誠凛高校へ
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「きゃぁぁぁ!!!」
美桜が指定した待ち合わせ場所に、彼女が近づくにつれて聞こえてくるのは女性たちの黄色い歓声。
はぁぁぁぁ
美桜は憂鬱だった。
何故ならこれから渦中の中に飛び込まないといけないからだ。
「すみません、通してください」
美桜は人混みを掻き分けて前へと進んだ。
ようやく見えた渦中の人物は黄色髪の青年。そして、美桜の予想通り、群がる女性に対し甘いマスクでファンサービスとしてサインをしていた。
「涼太!!」
「みおっち!今行くっすよ!」
美桜が彼の名を呼ぶ。すると一斉に視線が彼女に向けられた。もちろん呼ばれた本人は瞬時に顔を上げた。そして、美桜の存在に気づくと、群がっていた女性達に断りを入れつつ立ち上がり、彼女の元へ急いだ。
「みおっち!!久しぶりっす!」
そう言い爽やかな笑顔を振りまく彼の名は黄瀬涼太...
バスケット歴わずか2年にして「キセキの世代」に名を連ねた天才。そして現役ファッションモデルとしても活躍している。
黄瀬が美桜と会うのは1年ぶりだ。
忽然となんも前ぶりもなく彼女は姿を消した。そして、久々に見た彼女はショートカットだった髪を長く伸ばしていた。
やはりバスケやってないんすかね...なんで??
黄瀬はすぐさまに彼女を問いただしたかった。
だが彼女から無理に聞くのはなんだか違うのではないかと黄瀬は思った。だからこそ、彼女自身が自ら話してくれるのを待とうと思った。その代わりにと、久しぶりの彼女の温もりを感じたいと思い抱きつこうと黄瀬は美桜に飛びつく。しかし、察知した美桜は黄瀬のハグを避けた。
「久しぶり、相変わらずだね」
「久しぶりの再会なのに避けなくてもいいじゃないすか!
いや、何もしてないのに集まってきちゃうんすよね...」
「はぁ~~
まぁいいや、行こうか」
冷めた目つきで見る美桜に黄瀬は泣き出しそうになる。そんな彼にいちいち構っていられないと、美桜は早々に話を切り上げ目的地へと歩き出す。
「まっ…待ってっす!!
みおっち!!」
勝手に歩きだしてしまった美桜に、黄瀬は慌てて彼女の後を追いかけるのだった。
「ヘェー
ここっすか。さすが新設校、きれいっすね」
二人がたどり着いたのは、誠凛高校。
たしか..今度練習試合する相手だった気が
こんなとこに黒子っちいるんすか??
強豪校として名を馳せていない高校のはず。
黄瀬は疑問を抱きながら、辺りを見渡す。そんな黄瀬に美桜は、誠凛の門を見上げながら答える。
「私が聞いたのはここだよ..」
「じゃあ、とりあえず体育館行くっすよ!」
みおっちが言うのなら黒子っちはこの高校なのだろう
じゃあ善は急げだと、黄瀬ははやる気持ちのまま、ずんずんと敷地内へ入ろうと歩を進めようとする。そんな彼に、美桜は慌てたように彼を引き止める。
「..ちょ..ちょっと待った!!学校に立ち入る許可とらないの?」
「そんなのいいじゃないすか!早く行こうよみおっち!」
振り返った黄瀬は目をキラキラとさせながら美桜を促す。そんな彼に美桜は早々と説得を諦めた。
まぁ…どうにかなるよね
言われたら後から説明すればいいかと開き直った美桜は、黄瀬とともにバスケ部が活動しているであろう体育館へと向かうのだった。
「あ~もう..こんなつもりじゃなかったんすけど..」
体育館に入るとバスケ部の人達が5on5の練習をしていた。邪魔にならないよう二人は端に寄り見学していた。だが、どこからか噂を聞きつけたのかいつの間にか女子生徒達が群がってしまった。もちろん、彼女たちの目的は黄瀬涼太。
はぁ…
この状況に、黄瀬の隣にいた美桜はため息をつき呆れ返っていた。
「…なんすか」
「別に?
どこ行ってもこの惨状は変わらないんだなって思ってるだけ」
「俺のせいじゃないのに…」
理解してくれない美桜に苦笑いしながら、黄瀬は営業スマイルを振りまきながら来てくれた人、一人ひとりにサインをしていった。
「あっ…」
隣りにいた美桜が声を漏らし、黄瀬の制服をさり気なく引っ張る。それに気づいた黄瀬は顔を上げる。すると、気づかないうちに練習していた人達が驚いた顔でこちらを見ていた。
「お久しぶりです」
その集団の一人、水色髪の青年が声をあげた。彼こそが彼らが会いに来た黒子テツヤであった。
「久しぶり!!」
黄瀬はサインをする手を止め、黒子に声をあげた。そんな彼から黒子は視線をその隣にいた美桜へと向けた。
「美桜さんもお久しぶりです。」
「久しぶり、テツヤ!ゴメンね涼太連れてきちゃったよ」
「いいえ、構いませんよ」
申し訳無さそうに手を合わせる美桜に、黒子は小さく首を横に振った。そんな中、黄瀬は辺りを見渡す。未だに女子生徒は自分のサインを求めて長蛇の列を作っていた。この状況に、さすがの黄瀬も申し訳無さそうに一同を見た。
「すいません..マジで..あの..えっと..
ていうか5分待っててもらっていいすか...」
急いでこの状況下を終わらせようと黄瀬はペンを走らせるのだった。