Last Game【映画】
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雲ひとつない青空。
その空で燦々と輝く太陽がジリジリと照り付け、大きな樹の幹にいる油蝉が五月蝿く鳴いていた。
そんな暑苦しい夏のある日…
珍しく部活の休日が被った二人は、炎天下の中バスケをすることなく、家の中で仲良く一つのベッドに寝転がり、休暇を堪能していた。
「美桜...いつまでこうしてるんだ?」
小さく伸びをして自室の時計を眠たげな眼で確認した高尾は、隣で気持ちよく自分に抱きついている彼女に視線を向けた。
「ん〜...もう少しだけ」
美桜は気にする素振りもなく、もぞもぞと動き始めた彼を逃さないとばかりに更に密着するように抱きつく力を強めた。
「いや…だって、そろそろ中継始まっちゃうぜ」
久しぶりの二人だけの時間だけあって美桜を求める気持ちは高尾にも十分にあるし、今目の前にいる彼女の行為に対しては愛おしく思い嬉しい。
ちなみに、今美桜の服装は白いタンクトップにジーパンのショートパンツ。嫌でも高尾の視界に入ってくるのは、異様に露出している綺麗な美桜の白い肌だった。
「美桜…」
「なぁーに??」
「そろそろ俺、理性が持たないんだけど
襲っていい??」
ニヤリと悪戯顔を浮かべる高尾が自分の腰に巻き付く美桜を覗き込む。
「……それは駄目」
端正な高尾の顔が急に近づいてきたことに、美桜はカッと顔を真っ赤に染める。
「じゃあ離れて」
「.....!!
わかった」
作り込まれた高尾の笑顔の裏に隠されたドス黒いものに気づいた美桜はホントにこのままだと襲われかねないと素直に彼から離れた。
美桜が離れたことでようやく自由になった高尾は机に置かれていたリモコンを取りに立ち上がる。対して、美桜はちょこんとベッドに座り直した。
「和…」
「んん??どうした?」
「…あ…後でなら…い…いいよ」
振り向いた高尾は美桜を見た瞬間固まる。ボソボソと口籠りながら恥ずかしそうに顔を染め上目遣いで自分を見上げてくる美桜が可愛らしくて仕方なく、高尾は頭を抱えた。
「...ッ!!
純粋な美桜は何処に行ったんだ??」
「そ…それは!自分の心の中に聞いてみなさいよ」
「………俺か〜!!」
テンパりながらも声を張り上げる美桜の言葉に高尾は思い当たる節があり過ぎて頭を抱える。が、それと同時にその事実が嬉しくも思いヘラヘラと笑いながら高尾はテレビを点ける。そして、ドカッと美桜の隣に座り、彼女の腰に手を回し引き寄せた。
「離れてって言ったの、何処の誰かさんでしたっけ??」
「さっきと事情が違げぇーの!」
「もう....」
大変ご機嫌が良い高尾は、ニコニコ顔を浮かべる。そんな彼に口を尖らせ不平を漏らすも美桜自身もなんだかんだ満更でない様子でそのまま抵抗することなくスッポリと高尾の腕の中に収まるのだった。
一方で、高尾がつけたTVに映し出されたのは大歓声に包まれている屋外のバスケットコートだった。
画面中央に映る女性アナウンサーがやや興奮気味に喋り始める。
「皆さん聞こえますか!この歓声が。ここは、ストリートバスケのエキシビションマッチの会場です。ご覧ください。会場全体が観客の熱気で溢れています。」
映像は、場面が変わり空港に。
大歓声に包まれフラッシュを浴びながら登場するのは5人の若者達。
「それもそのはず!本日プレーするのはあのスーパーチーム!アメリカでいや世界で今の圧倒的に人気のバスケットチーム。ジャバウォックです!リーダーを含またメンバーが18歳前後でありながら、超絶パフォーマンスで観客を魅了しNBA選手にも劣らないほどの実力も兼ね備えたチームです。そんなジャバウォックが日本でどんなプレーを見せてくれるのでしょうか?」
「皆さん!長らくお待たせしました!いよいよエキシビションマッチ!いよいよスタートです!!」
バスケットコートの中央に立っている男性により試合の始まりのアナウンスが告げられる。
「まず、日本の特別チームの紹介です!!
