秀徳対洛山(WC準決勝)
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「局面が動くとしたらそろそろかな」
監督は唸り、美桜に目配せした。
「恐らく、次は無冠の五将が中心にやって動くと思います」
「赤司は??」
「彼は恐らくまだ目は使わないはず。使うとしたら自分が動かないといけないと判断した時のはずです」
周りに頼らなくなると赤司は単独で行動に出る。つまり、次は無冠の五将との1on1対決になると美桜は睨んだのだ。
「つまり無冠の五将を倒さねぇーと行けねぇーんだな」
「そうですね。まぁ私はそこに関しては危惧してないですけど」
はぁ!?と美桜の発言に全員目を見開く。
「え?だって、皆さん血の滲むような練習してきたじゃないですか?」
皆、WCで勝つためにしのぎを削ってきた。それを知ってるからこそ美桜は言い切れる。今の彼らなら負けないと。
「コートには立てないですが、想いは同じです。信じてますから」
「なにいっちょ前な事ぬかしてんだ!しばくぞ!!」
「こんなことを言われたら、やることは一つしかねぇーな」
「任せるのだよ。赤司を引きつりだしてやるのだよ」
「よし!!行くぞ!お前ら!!」
第2クォーター開始...
美桜の予想通り無冠の五将中心に洛山は攻めてきた。そして緑間にはダブルチーム。流石、洛山ということもあり緑間もてこずっていた。だが、わかっていたことだ。高尾は冷静に宮地にパスを回した。
「よっしゃ!!1on1!!来い!!」
宮地の前には目をキラキラと輝かせる葉山がいた。それを見て宮地は顔を引きつらせる。
「引くぞ!!木村の軽トラで!!」
葉山をかわし、そのまま大坪にパス。そして大坪が点を入れた。よっしゃ!とハイタッチをする宮地と大坪。対して、洛山は葉山に活をいれた。
再び宮地と葉山の1on1。やり返されるわけにはいかないと宮地は意識を集中させる。が、葉山はポツリと耳に引っかかるような言葉を言うのだった。
「3本でいいかな…」
そして葉山は地響きのような音を立ててドリブルをしだすのだった。相手がボールを視認できず奪えなくなる速さのドリブルをする葉山の雷轟のドリブル(ライトニング)。全身のバネを指先に力を集約し強くボールを叩きつけることで可能にしているドリブルだ。次々と抜かれる中、宮地は唐突にとあることを思い出していた。
※
「なぁ?どうすればお前のような速いボールとれるようになんだ?」
部活後の居残り練で美桜と1on1をやっていた宮地はとある疑問を口にするのだった。そのあまりにも真剣味の帯びた質問。美桜は手を止めると必死に彼の質問の答えになるような言葉を探した。
「目で追わないことですかね?」
アハハと笑う美桜。マジな質問をしたはずなのだが!と負のオーラを醸し出す宮地。それを見た美桜は顔を引きつらせながらも慌てて弁明をする。
「私、真面目に答えましたよ!」
「何処がだ!目で追わなくてどうやって取るんだよ!」
「目を閉じろって言ってるわけじゃないですってば!」
「もったいぶってないではやく教えろ!!」
今にもしばきそうな勢い。美桜は必死に彼を落ち着かせた。
「上手く言葉に出来ないんですけど...
ボールの動きを感じるんです。」
「そんなのどうやって?」
「だから今やってるんじゃないですか!
