誠凛vs海常
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4月26日(日)
あ~!やっと着いた!!
美桜は大きく伸びをする。
彼女が今来ているのは神奈川県にいる海常高校。
みおっち!!
そういえば今度誠凜と試合やるんすけど、もちろん来るっすよね??
帰り際に黄瀬が挑発気味に言い放った一声。
もちろん折角のお誘い。
監督に許可を取り、美桜は偵察するため神奈川の地へと赴いていたのだ。
海常と誠凛の練習試合
どんな試合になるだろう?とワクワクしながら美桜は体育館の中へ。するとタイミングが良かったらしくちょうど試合が始まるとこだった。のだが、美桜は目の前に広がる光景にポカンとしてしまった。
おかしくない??
一面のコートが半面に区切られていたのだ。
そして啖呵を切った張本人である黄瀬はベンチに座り込んでいた。
どういうこと??
状況が把握できない美桜。だが、試合開始のホイッスルが鳴ったため、美桜は考えるのをやめ、目の前の試合に視線を落とすのだった。
「一本!きっちり行くぞ!!」
ジャンプボールで主導権を握ったのは海常。弾かれたボールを受け取った青年は現主将の笠松幸男。月バスに記事が記載されるほどの高PGプレーヤーだ。
彼はドリブルしつつ左人差し指一本立てて指示を出し、場を引き締める。
その様子をジッと見つめていた美桜は、冷静にそんな彼の懐に潜り込む影の行方を追っていた。
まぁあれだと直ぐに弾かれるな
そう思った美桜の目の前で予想通り、笠松が持つボールが弾かれた。
弾いたのは黒子テツヤ
黒子はものすごく影が薄く味方でさえも彼がどこにいるかわからなくなる。それを武器にしてパスの中継点を担ったり相手の死角からボールをスティールをする。
通称、幻のシックスマン
帝光中学時代、彼の実力はキセキの世代からも認められていた。
ま、私はテツヤを見失わなうことはないけど...
ボールを弾くまでの一部始終を見失うことなく追っていた美桜は、自分のことのように黒子の活躍を嬉しそうに眺めていた。
だがそんな黒子だが弱点の方が多い。
彼の身体能力は非常に低いのだ。
そのため、ドリブル等がもっぱらできない。
「なぁ!?どこから沸き上がってきたアイツ!?」
そのため最初こそ驚いていたものの、海常のレギュラーメンバーは直ぐ様切り替えをして黒子に追いついていた。
だが黒子の方こそここまでは予想の範囲内。
黒子はタイミングを見計らうと後方へとボールをパスする。
それを走り込んできた火神が受け取った。
そのまま火神は更に加速しながら勢いよくゴールに叩きつけるようにダンクシュートを決めるのだった。
ここまでは誠凜高校の思い描いたシナリオ通り。
もちろん、美桜も当然のことのようにこのような展開は予想していた。
「よっしゃ火神ー!!って…。」
「おぉ?!」
だが、次の瞬間火神が手に持つ物にその場にいた一同は己の目を疑うのだった。
なんでゴールのリング持ってるの!?
ボルトが錆びついてたらしいけどそんな簡単にリングって取れるっけ??
美桜は唖然とする。
何故なら、普通なら持っているはずのないゴールリングを火神が持っていたからだ。
「すいませんでした!!」
「すみません。ゴールを壊しちゃいました。これじゃ試合にならないので全面側のコート使わせてもらえませんか?」
相田が海常高校の監督の前で頭を下げる。それに習えと黒子は頭を下げた。そんな彼らの目の前では監督…武内は顔を真っ赤にするのだった。
そして急遽反面から全面へ。
もう片方で練習をしていた部員が続々と上へと上がってきた。
「アハハ…確かにあれはぎゃふんすわ
監督のあんな顔、初めて見たし」
「人を舐めた態度ばっか取るからだって言っとけ!!」
「ゴールっていくらくらいするんですかね?」
「げ!あれって弁償!?」
コートわきに置かれたゴールリングを見て黄瀬は小さく笑った。そんな黄瀬に火神が噛みつくように吠えるが、黒子は冷静に状況把握をする。その彼の一声に想定してなかった火神はギクッと顔を強張らせるのだった。
やっとか...
美桜は、ベンチから出てくる黄瀬を眺めた。だが、黄瀬は違う意味で大観衆の注目を浴びていた。
「きゃあ~〜」
彼の登場に待機していた女子高生が黄色い歓声を上げる。
はぁ...どこに行っても同じなんだ...
美桜はその光景を遠い目で見た。
そして案の定、気づいた黄瀬は彼女たちにに向かって満面の笑みを向けて手を振る。
「どうも~!!ありがと〜!」
「テメェーもいつまでも手とか振ってんじゃねぇ!!しばくぞ!」
「いてっ!!
もうしばいているじゃないですか?笠松先輩」
するとそれを見かねた笠松が走り寄ると足蹴りを黄瀬の背に食らわす。そして、ヘラヘラとしている黄瀬にグッと笠松は詰め寄った。
「っていうか今のこの状況わかってるのか、黄瀬?
何者なんだ?あの10番」
「10番??
あぁ…火神ってやつっす」
「火神?聞いた事ねぇーな」
「そんなことより!!」
あれだけのダンクをする選手ならばと思ったが、知らない名に笠松は眉を顰める。そんな彼に対し、黄瀬は火神のことなど範疇になかった。早々に火神の話題を切り替える。
「最初に先輩のボールカットした11番!
あれが帝光時代のチームメイト、黒子っちすよ!
凄いでしょ!!」
ね!!ね!!
「…なんで嬉しそうなんだ、てめぇーは?!」
自分のことのように嬉しそうに敵チームの選手のことを話す黄瀬の腹に、笠松は一発拳を喰らわした。
「とにかくあんだけ盛大な挨拶を貰ったんだぞ、ウチは?
きっちりお返ししなきゃ、失礼だよな?」
ニヤリと好戦的な表情をする笠松。そんな彼の言葉に対して、もちろんだと黄瀬は口角を上げるのだった。