チームStrky!」
チームの紹介とともに現れたのは、笠松・宮地・今吉・樋口・岡村だ。
「和!!宮地先輩だよ!!久しぶりに見たなぁ!!」
「そっか…美桜は暫く見てないもんな」
「うん!!!」
嬉しそうに画面に映る宮地を見て眼を輝かせる美桜に、高尾はしかたないかと肩をすくめた。男バスの方にはたまに顔を出してくれるから高尾は懐かしさを感じないのだが、美桜は卒業式以来あってないのだから。
「でもまさかこのメンバーが同じチームで出ることになるなんてな!」
「ホントだよね!!」
感慨深いと二人は思わず声に漏らす。
画面に映る豪華な顔ぶれに高尾と美桜は改めてこのメンツが揃ったことの凄さを噛みしめるのだった。
「いよいよ現れたぞ!チーム
ジャバウォック!!」
コート逆サイドから大歓声を浴びジャバウォックが現れた。
そして両チーム中央に整列し、礼をする。
会場のムードが最高潮になる中、遂に試合の開始の合図がされるのだった。
今...tip off!!!!!!
Strkyがジャンプボールをものにしたことで始まった試合。そのボールをゴールに決め、その後のジャバウォックの攻撃を防ぎ更に点を入れ、順調の滑り出しを見せた。
一方で試合が始まった途端に、TVに釘付けになった美桜と高尾。だが、注視している彼らは何か違和感を感じ始めるのだった。
「なぁ…美桜」
「どうしたの?和」
「なんかおかしくないか??ジャバウォックの動き」
「和も感じた?
完全に手を抜かれてるよね」
視線をまっすぐTVから逸らすことなく二人は淡々と感じたことを確認し合う。
ジャバウォックのプレーにキレがない。それだけならまだしも全員退屈そうな表情を浮かべているのだ。確実に舐められているのが明らかだった。無意識に美桜は高尾の手を握りギュッと力を込めた。
「…大丈夫だよね」
不安そうな弱々しい美桜の声に、高尾は安心させようと美桜を抱き寄せる力を強めた。
「あぁ…大丈夫だ、きっと」
去年まで各高校で主力として活躍していたツワモノ揃いだ。なんとかしてくれると二人は祈った。
だが、TV画面上に映し出されるのは二人の脳裏に過ぎった最悪の展開だった。
確かにジャバウォックの技術は凄い。相手を翻弄させるドリブルにシュート。このスピードなら確かに眼で追うのがやっとだ。当然彼らのパフォーマンスに観客席は湧いた。だが、美桜や高尾は互いに奥歯を噛み締めた。
ストリートバスケは確かにパフォーマンスの一環として相手をおちょくるプレーはハイテクニックな技術だ。珍しくはない。だが、今目の前で行われているプレーは余りにも見るに耐えなかった。
だからこそ
相手をおちょくるプレーしかしない彼らに
相手を尊重せず小馬鹿にし見下している態度に
宮地を始め、先輩たちがもて遊ばれていることに
沸々と苛立ちがこみ上げてきた
悔しかった
先輩達が侮辱されていることに
気づけば、得点は86対8
ジャバウォックに圧倒されたまま試合は終わってしまったのだ。
悔しさを押し殺し笠松が握手を求める。
だが、ナッシュはそれに応じることはなかった。そして、一言を求められた彼が言った言葉。その言葉は、二人の苛立ちを爆発させるには十分だった。
いや...日本中のバスケファンは怒ってるに違いない。
なんたって日本のバスケを馬鹿にされたのだから。
「和...私凄くムカついてるんだけど」
「あー...俺もだぜ」
二人は怒りを込め
エメラルド色と
ダークブルー色の
双眼を目の前のTVに向ける。二人のギュッと握る拳は必然と震えた。
「待てこらガキども!!」
静寂と化した会場にジャバウォックの笑い声が鳴り響く。目の前で言われた宮地達は悔しそうに肩をわなわなと震わした。
そんな中コート上に現れた案内役の景虎が、ジャバウォックを引き止めた。そして額に青筋を立て大層ご立腹の様子の景虎は足を止めたジャバウォックにこう言い放つのだった。
「せっかく来たんだ。もう少し遊んでけよ。
1週間後にリベンジマッチだ!!