速いボールなら時期に慣れますし、徐々にわかってくると思います。だから焦んなくても平気ですよ」
※
そうだ。目からの情報バカリに囚われちゃ駄目だ。
集中しろ俺。速いだけだ。消えてなくなるわけじゃない。感じるんだ。
「いかせねぇ!!!」
宮地は己の神経を全集中させる。
あの神田のボールが取れたんだ。
こいつのだってとれるはずだ…
宮地の目に映る葉山のドリブルが段々とゆっくりになっていく。
葉山が抜かそうと宮地の横に来た途端、宮地は先ほどまで全く取れなかったボールをカットした。
「なっ!?」
「行くぞ!!」
ボールをカットした宮地は駆け出す。一方、やられた葉山は口角を上げた。
「はっきりいって舐めてたよ…」
再び宮地と対峙した葉山はそう言い放った。
「行くわ…5本」
葉山の醸し出す空気がガラリと変わった。その葉山の雰囲気を目の当たりにして宮地の背筋はゾクリとした。
これが…葉山の本気か…
「ぜってぇー止めてやる!!」
「全力で叩き潰してやる」
5本の指での葉山のドリブルの音は先程とは比べられないほど重たい音だった。
それでも、止めたいという気持ちだけは絶対に負けられない。
神田のドリブルをカットするのに必死に練習した。付き合ってくれた神田の気持ちに答えるためにも、何より仲間と勝つためにも宮地はこの戦いに負けるわけにはいかなかった。
電光石火のように駆け抜ける葉山は到底目で追えない。
それでも宮地は自分の感覚を信じ動いた。
美桜はコートを見ていた目を一度閉じた。手を胸の前に組み祈った。
彼女の願いが届いたのか、目を閉じていた彼女が目を開けた時彼女の瞳に映ったのは弾かれたボールが地面にバウンドしているところだった。
一方…センター対決
残念ながら、パワーは断然、根布谷の方が遥かに上。どうしても大坪はパワー負けしていた。だが、実際に流れが宮地のお蔭で秀徳に傾き始めていた。あいつが頑張っているのに俺がここで負けるわけにはいかないな。ふっと大坪は小さく笑う。
「お前じゃ俺には勝てないぜ」
「確かに俺はお前には勝てん。だがな...気持ちだったら俺は負けん!」
大坪の脳裏に浮かぶのは、共に戦う仲間達・観覧席で懸命に応援する部員達...そしてマネージャーとして支えてくれた美桜だった。
※
「先輩って...まるでお父さんみたい!」
「な..何を急に言い出すんだ!」
「だって...包容力すごくあるし頼りがいがあるんですもん」
あ!でも...と急に思い出したかのように声を上げた美桜は微笑を浮かべながら大坪を見上げるのだった。
「全部抱え込んじゃダメですよ。先輩には信じて付いてきてくれる仲間が居るんですから。時には頼っていいんですよ?」
※
だよな...神田。
1対1の勝負は負けても良いか、次に繋げれば良いんだ
大坪は必死に守ったボールを自身で攻めようとせず、後ろにいた木村へパスをするのだった。
宮地が流れを作り
大坪がその流れを加速させた。
秀徳のベンチも観覧席もその流れの波に付随するようにボルテージが上がり応援する声も大きくなっていっていた。
「なにやってるのよ…」
不甲斐ない二人に実渕はたまらず悪態をつく。
「征ちゃん…私にボール頂戴」
そしてだったら自分がやると赤司にボールを要求する。
「わかった…
だが、これ以上僕を失望させないようにな」
そして実渕はボールをもらう。すぐさま緑間が目の前に立ちふさがる。
「確かに、貴方は強い。でも…ここは通してもらうわよ」
「フン!通れるもんなら通ってみるのだよ」
挑戦的な目をする実渕に対し、緑間は口角をあげ彼を睨みつけた。
*
「何をしているのだよ…美桜」
「あ…真太郎」
緑間が部室に戻ると美桜が、ビデオカメラを見ていた。ちなみに美桜はその動画を桃井から極秘にもらっていた。画面に直視したままこちらを向かず真剣になっている美桜。いぶかしげに思い緑間は美桜が必死に見るそれをのぞき込んだ。
「実渕か?」
その画面に映っていたのは、洛山のSGの実渕のシュートする動画だった。
「丁度いいや…実際にやってみようか」
「何をするのだよ…」
「実渕さんのシュートだよ」
*
「フン…うちのマネージャーを舐めるのではないのだよ」
実渕のシュートを緑間は弾くのだった。流石に見破られるとは思っていなかった実渕は呆気にとられ暫く動けなかった。
「ナイス!!緑間!!」
木村がボールを拾う。即座に宮地に回され点が入れられた。
実渕のシュート
相手にぶつかりながらシュートを打つ…天
相手に触れられないように打つフェイダウェイシュート…地
相手がブロックに飛ぶことができないシュート…虚空
3種類のシュートは飛ぶ直前までフォームに違いはない。だが、重心の位置が若干異なるのだ。それぞれ天・地・虚空…飛ぶ方向に一瞬重心が動くのだ。又、虚空の硬直してしまう秘密は飛ぶ直前に通常より深く沈み込んでいることだ。これにより彼は相手の膝が伸び切ったところでわざと一瞬動きを止めることで、その一瞬につられた相手は沈んだ分の力がぬけてしまい飛べなくなってしまう。逆に実渕はまだ深く沈んだ分の余力が残っているために飛ぶことができるのだ。緑間はそこを見抜いて防いだのだ。何度も美桜にシュートを実践してもらったお蔭で緑間の身体にしみついていたのだ。
そしてお返しとばかりに、緑間はダブルチームがついていながらシュートを放つ。
それは超長距離3Pシュートでなく、実渕の使うシュートであった。
「なっ!?」
膝が伸び切りこれ以上飛べず驚愕な顔で見上げる実渕たちを横目に緑間はシュートを決めるのだった。
監督は唸り、美桜に目配せした。
「恐らく、次は無冠の五将が中心にやって動くと思います」
「赤司は??」
「彼は恐らくまだ目は使わないはず。使うとしたら自分が動かないといけないと判断した時のはずです」
周りに頼らなくなると赤司は単独で行動に出る。つまり、次は無冠の五将との1on1対決になると美桜は睨んだのだ。
「つまり無冠の五将を倒さねぇーと行けねぇーんだな」
「そうですね。まぁ私はそこに関しては危惧してないですけど」
はぁ!?と美桜の発言に全員目を見開く。
「え?だって、皆さん血の滲むような練習してきたじゃないですか?」
皆、WCで勝つためにしのぎを削ってきた。それを知ってるからこそ美桜は言い切れる。今の彼らなら負けないと。
「コートには立てないですが、想いは同じです。信じてますから」
「なにいっちょ前な事ぬかしてんだ!しばくぞ!!」
「こんなことを言われたら、やることは一つしかねぇーな」
「任せるのだよ。赤司を引きつりだしてやるのだよ」
「よし!!行くぞ!お前ら!!」
第2クォーター開始...
