誠凛vs海常
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「俺、女の子にはあんまっすけど…
バスケでお返し忘れたことないんすわ」
試合再開早々、笠松と黄瀬の息のあったパスワーク。そして、先程の火神以上の威力で豪快にダンクを黄瀬は決めた。
「てめぇ…上等だ!!」
その黄瀬のセリフに対し、火神はダンクをやり返した。
黄瀬のダンクを皮切りに誠凛と海常の一進一退のシュート合戦が始まる。
まだ始まって3分しか経過していないのにこのペース…
滅多にみられることがないハイペースな展開に美桜は目を見張った。
火神がシュートする。それに対抗して黄瀬は、火神のシュートを模倣してやり返す。それだけならまだしも、黄瀬の模倣のキレ具合が撃つたびに増していっていた。
涼太がコピー出来るってことは、彼はまだキセキの世代のバスケまでは到達してないってことか
でも彼はその逸材になる可能性が高いはず…
美桜は試合展開を難しい表情で火神と黄瀬の攻防を見ていた。でも、悔し気に黄瀬のプレーをギラギラとた眼差しで見る火神に、美桜は可能性を感じられずにはいられなかった。そんな美桜の視界の端では、黒子が動きを見せていた。
「…キャプテン」
「どわぁ!!
またいきなり!?そしてなんで俺に言う!?」
ドリブルを持つ手が滑った日向は、背後から気配なく話しかけてきた黒子を見た。
「タイムアウトが欲しいです
ちょっと今のこのハイペースは身体に優しくないです」
俺が考えている以上にヤバい??
黒子は冷静に状況を日向に話した。そのいつになく饒舌な黒子を横目に、日向はベンチサイドを見る。すると相田がすでに行動を起こしているところだった。
『ピー!』
ホイッスルが鳴り誠凛は第一クォーター、残り4分58秒でタイムアウトをとった。
「何やっとんじゃお前ら!何点取られれば気が済むんだ!
ディフェンス!!寝てるのか!おい!!」
「すいません!!」
「正直やりにくいな…」
「あぁ…あの1年コンビはやべーぞ」
火神は黄瀬が抑えているから良しとして、問題はもう片方だった。
「なんなんだ?あの黒子とかいう異常に薄っすい透明少年は?」
「でしょでしょ!!」
「だからなんでうれしそうなんだ、てめぇは?!」
笠松のこの発言に黄瀬は嬉しそうに目を輝かせる。そんな彼に笠松は苛立ちを拳にして彼にぶつけるが黄瀬はそれを冷静に止めるのだった。
「大丈夫っすよ…
すぐにこの均衡は崩れます」
さっきの表情は消え、黄瀬の表情は真剣さが増していたのだった。
*****
タイムアウト明け、黄瀬には3人が付く。
まぁ妥当ね...
この誠凛の作戦に美桜は特に驚きもしなかった。
今の火神がムキになればなるほど黄瀬にやり返される。その状況を少しでも減らしたいのだろう。
だが、果たして黄瀬だけにディフェンスを固めていいのだろうか?
その美桜の危惧はあっさりと当たる。黄瀬はそのまま突っ込むことをせずに笠松さんにパスを回した。受け取ったフリーの笠松は綺麗にスリーポイントシュートが決まった。
残り4分32秒で22対28...
「いーぞいーぞ笠松!いーぞいーぞ笠松!...」
海常の点に観戦側も熱が入り、海常側の勢いは増していった。一方で誠凛側は唯一の頼みの綱であった黒子のパスが繋がらなくなりボールを取られることが増え始めた。
あぁ…ミスディレクションの効力薄れてるや
美桜は小さくため息を吐きだした。
というのも黒子の視線誘導は40分フルで発揮されることはない。今回は予想以上のハイペースのためか効力がもう薄れてきたらしい。
そのため少しづつ点差が開きはじめてしまっていた。
「そろそろ認めたらどうすっか?
今のキミじゃ、キセキの世代に挑むとか10年早いっす」
「…なんだと?」
火神のダンクを止めた黄瀬は、肩で息をする火神の背に口を開く。それに対し火神は黄瀬の方に向き直った。
「この試合、もう点差が開くことがあっても縮まることはないっすよ」
チームのフォーメーションや戦略以前の問題。
圧倒的に誠凛は海常と比べて体格やサイズのスペックが違うのだ。
唯一の対抗馬であったのは火神だ。
「ポテンシャルは認めるっすけど、俺には遠く及ばない…」
黒子っちやみおっちが一目置いてたから期待してたのに拍子抜けっす
「どう足掻いても俺には勝てないっすよ。
まぁ現実は甘くないってことっすよ」
黄瀬は突きつけるように言葉を吐き捨てた。だが、火神はその言葉に対し肩を震わせて笑い出したのだ。アメリカ帰りの火神はまだまだ張り合える相手がいることが嬉しくて仕方なかったのだ。
「やっぱ人生、挑戦してなんぼじゃん
つぇ―奴がいねぇと生きがいになんないだろ?」
「これからだろ?
聞いてもいねーのに御託を並べるのははぇーんじゃねーの?
お陰でわかったしな、お前の弱点」
そう言うと火神は黄瀬に背を向けた。
見ればできる?じゃあ見えなければ?
そもそも元から薄いのが前提じゃやれっていうほうが難しい…
いくら身体能力が優れていても影を極限に薄めることはできないに違いない。
「コイツだろ!!お前の弱点!!」
しめた!!といった表情で火神は黄瀬にある者を見せつける。それは黒子だった。