コッチが負けたら俺が腹でも切ってやる!!
てめぇらが負けたら詫び入れた後、イカダでも使って自力で家帰れ!!」
景虎の突発的な発言に、ジャバウォックは不平を漏らすも最終的にはその案を受け入れる形になった。
即座に美桜は乱雑にリモコンの電源ボタンを押し、TVを切る。対して、高尾は彼女の行動がわかっていたかのように引き出しを探り服を取り出して、部屋に転がるバスケットボールを手に取る。
「ほらよ!!」
完全に怒っていて周りが見えてない美桜に高尾は手に持った服を投げた。宙に浮いたそれを声で振り向いた美桜は慌てて受け取る。
受け取った服を呆然と見つめたまま固まる美桜に、高尾は自室のドアノブを回し押し開けながら声をかけた。
「先行ってるぞ」
バタンと音を立て、高尾は外へ。
一人部屋に残された美桜は無意識に口角を上げた。だって、自分の取る行動を先読みして高尾の部屋に置いていってる己の練習着を渡してくれたんだから。
嬉しさを噛み締めたいがそんな場合ではないと美桜は慌ててそれに着替えると彼を追うように部屋を出た。
ブー…ブー…
誰も居なくなった部屋
そこで静かに二人の携帯が密かに鳴り響くのだった。
その空で燦々と輝く太陽がジリジリと照り付け、大きな樹の幹にいる油蝉が五月蝿く鳴いていた。
そんな暑苦しい夏のある日…
珍しく部活の休日が被った二人は、炎天下の中バスケをすることなく、家の中で仲良く一つのベッドに寝転がり、休暇を堪能していた。
「美桜...いつまでこうしてるんだ?」
小さく伸びをして自室の時計を眠たげな眼で確認した高尾は、隣で気持ちよく自分に抱きついている彼女に視線を向けた。
「ん〜...もう少しだけ」
美桜は気にする素振りもなく、もぞもぞと動き始めた彼を逃さないとばかりに更に密着するように抱きつく力を強めた。
「いや…だって、そろそろ中継始まっちゃうぜ」
久しぶりの二人だけの時間だけあって美桜を求める気持ちは高尾にも十分にあるし、今目の前にいる彼女の行為に対しては愛おしく思い嬉しい。
ちなみに、今美桜の服装は白いタンクトップにジーパンのショートパンツ。嫌でも高尾の視界に入ってくるのは、異様に露出している綺麗な美桜の白い肌だった。
「美桜…」
「なぁーに??」
「そろそろ俺、理性が持たないんだけど
襲っていい??」
ニヤリと悪戯顔を浮かべる高尾が自分の腰に巻き付く美桜を覗き込む。
「……それは駄目」
端正な高尾の顔が急に近づいてきたことに、美桜はカッと顔を真っ赤に染める。
「じゃあ離れて」
「.....!!
わかった」
作り込まれた高尾の笑顔の裏に隠されたドス黒いものに気づいた美桜はホントにこのままだと襲われかねないと素直に彼から離れた。
美桜が離れたことでようやく自由になった高尾は机に置かれていたリモコンを取りに立ち上がる。対して、美桜はちょこんとベッドに座り直した。
「和…」
「んん??どうした?」
「…あ…後でなら…い…いいよ」
振り向いた高尾は美桜を見た瞬間固まる。ボソボソと口籠りながら恥ずかしそうに顔を染め上目遣いで自分を見上げてくる美桜が可愛らしくて仕方なく、高尾は頭を抱えた。
「...ッ!!
