誠凛高校へ
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♪♪♪…
「美桜…携帯鳴ってるよ」
昼休みの時間に唐突に鳴るのは美桜の携帯電話。それに気づいた美桜は応答しようと開くのだが、ディスプレイに表示された名前に思わず閉じる。
だが、携帯の音は諦めることなく絶えず鳴り続いていた。
そんな彼女に出なくていいのかと尋ねたのは、最近仲良くなったクラスメイトの早川椛。頬杖を付きながら本に目を通していた椛は、その音を早く黙らせろという本心を込めて彼女に催促する。
その椛の催促で渋々と美桜はウンザリしつつも何度目かわからない着信に対してようやく応答するのだった。
『みおっち〜〜!!久しぶりっす!』
応答した途端に、凄く響くキンキン声。久々のその声に美桜はすぐにでもこの着信を切りたいという衝動に陥った。だが、流石に可哀想かと、美桜ははやる気持ちを抑えた。
「久しぶり涼太、なに??」
美桜は早く話を切り上げたく普段以上にワントーン音量を下げた。そして、さっさと用件を話せと彼に伝わるように尋ねるのだった。その彼女の塩対応は当然、電話越しでも伝わり、彼女に電話した彼…黄瀬涼太は声を上げた。
『なんすか!!久しぶりなのにつれないっす!
世間話とかしないんすか!こういう時って..
例えば..最近ちょうしどう?とか元気?とか〜!』
「...ない」
『え〜〜!ひどいっす!みおっち!!オレ泣いちゃうっすよ〜!!』
『ご勝手にどうぞ..』
毎度のご展開に聞き飽きたと美桜は彼の泣きわめくのを無表情であしらう。
そんな彼女にこれ以上話を引き延ばしたら、逆に本題に入る前に電話を切られるかもしれないと思い立った黄瀬は粘るのを諦めるのだった。
『あ~もう!!しょうがないから本題に行くっすよ…」
拗ねたような声を上げる黄瀬のガクッと肩を落とした姿を美桜は彼の声を耳を傾けながら容易に想像できた。だが、彼が今更改まって何の目的をもって電話をしてきたのか美桜はわからなく、固唾を飲んで彼の次の言葉を待った。
『黒子っちどこいるか知らないっすか?』
急に真面目なトーンで黄瀬は話題を切り出した。
黒子に会いたいと唐突に黄瀬は思った。
だが、中学最後の試合の後すぐに黒子は姿を消してしまっていた。そのため進学先を黄瀬は知らなかった。そのため、黄瀬は黒子がどこに行ったか知ってそうな人物を考えた。そして、思い浮かんだのが美桜だったのだ。
その話題に美桜は軽い眩暈を覚えながら切り返す。
「...聞いてどうするの?」
『... もちろん、会いに行くっすよ!!』
はぁ~~
上ずった声をあげる黄瀬に、美桜は盛大にため息をつけるならつきたい気分に陥った。
美桜さん
僕はバスケを続けます…
最後に会った黒子の水色の眼差しは覚悟を決めた瞳だったのは、美桜の記憶に新しい。
さて、果たして教えていいのだろうか…
美桜は暫し考えた。
だが、考えてみると黄瀬1人を行かせてしまったら、何をしでかすだろうか…
面倒ごとを何個も起こすに違いない…
美桜は考えただけで、ゾッと背筋が凍り付くのを感じた。
本当はなるべくならば会いたくない。だが、マネージャーになったからには彼らとの再会は避けては通れない。
再開の時期が少しだけ早まっただけ…
美桜は決意を固め、口を開いた。
「...わかった。ついっていってあげる..」
『え!?付いてきてくれるんすか!!』
美桜の言葉に、黄瀬は驚きの声を上げた。
黒子っちだけでなく、みおっちにも会える!!
黄瀬は興奮気味に目を輝かせた。
そんな彼の様子なぞ容易に想像できた美桜はため息交じりに答える。
「だって、涼太がなにやらかすかわからないじゃん..」
『オレは問題児扱いっすか!!』
「え..違うの??」
『ヒドいっす!!』
純粋に聞き返す美桜に黄瀬は泣きわめいた。
「まぁ、それもあるけど
純粋にテツヤが何してるかは気になるかな?」
『なるほど...
で?いつ空いてるんすか?』
「えっとね」
面倒ごとを減らしたい
それが一番の目的であるが、それ以上に今の黒子テツヤが何をしているかが美桜は気になっていた。
そして、美桜は黄瀬と予定を合わせ通話を切った。
「中学の友達??」
通話を切った美桜に椛は本から視線を上げ尋ねた。それに美桜は心底嫌そうに首を振った。
「まさか?腐れ縁だよ」
「ふーん、緑間と同じバスケ関連ね」
「まぁーね」
椛の問いに美桜は過去のことを思い出したくないと一方的に話を切り上げる。
バスケに明け暮れた日々も…
じゃれ合った日々も…
楽しかった記憶すらも美桜にとってはもう思い出したくない思い出に化していた。
みおっち!みおっち!!
記憶上の彼が無邪気に自分の名前を呼ぶ
その声を聞きたくない
美桜はこじ開けられそうなその記憶の蓋を強引に閉じ込んだ。