬は心配そうに見つめていた。
黒子が抜けた穴は大きい。だが、美桜の予想以上に誠凛は粘りを見せていた。
これはこれでいい収穫かも…
美桜はオフェンスに回る2年生のプレーに目を光らせた。その中でも、彼女の目に留まったのは2人。
背番号5番、伊月俊
背番号4番、日向順平
高尾君ほどではないけど、5番の彼も広い視野を持ってる…
後、4番はさっきからシュートを外していない…
すごい!
差が縮まることはないけど離れてない!!
黒子が外れたら点差が開くと思っていた美桜は驚きながら、試合展開を見つめていた。
第4クォーター残り8分52秒で68対74
誠凛の見事なチームプレイでそこまで点差は開いていなかったがこのままだと逆転は厳しい状況。そんなタイミングで黒子がコートに戻ってくる。丸々2クォーター休んでいたお陰で黒子の影の薄さが戻っており、誠凛も勢いを取り戻した。
そして残り4分30秒で遂に82対82、同点に追いついたのだった。
美桜は思わずまだ試合が終わっていないにも関わらずガッツポーズをしそうになった。
流石、テツヤが選んだチームね!
それだけ誠凛の諦めないプレーは美桜の目には輝いて見えたのだ。だがすぐに鋭い気配を感じ取った美桜は慌てたようにコートのある一角に目を向けた。そこでは有り得ないと悔し気に目線を落とす黄瀬がいた。
涼太がくる!!
黄瀬の纏うオーラが変わる。それを感じ取った笠松は彼の名を呼びボールを投げた。それを目の色を変えギアを上げてきた黄瀬が受け取る。そしてそのまま電光石火で黒子の横を抜けた。すかさずバックチップをする黒子だが、黄瀬はボールを持っている手を変えることで見事に躱す。そして火神の横をすり抜けると黄瀬はダンクシュートを華麗に決めた。
「俺は負けねーすよ。誰にも…黒子っちにも!!」
その黄瀬の一声を皮切りに第1クォーター同様のRun&Gun勝負が始まった。その一進一退の攻防にそれぞれのベンチからの指示・応援にも熱が入る。
残り20秒、98対98の同点…
2チームの点差は開かなかった。
とったら取り返すというシーソーゲームがずっと続いていたのだ。
残り時間10秒を切る。延長戦を戦う体力がない誠凛は攻めるしかない。トドメを刺そうと笠松がレイアップをする。が、それを火神が喰いとめた。そしてリバウンドをとったのは日向。すかさず、前に走り出していた火神・黒子へとボールを投げた。もちろんそれに対するのは黄瀬だ。だが、立ち塞がった黄瀬に対し、火神は持っていたボールを並走していた黒子にパスをした。
「黒子っちにシュートはない。
火神にリターンするしかないっすよ」
テツヤシュートできなくない??
驚きながら追いかける黄瀬と同様、美桜自身も驚いていた。
一体なにを…
そう思っている美桜が見たのは驚くべき連携プレー、そして火神の尋常ではない成長スピードだった。
黒子がリングに向けてボールを放つ。それに火神が飛びつくようにジャンプをしたのだ。
「させねぇーすよ!」
黄瀬も火神と同時に宙に飛んだ。
だが何故か黄瀬の身体は火神よりも先に落ちていっていた。
それだけ火神の滞空時間が長かったのだ。
その1シーンがまるで時から切り離されたかのようにゆっくりと黄瀬には見えた。驚きながらゆっくりと落ちてゆく中、黄瀬の目の前に映ったのは宙に浮いている火神が勝ち誇ったかのように笑みを浮かべている姿だった。
「てめぇの仕返しはもういんねーよ!
なぜなら…これで終わりだからな!!」
ダン!
火神君がシュートを決めた途端、終了のブザーが鳴り響く。
たった1シュート差、100対98
誠凛は海常に対し、勝利を納めたのだった。