純粋な美桜は何処に行ったんだ??」
「そ…それは!自分の心の中に聞いてみなさいよ」
「………俺か〜!!」
テンパりながらも声を張り上げる美桜の言葉に高尾は思い当たる節があり過ぎて頭を抱える。が、それと同時にその事実が嬉しくも思いヘラヘラと笑いながら高尾はテレビを点ける。そして、ドカッと美桜の隣に座り、彼女の腰に手を回し引き寄せた。
「離れてって言ったの、何処の誰かさんでしたっけ??」
「さっきと事情が違げぇーの!」
「もう....」
大変ご機嫌が良い高尾は、ニコニコ顔を浮かべる。そんな彼に口を尖らせ不平を漏らすも美桜自身もなんだかんだ満更でない様子でそのまま抵抗することなくスッポリと高尾の腕の中に収まるのだった。
一方で、高尾がつけたTVに映し出されたのは大歓声に包まれている屋外のバスケットコートだった。
画面中央に映る女性アナウンサーがやや興奮気味に喋り始める。
「皆さん聞こえますか!この歓声が。ここは、ストリートバスケのエキシビションマッチの会場です。ご覧ください。会場全体が観客の熱気で溢れています。」
映像は、場面が変わり空港に。
大歓声に包まれフラッシュを浴びながら登場するのは5人の若者達。
「それもそのはず!本日プレーするのはあのスーパーチーム!アメリカでいや世界で今の圧倒的に人気のバスケットチーム。ジャバウォックです!リーダーを含またメンバーが18歳前後でありながら、超絶パフォーマンスで観客を魅了しNBA選手にも劣らないほどの実力も兼ね備えたチームです。そんなジャバウォックが日本でどんなプレーを見せてくれるのでしょうか?」
「皆さん!長らくお待たせしました!いよいよエキシビションマッチ!いよいよスタートです!!」
バスケットコートの中央に立っている男性により試合の始まりのアナウンスが告げられる。
「まず、日本の特別チームの紹介です!!
チームStrky!」
チームの紹介とともに現れたのは、笠松・宮地・今吉・樋口・岡村だ。
「和!!宮地先輩だよ!!久しぶりに見たなぁ!!」
「そっか…美桜は暫く見てないもんな」
「うん!!!」
嬉しそうに画面に映る宮地を見て眼を輝かせる美桜に、高尾はしかたないかと肩をすくめた。男バスの方にはたまに顔を出してくれるから高尾は懐かしさを感じないのだが、美桜は卒業式以来あってないのだから。
「でもまさかこのメンバーが同じチームで出ることになるなんてな!」
「ホントだよね!!」
感慨深いと二人は思わず声に漏らす。
画面に映る豪華な顔ぶれに高尾と美桜は改めてこのメンツが揃ったことの凄さを噛みしめるのだった。
「いよいよ現れたぞ!チーム
ジャバウォック!!」
コート逆サイドから大歓声を浴びジャバウォックが現れた。
そして両チーム中央に整列し、礼をする。
会場のムードが最高潮になる中、遂に試合の開始の合図がされるのだった。
今...tip off!!!!!!
Strkyがジャンプボールをものにしたことで始まった試合。そのボールをゴールに決め、その後のジャバウォックの攻撃を防ぎ更に点を入れ、順調の滑り出しを見せた。
一方で試合が始まった途端に、TVに釘付けになった美桜と高尾。だが、注視している彼らは何か違和感を感じ始めるのだった。
「なぁ…美桜」
「どうしたの?和」
「なんかおかしくないか??ジャバウォックの動き」
「和も感じた?