美桜の予想通り無冠の五将中心に洛山は攻めてきた。そして緑間にはダブルチーム。流石、洛山ということもあり緑間もてこずっていた。だが、わかっていたことだ。高尾は冷静に宮地にパスを回した。
「よっしゃ!!1on1!!来い!!」
宮地の前には目をキラキラと輝かせる葉山がいた。それを見て宮地は顔を引きつらせる。
「引くぞ!!木村の軽トラで!!」
葉山をかわし、そのまま大坪にパス。そして大坪が点を入れた。よっしゃ!とハイタッチをする宮地と大坪。対して、洛山は葉山に活をいれた。
再び宮地と葉山の1on1。やり返されるわけにはいかないと宮地は意識を集中させる。が、葉山はポツリと耳に引っかかるような言葉を言うのだった。
「3本でいいかな…」
そして葉山は地響きのような音を立ててドリブルをしだすのだった。相手がボールを視認できず奪えなくなる速さのドリブルをする葉山の雷轟のドリブル(ライトニング)。全身のバネを指先に力を集約し強くボールを叩きつけることで可能にしているドリブルだ。次々と抜かれる中、宮地は唐突にとあることを思い出していた。
※
「なぁ?どうすればお前のような速いボールとれるようになんだ?」
部活後の居残り練で美桜と1on1をやっていた宮地はとある疑問を口にするのだった。そのあまりにも真剣味の帯びた質問。美桜は手を止めると必死に彼の質問の答えになるような言葉を探した。
「目で追わないことですかね?」
アハハと笑う美桜。マジな質問をしたはずなのだが!と負のオーラを醸し出す宮地。それを見た美桜は顔を引きつらせながらも慌てて弁明をする。
「私、真面目に答えましたよ!」
「何処がだ!目で追わなくてどうやって取るんだよ!」
「目を閉じろって言ってるわけじゃないですってば!」
「もったいぶってないではやく教えろ!!」
今にもしばきそうな勢い。美桜は必死に彼を落ち着かせた。
「上手く言葉に出来ないんですけど...
ボールの動きを感じるんです。」
「そんなのどうやって?」
「だから今やってるんじゃないですか!
