序章
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「...みおちゃん??」
放課後の体育館
バスケ部に入部した高尾和成は、体育館に入ってきた二人組に思わず手を止めて、目を見開いていた。
一人はキセキの世代...緑間真太郎
もう一人は神田美桜
どちらも高尾にとっては顔見知りという言葉だけでは言い表せない二人だった。
中学最後の試合...
帝光中学校に圧倒的な力の差で負けた
その時スタメンとして出場していたのは緑間真太郎
高尾は彼へ雪辱を誓い、日々練習に励んだ。
しかし入学してすぐ、その野望は打ち崩された...
なぜならば、絶対に倒すと決めていた男...
緑間真太郎が同じ学校であったからだ
「よう!緑間真太郎くん」
渡り廊下で、高尾は前を歩く緑髪の彼に声をかけた。その声に、呼ばれた緑間は不機嫌そうに振り返った。
「誰なのだよ」
「オレ高尾和成ってんだ。バスケ部入んだろ?
オレも入るんだ。よろしくな」
「なぜオレの名を知っているのだよ?」
そんな彼にお構いなく高尾は話を続ける。そんな彼を緑間は不思議そうな表情を浮かべる。なぜなら緑間は、目の前の彼に自己紹介などしていないからだ。
そんな彼に対して自覚がないのかと挑発気味に高尾は笑みを浮かべた。
「バスケやってて知らねぇ奴の方が少ねえよ」
「フン」
何なんだこいつ...
高尾の言葉に緑間は鼻を鳴らす。そんなふてぶてしい態度を取る緑間に高尾は目を点にする。
「ありゃ...それは?」
ふと高尾の目にあるものがとまる。それは緑間が持っている物。
なにかに使うのだろうか?
不思議げに高尾は緑間が持つ物を指差して尋ねた。尋ねられた当の本人は、顔色を変えることなく手に持つ物を見えるように差し出して見せた。
「今日のラッキーアイテム...
セロハンテープなのだよ」
平然と受け答えする緑間。そんな彼の思いもしない言葉に高尾は思わずブフォーと吹き出してしまった。
「ギャハハハ!なんだそれ!?」
「何がおかしいのだよ」
腹を抱えて目に涙を溜めて盛大に笑う高尾。そんな彼に緑間は意味がわからないと怪訝な顔をする。だが、その緑間の返答は高尾の笑いのツボをさらに押してしまうのだった。
「しかも流しちゃったけど語尾も何!?
めっちゃウケるんだけど!!」
これが彼との最初の出会い。
そしてもう一人、神田美桜と出会ったのは春休み。
視線を感じたその先にいたのは、喰いいるように己を見る少女。闇夜に映えるマリーゴールド色の髪。だが、高尾が印象的に残ったのはどんよりとくすんだ瞳の色だった。
普段なら誰かが見ていても声をかけることなどしない。
だがなぜか思わず高尾は声を掛けていた。
放っておきたくなくて。
「…高尾くん」
緑間に引っ張られるように体育館に入ってきた美桜も、高尾の存在に気づき大きく目を見開いた。
それはそうだろう…
互いに互いの進学先を把握しておらず、勝手に別々の高校だろうと解釈いていたからだ。
「手止まってるぞ!!
練習にもどれ!!」
その怒声に止まった時が流れ出す。
緑間が遅れて連れてきた少女に、高尾以外の全部員が練習の手を止めていたのだ。
その一声で高尾と美桜は互いに背を向けた。
高尾はハードな練習に戻り
美桜は緑間に引きずられるままに椅子に座る男の元へと案内された。
「監督...」
「おー...彼女か?」
口を開いた緑間に監督は、緑間から視線をその隣に立つ美桜へと向けた。その視線に気づいた美桜は慌てて頭を下げる。
「はじめまして... 神田美桜です」
「ほぉ〜...君がねぇ...
歓迎するよ」
自己紹介をした美桜に、顎に手を置いていた監督はその手を止めて、マジマジと彼女を見つめた。
緑間がどうしてもとマネージャーに推すのは誰だろうと思っていたら彼が連れてきたのは予想外の人物。
神田美桜ね…
期待以上の収穫だ…
監督は美桜を見つめる目を細めるのだった。