誠凛vs海常
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「あれ?何処行くの?」
緑間は美桜を放置し唐突に踵を返し歩き出す。そんな彼は美桜の投げかけに答えることなく、体育館を出た。そんな彼を美桜は慌てて後を追いかけた。すると、その先には先程体育館から慌ただしく出ていった黄瀬がいた。黄瀬は、外の水道を上向きにして頭に水を浴びていた。
緑間は黄瀬を一瞥すると迷うことなくその場所へと歩を進めた。その足音に黄瀬は蛇口を捻り水を止め顔を上げる。そんな彼に緑間は吐き捨てるように言葉を言い放った。
「お前の双子座は今日の運勢最悪だったのだが...
まさか負けるとは思わなかったのだよ」
「見に来てたんすか..緑間っち..後、みおっちも」
黄瀬は目の前に現れた二人に驚いた顔をする。練習試合があることを教えている美桜がいるのはわかるが、まさか緑間がわざわざここまで足を運ぶとは思っていなかったのだ。
「うん。涼太に教えてもらったしね」
「まぁ..どちらが勝っても不快な試合だったが...猿でもできるダンクの応酬...運命に選ばれるはずなどない」
「私は見ててハラハラして面白かったよ!
後、涼太の悔し涙も見れたしね」
「ちょ!みおっち酷くないっすか!」
バサっと切り捨てた緑間の感想と対照的に、美桜は興奮気味に話す。だが、最後の言葉は聞き捨てならないと黄瀬は声を上げた。そんな黄瀬を見て、美桜は小さく笑った。
みおっち〜〜
よほど嬉しかったのだろうが、理由がわからないと黄瀬は不服そうに彼女を見る。がすぐ表情を変えると、黙ったままの緑間に向き直った。
「そして、中学以来っすね緑間っち...お久しぶりっす
テーピングも相変わらずっすね...
っか、別にダンクでもなんでもいいじゃないっすか?入れば」
そう言いながら黄瀬は水道に寄りかかる。そんな黄瀬に対し、緑間は眼鏡を押し上げた。
「だからお前はだめなのだよ..近くからは入れて当然...シュートは遠くから決めてこそ価値があるんだ。
『人事を尽くして天命を待つ』という言葉を習わなかったか?
まず最善の努力…そこから初めて運命に選ばれる資格を得るのだよ」
そう持論を述べると緑間は持っている緑色のタオルを黄瀬へ投げてやった。黄瀬がタオルを受け取ったのを確認すると、左手に持つ物を見えるように持ち上げてみせた。
「俺は人事を尽くしている。そして おは朝占いのラッキーアイテムは必ず身につけている。ちなみに今日はカエルの玩具だ。だから俺のシュートは落ちん。」
その思考も変わらずっすか…
訝しげな面持ちを浮かべながら黄瀬は、美桜を横目に見る。その視線に気づいた美桜はぎこちない笑みで返した。そんな二人の反応に、緑間は眉をピクッと動かした。
「っか、俺より黒子っちと話さなくていいんすか?」
「必要ない」
黄瀬の気遣いに対し、緑間は考える素振りを見せることなく言い切った。
「B型の俺とA型のアイツは相性が最悪なのだよ。あいつのスタイルは認めているしむしろ尊敬すらしている。だが...誠凛などと言う無名な新設校へ行ったのは頂けない。だが、地区予選で当たるから来てみたが正直話にならないな。」
何故あれ程の才能を持つアイツが誠凛に行ったのか
緑間も黄瀬同様、黒子の考えを理解出来なかったのだ。そんな緑間を美桜は寂しそうに横目で見ていたのだった。
チャリチャリン
彼らの耳に突如自転車のベルの音が入る。その音に反応して3人は振り返る。すると近づいてくるチャリアカーが目についた。
「緑間!てめぇ!!渋滞に捕まったら一人で先に行きやがって!
なんか、ちょー恥ずかしいだろうが!!」
ハァハァ
息を切らし凄い形相で高尾は、視界に入った緑間に向けて声を上げた。それを視界に確認した緑間は当然のことのように高尾を気に留めることなく、黄瀬に再び向き合った。
「まぁ今日は試合を見に来ただけだ。
だが先に謝っておくよ。
俺達が誠凛に負けるという運命はありえない。残念だがリベンジは諦めたほうがいい。」
そう黄瀬に言い放った緑間の言葉に、美桜も黄瀬に挑発気味な笑みを向けた。
「そうだね。涼太にはリベンジしてもらいたいけどそれは無理だね。だって、IHに行くのは私達秀徳だからね。」
確かに今回の試合を見て美桜は感じた…手強い相手だと。
誠凛のチームプレイ力・精神力、火神の試合中の急成長力・ジャンプ力。
もし、火神があの超人的な飛躍力を当たり前にできるようになったら、緑間のシュートは阻まれてしまう。それくらい彼のジャンプ力は緑間との相性は最悪...まさしく彼の天敵になるだろう。
でも負ける気はしなかった。それくらい美桜は秀徳を信頼していたのだ。
ちょうどその時、彼らの間を一瞬強い風が吹きつけるのだった。