秀徳対洛山(WC準決勝)
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やぁ久しぶりだね...美桜
朝早く会場に着いた美桜の目の前に現れたのは洛山の名前を背負った赤司征十郎だった。圧倒的な威圧感を放つ彼はゆっくりとした足取りで美桜に近づく。彼の表情は旧友に久しぶりに会った感じを全く感じさせないくらい無表情で冷酷な瞳で美桜を見ていた。
「今更、お前は何をしようと言うんだい?」
中学時代ずっとずっと美桜は逃げてきた。彼らがどんどん変貌していき、生き生きとした瞳が霞み、態度が素っ気無く冷たくなっていくのを見ているのが耐えられなかったのだ。怖かった...自分を見ている瞳がとても冷たいことが。恐ろしかった、拒絶されるのが。だから美桜は逃げた。
「言い方を変えよう。お前はその目で何を見る?」
赤司は自身の目で未来を見る。そして美桜の瞳も同じように未来を見れる。なのに美桜はそれを見ようとしていない。赤司は苛立っていたのだ。自分と同じ...もしくはそれ以上の能力を持つのに有効利用しようとしない彼女に。
「私は...」
言いよどむ美桜。彼女の頭の中では走馬灯のように今まで記憶が駆け巡る。
その記憶は彼女の背を強く押す。
良し!と決意を決めた美桜はカッと目を開き赤司を見据えた。
「私が見るのはずっと先の未来。皆が楽しく笑ってる姿」
美桜が見たいのは、笑い合う彼らの姿。青峰がいて黄瀬がいて黒子がいて緑間がいて紫原がいて....そして赤司がいる光景。ギクシャクした関係でないホントに心から笑い合い小言を言い合う彼らの姿だ。
赤司はその言葉に対し鼻で笑う。そんなのただの幻想だと。お前は過去のいい思い出にすがりついてるだけだと。だが、美桜はもう過去にすがる気などサラサラなかった。美桜はこの未来を掴むために藻搔く。
黒子が示してくれた、自分の力で未来を掴めることを。
高尾が叱咤してくれた、過去を振り返るな前を向けと。
二人の言葉が踏み止まる美桜の背中を強く押してくれた。
「私ねどうやら予想以上に欲張りみたいなんだ....
私が会いたいのは赤司じゃない。征君だ!!」
黒子は諦めなかった。再び彼らの光が戻ってくるのを。そして黒子は取り戻してくれた。
黄金色に輝く黄瀬、
翠色に輝く緑間、
群青色に輝く青峰、
藍色に輝く紫原を。
だったら美桜がやることは一つだ。
取り戻したい...緋色に輝く赤司を。
赤司は人格を二つ持つ。主人格の以前の彼は仲間思いで温厚だった。チームのためにできる最善を尽くしていた。だが、彼の人格は変わってしまった。きっかけは、紫原との1on1。才能が開花してしまった紫原に歯が立たなかった赤司はもう一つの別人格に変わってしまった。そして変貌してしまった彼は冷徹な性格に変わってしまった。
目を逸らすことなく赤司に向けられる美桜の瞳は今までで一番強い眼差しだった。
「図に乗るな。コートに立たない御前に何ができる?」
「コートにいなくでも出来ることはある!私はもう一人じゃない!!」
赤司に怯むことなく美桜は言いたい事を言い放った。
そんな彼女に調子に乗りすぎだと赤司は近づき手を上げた。
叩かれると美桜は思わず反射的に目を瞑る。だが、一向に痛みが襲ってこない。ふと不思議に思いゆっくりと目を開ける。彼女の視界に映ったのは自分に振りかざされようとしていた手を掴み赤司を睨めつける高尾の姿だった。
「すんませんね...人の彼女に何してくれちゃってんの?赤司征十郎さんよ」
へぇーとこの光景を目の当たりにした赤司は手を振りほどくと口角を上げた。二人の顔をじっくりと見定めるように見る赤司。どちらの瞳も鋭い眼光を赤司に向けていた。それを確認した赤司は何か思いついたのか不敵な笑みを浮かべた。