完全に手を抜かれてるよね」
視線をまっすぐTVから逸らすことなく二人は淡々と感じたことを確認し合う。
ジャバウォックのプレーにキレがない。それだけならまだしも全員退屈そうな表情を浮かべているのだ。確実に舐められているのが明らかだった。無意識に美桜は高尾の手を握りギュッと力を込めた。
「…大丈夫だよね」
不安そうな弱々しい美桜の声に、高尾は安心させようと美桜を抱き寄せる力を強めた。
「あぁ…大丈夫だ、きっと」
去年まで各高校で主力として活躍していたツワモノ揃いだ。なんとかしてくれると二人は祈った。
だが、TV画面上に映し出されるのは二人の脳裏に過ぎった最悪の展開だった。
確かにジャバウォックの技術は凄い。相手を翻弄させるドリブルにシュート。このスピードなら確かに眼で追うのがやっとだ。当然彼らのパフォーマンスに観客席は湧いた。だが、美桜や高尾は互いに奥歯を噛み締めた。
ストリートバスケは確かにパフォーマンスの一環として相手をおちょくるプレーはハイテクニックな技術だ。珍しくはない。だが、今目の前で行われているプレーは余りにも見るに耐えなかった。
だからこそ
相手をおちょくるプレーしかしない彼らに
相手を尊重せず小馬鹿にし見下している態度に
宮地を始め、先輩たちがもて遊ばれていることに
沸々と苛立ちがこみ上げてきた
悔しかった
先輩達が侮辱されていることに
気づけば、得点は86対8
ジャバウォックに圧倒されたまま試合は終わってしまったのだ。
悔しさを押し殺し笠松が握手を求める。
だが、ナッシュはそれに応じることはなかった。そして、一言を求められた彼が言った言葉。その言葉は、二人の苛立ちを爆発させるには十分だった。
いや...日本中のバスケファンは怒ってるに違いない。
なんたって日本のバスケを馬鹿にされたのだから。
「和...私凄くムカついてるんだけど」
「あー...俺もだぜ」
二人は怒りを込め
エメラルド色と
ダークブルー色の
双眼を目の前のTVに向ける。二人のギュッと握る拳は必然と震えた。
「待てこらガキども!!」
静寂と化した会場にジャバウォックの笑い声が鳴り響く。目の前で言われた宮地達は悔しそうに肩をわなわなと震わした。
そんな中コート上に現れた案内役の景虎が、ジャバウォックを引き止めた。そして額に青筋を立て大層ご立腹の様子の景虎は足を止めたジャバウォックにこう言い放つのだった。
「せっかく来たんだ。もう少し遊んでけよ。
1週間後にリベンジマッチだ!!
コッチが負けたら俺が腹でも切ってやる!!
てめぇらが負けたら詫び入れた後、イカダでも使って自力で家帰れ!!」
景虎の突発的な発言に、ジャバウォックは不平を漏らすも最終的にはその案を受け入れる形になった。
即座に美桜は乱雑にリモコンの電源ボタンを押し、TVを切る。対して、高尾は彼女の行動がわかっていたかのように引き出しを探り服を取り出して、部屋に転がるバスケットボールを手に取る。
「ほらよ!!」
完全に怒っていて周りが見えてない美桜に高尾は手に持った服を投げた。宙に浮いたそれを声で振り向いた美桜は慌てて受け取る。
受け取った服を呆然と見つめたまま固まる美桜に、高尾は自室のドアノブを回し押し開けながら声をかけた。
「先行ってるぞ」
バタンと音を立て、高尾は外へ。
一人部屋に残された美桜は無意識に口角を上げた。だって、自分の取る行動を先読みして高尾の部屋に置いていってる己の練習着を渡してくれたんだから。
嬉しさを噛み締めたいがそんな場合ではないと美桜は慌ててそれに着替えると彼を追うように部屋を出た。
ブー…ブー…
誰も居なくなった部屋
そこで静かに二人の携帯が密かに鳴り響くのだった。