秀徳対誠凛(WC決勝)
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「おっはよ!!美桜」
「おはようなのだよ」
玄関のチャイムが鳴り、外に出るとそこには高尾と緑間がいた。
「おはよ!二人共」
そして揃った3人が向かうのは秀徳の体育館。大会の方は、3位決定戦が先に行われるので決定戦の開始は夕方からなのだ。
と言う事で、高校に入ってずっと練習して来た場所に寄り道しようという事になったのだ。
だが、既にそこには3人の人影があった。足音が聞こえたのか3人揃って後ろを振り向く。
「お!やっぱり来たな」
「遅かったじゃないか」
屈託ない笑みを浮かべる大坪と木村。そして、
「来るのが遅すぎなんじゃないか」
額に青筋を立て顔を引きつらせる宮地がいた。
「宮地さ〜ん。そんな顔しなくてもいいじゃないスカ」
「あぁ!?なんだとコラ!!」
宮地が拳骨を高尾の頭にグリグリと押し付けるのを横目に美桜と緑間は大坪達に向き直る。
「先輩方は、どうしてここへ?」
「ん...まぁ...今日で最後だからな」
「試合の前に、3年間汗水垂らした場所に行くかってなってよ」
緑間の投げかけに、大坪と木村は遠い目をした。美桜はその言葉にハッとした。忘れてなかったわけではない。ウインターカップが終わったら3年生は引退してしまう事を。
でも、いざその現実を突きつけられるとこの人達とのバスケが最後な事が凄く寂しかった。今の感情が顔に出たのか、大坪達は優しい目になる。
「そんな顔するな。神田」
そしてその視線はバスケゴールに向く。
「お前らが来てから色々とあったが...
この1年...とても濃い日々を過ごさせてもらった」
「ここまで来れたのもお前らがいたからだしな」
先輩達の思わぬ言葉に場はしんみりになる。が、それを罵声で吹き飛ばすものがいた。
「感傷に浸るのは勝ってからにしろ!!」
「...ッ!だから痛いっす!!宮地さん!!」
手短にあった高尾の頭をグリグリと宮地は拳を押し付けるのを再開。流石に限界と高尾は喚くが問答無用。
「お前以外に誰に当たれって?」
「えぇ〜そりゃあ...真ちゃんとか?」
「俺に振るな...高尾」
ヘラヘラと笑う高尾がいつもの調子で緑間に矛先を転換させる。
それになるほどと頷いた宮地の目線は緑間に向く。
その一部始終に矛先を向けられた緑間は顔面蒼白に。
対して蚊帳の外の大坪は、その光景を微笑ましげに、木村と美桜は高笑いするのだった。
いつもと変わらぬ光景。
それでも違うものは確かにあった。
ピリピリとする緊迫感と高鳴る高揚感だ。
場をもう一度大坪が引き締め直す。
これから戦う相手は、舐めてかかってはいけない。
夏のIH予選では負けた。
WC予選では引き分け。
なんだかんだで、一回も勝ったことがないのだ。
最高の舞台で、雪辱を果たして念願の優勝を収める為に...
彼らはいざ決勝の舞台へ上がる。