「勝負しよう。美桜…俺とお前、どっちの瞳が優れているか」
急に何を言い出すんだと思った。
まるで自分は頂点に立つ帝王だという佇まいをする赤司。
美桜はそんな彼が気に喰わなかった。
それに、彼に言われる以前にこっちは端からそのつもりだ。
美桜は口角を上げ好戦的な目で睨めつけながら、彼に言い放った。
「絶対に負けるものか!」
「いい心意気だ。だが、勝つのは僕だ」
勝負を切り出したのは赤司だ。
だが、赤司は負ける気などサラサラない。あくまで絶対は自分自身なのだから。
ここまで僕に言わせたんだ…精々失望させるようなことはするなよと言い残し赤司はその場から立ち去るのだった。
*
一気にほぐれる緊張の糸。赤司の放つ威圧感に威勢を保っていた美桜だったが解放されたことでホッとしたのか足の力が抜け倒れ込みそうに。咄嗟に高尾が支える。
「大丈夫か!!美桜」
「あはは…思ったよりやばかったらしい」
頭をかき笑う美桜。思わず高尾も溜息をついてしまった。
「ってか良いのかよ。あんなの受けて」
「大丈夫。信じてるから和のこと...そして皆のこと」
ずっとずっとこの日の為に死にものぐるいで対策を練ってきた。全ては洛山に...赤司に勝つために。
一方、美桜のこの試合にかける想いを誰よりも知ってる高尾は思わず頭を抱えた。今日の自分の責任は重大だ。なんってたって赤司のマッチアップするのだから。だからこそ不安だった。だが、今の力強い美桜の言葉でそんなのは吹き飛んでしまった。ここまで美桜が信じてくれてる。
あはは...こんなセリフ言われたらやるしかねーじゃん
「勝ってやるよ!!絶対俺が赤司を止めてやる!!」
高尾の瞳に宿るのは今までで以上の闘志だった。高尾の覚悟は決まった。
美桜の期待に答えるためにも...
チームの勝利のためにも...
絶対に喰らいつく
朝早く会場に着いた美桜の目の前に現れたのは洛山の名前を背負った赤司征十郎だった。圧倒的な威圧感を放つ彼はゆっくりとした足取りで美桜に近づく。彼の表情は旧友に久しぶりに会った感じを全く感じさせないくらい無表情で冷酷な瞳で美桜を見ていた。
「今更、お前は何をしようと言うんだい?」
中学時代ずっとずっと美桜は逃げてきた。彼らがどんどん変貌していき、生き生きとした瞳が霞み、態度が素っ気無く冷たくなっていくのを見ているのが耐えられなかったのだ。怖かった...自分を見ている瞳がとても冷たいことが。恐ろしかった、拒絶されるのが。だから美桜は逃げた。
「言い方を変えよう。お前はその目で何を見る?」
赤司は自身の目で未来を見る。そして美桜の瞳も同じように未来を見れる。なのに美桜はそれを見ようとしていない。赤司は苛立っていたのだ。自分と同じ...もしくはそれ以上の能力を持つのに有効利用しようとしない彼女に。
「私は...」
言いよどむ美桜。彼女の頭の中では走馬灯のように今まで記憶が駆け巡る。
その記憶は彼女の背を強く押す。
良し!と決意を決めた美桜はカッと目を開き赤司を見据えた。
「私が見るのはずっと先の未来。皆が楽しく笑ってる姿」
美桜が見たいのは、笑い合う彼らの姿。青峰がいて黄瀬がいて黒子がいて緑間がいて紫原がいて....そして赤司がいる光景。ギクシャクした関係でないホントに心から笑い合い小言を言い合う彼らの姿だ。
赤司はその言葉に対し鼻で笑う。そんなのただの幻想だと。お前は過去のいい思い出にすがりついてるだけだと。だが、美桜はもう過去にすがる気などサラサラなかった。美桜はこの未来を掴むために藻搔く。
黒子が示してくれた、自分の力で未来を掴めることを。
高尾が叱咤してくれた、過去を振り返るな前を向けと。
二人の言葉が踏み止まる美桜の背中を強く押してくれた。
「私ねどうやら予想以上に欲張りみたいなんだ....