速いボールなら時期に慣れますし、徐々にわかってくると思います。だから焦んなくても平気ですよ」
※
そうだ。目からの情報バカリに囚われちゃ駄目だ。
集中しろ俺。速いだけだ。消えてなくなるわけじゃない。感じるんだ。
「いかせねぇ!!!」
宮地は己の神経を全集中させる。
あの神田のボールが取れたんだ。
こいつのだってとれるはずだ…
宮地の目に映る葉山のドリブルが段々とゆっくりになっていく。
葉山が抜かそうと宮地の横に来た途端、宮地は先ほどまで全く取れなかったボールをカットした。
「なっ!?」
「行くぞ!!」
ボールをカットした宮地は駆け出す。一方、やられた葉山は口角を上げた。
「はっきりいって舐めてたよ…」
再び宮地と対峙した葉山はそう言い放った。
「行くわ…5本」
葉山の醸し出す空気がガラリと変わった。その葉山の雰囲気を目の当たりにして宮地の背筋はゾクリとした。
これが…葉山の本気か…
「ぜってぇー止めてやる!!」
「全力で叩き潰してやる」
5本の指での葉山のドリブルの音は先程とは比べられないほど重たい音だった。
それでも、止めたいという気持ちだけは絶対に負けられない。
神田のドリブルをカットするのに必死に練習した。付き合ってくれた神田の気持ちに答えるためにも、何より仲間と勝つためにも宮地はこの戦いに負けるわけにはいかなかった。
電光石火のように駆け抜ける葉山は到底目で追えない。
それでも宮地は自分の感覚を信じ動いた。
美桜はコートを見ていた目を一度閉じた。手を胸の前に組み祈った。
彼女の願いが届いたのか、目を閉じていた彼女が目を開けた時彼女の瞳に映ったのは弾かれたボールが地面にバウンドしているところだった。
一方…センター対決
残念ながら、パワーは断然、根布谷の方が遥かに上。どうしても大坪はパワー負けしていた。だが、実際に流れが宮地のお蔭で秀徳に傾き始めていた。あいつが頑張っているのに俺がここで負けるわけにはいかないな。ふっと大坪は小さく笑う。
「お前じゃ俺には勝てないぜ」
「確かに俺はお前には勝てん。だがな...気持ちだったら俺は負けん!」
大坪の脳裏に浮かぶのは、共に戦う仲間達・観覧席で懸命に応援する部員達...そしてマネージャーとして支えてくれた美桜だった。
※
「先輩って...まるでお父さんみたい!」
「な..何を急に言い出すんだ!」
「だって...包容力すごくあるし頼りがいがあるんですもん」
あ!でも...と急に思い出したかのように声を上げた美桜は微笑を浮かべながら大坪を見上げるのだった。
「全部抱え込んじゃダメですよ。先輩には信じて付いてきてくれる仲間が居るんですから。時には頼っていいんですよ?」
※
だよな...神田。
1対1の勝負は負けても良いか、次に繋げれば良いんだ
大坪は必死に守ったボールを自身で攻めようとせず、後ろにいた木村へパスをするのだった。
宮地が流れを作り
大坪がその流れを加速させた。
秀徳のベンチも観覧席もその流れの波に付随するようにボルテージが上がり応援する声も大きくなっていっていた。
「なにやってるのよ…」
不甲斐ない二人に実渕はたまらず悪態をつく。
「征ちゃん…私にボール頂戴」
そしてだったら自分がやると赤司にボールを要求する。
「わかった…
だが、これ以上僕を失望させないようにな」
そして実渕はボールをもらう。すぐさま緑間が目の前に立ちふさがる。
「確かに、貴方は強い。でも…ここは通してもらうわよ」
「フン!通れるもんなら通ってみるのだよ」
挑戦的な目をする実渕に対し、緑間は口角をあげ彼を睨みつけた。
*
「何をしているのだよ…美桜」
「あ…真太郎」
緑間が部室に戻ると美桜が、ビデオカメラを見ていた。ちなみに美桜はその動画を桃井から極秘にもらっていた。画面に直視したままこちらを向かず真剣になっている美桜。いぶかしげに思い緑間は美桜が必死に見るそれをのぞき込んだ。
「実渕か?」
その画面に映っていたのは、洛山のSGの実渕のシュートする動画だった。
「丁度いいや…実際にやってみようか」
「何をするのだよ…」
「実渕さんのシュートだよ」
*
「フン…うちのマネージャーを舐めるのではないのだよ」
実渕のシュートを緑間は弾くのだった。流石に見破られるとは思っていなかった実渕は呆気にとられ暫く動けなかった。
「ナイス!!緑間!!」
木村がボールを拾う。即座に宮地に回され点が入れられた。
実渕のシュート
相手にぶつかりながらシュートを打つ…天
相手に触れられないように打つフェイダウェイシュート…地
相手がブロックに飛ぶことができないシュート…虚空
3種類のシュートは飛ぶ直前までフォームに違いはない。だが、重心の位置が若干異なるのだ。それぞれ天・地・虚空…飛ぶ方向に一瞬重心が動くのだ。又、虚空の硬直してしまう秘密は飛ぶ直前に通常より深く沈み込んでいることだ。これにより彼は相手の膝が伸び切ったところでわざと一瞬動きを止めることで、その一瞬につられた相手は沈んだ分の力がぬけてしまい飛べなくなってしまう。逆に実渕はまだ深く沈んだ分の余力が残っているために飛ぶことができるのだ。緑間はそこを見抜いて防いだのだ。何度も美桜にシュートを実践してもらったお蔭で緑間の身体にしみついていたのだ。
そしてお返しとばかりに、緑間はダブルチームがついていながらシュートを放つ。
それは超長距離3Pシュートでなく、実渕の使うシュートであった。
「なっ!?」
膝が伸び切りこれ以上飛べず驚愕な顔で見上げる実渕たちを横目に緑間はシュートを決めるのだった。