私が会いたいのは赤司じゃない。征君だ!!」
黒子は諦めなかった。再び彼らの光が戻ってくるのを。そして黒子は取り戻してくれた。
黄金色に輝く黄瀬、
翠色に輝く緑間、
群青色に輝く青峰、
藍色に輝く紫原を。
だったら美桜がやることは一つだ。
取り戻したい...緋色に輝く赤司を。
赤司は人格を二つ持つ。主人格の以前の彼は仲間思いで温厚だった。チームのためにできる最善を尽くしていた。だが、彼の人格は変わってしまった。きっかけは、紫原との1on1。才能が開花してしまった紫原に歯が立たなかった赤司はもう一つの別人格に変わってしまった。そして変貌してしまった彼は冷徹な性格に変わってしまった。
目を逸らすことなく赤司に向けられる美桜の瞳は今までで一番強い眼差しだった。
「図に乗るな。コートに立たない御前に何ができる?」
「コートにいなくでも出来ることはある!私はもう一人じゃない!!」
赤司に怯むことなく美桜は言いたい事を言い放った。
そんな彼女に調子に乗りすぎだと赤司は近づき手を上げた。
叩かれると美桜は思わず反射的に目を瞑る。だが、一向に痛みが襲ってこない。ふと不思議に思いゆっくりと目を開ける。彼女の視界に映ったのは自分に振りかざされようとしていた手を掴み赤司を睨めつける高尾の姿だった。
「すんませんね...人の彼女に何してくれちゃってんの?赤司征十郎さんよ」
へぇーとこの光景を目の当たりにした赤司は手を振りほどくと口角を上げた。二人の顔をじっくりと見定めるように見る赤司。どちらの瞳も鋭い眼光を赤司に向けていた。それを確認した赤司は何か思いついたのか不敵な笑みを浮かべた。
「勝負しよう。美桜…俺とお前、どっちの瞳が優れているか」
急に何を言い出すんだと思った。
まるで自分は頂点に立つ帝王だという佇まいをする赤司。
美桜はそんな彼が気に喰わなかった。
それに、彼に言われる以前にこっちは端からそのつもりだ。
美桜は口角を上げ好戦的な目で睨めつけながら、彼に言い放った。
「絶対に負けるものか!」
「いい心意気だ。だが、勝つのは僕だ」
勝負を切り出したのは赤司だ。
だが、赤司は負ける気などサラサラない。あくまで絶対は自分自身なのだから。
ここまで僕に言わせたんだ…精々失望させるようなことはするなよと言い残し赤司はその場から立ち去るのだった。
*
一気にほぐれる緊張の糸。赤司の放つ威圧感に威勢を保っていた美桜だったが解放されたことでホッとしたのか足の力が抜け倒れ込みそうに。咄嗟に高尾が支える。
「大丈夫か!!美桜」
「あはは…思ったよりやばかったらしい」
頭をかき笑う美桜。思わず高尾も溜息をついてしまった。
「ってか良いのかよ。あんなの受けて」
「大丈夫。信じてるから和のこと...そして皆のこと」
ずっとずっとこの日の為に死にものぐるいで対策を練ってきた。全ては洛山に...赤司に勝つために。
一方、美桜のこの試合にかける想いを誰よりも知ってる高尾は思わず頭を抱えた。今日の自分の責任は重大だ。なんってたって赤司のマッチアップするのだから。だからこそ不安だった。だが、今の力強い美桜の言葉でそんなのは吹き飛んでしまった。ここまで美桜が信じてくれてる。
あはは...こんなセリフ言われたらやるしかねーじゃん
「勝ってやるよ!!絶対俺が赤司を止めてやる!!」
高尾の瞳に宿るのは今までで以上の闘志だった。高尾の覚悟は決まった。
美桜の期待に答えるためにも...
チームの勝利のためにも...
絶対に喰らいつく