黒子の特訓
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「まあこんなもんでいいんじゃない?」
十分黒子と練習した後、美桜は視線をバスケをしている二人に目をやった。
「なかなかやるじゃねぇーか!カズ!」
「伊達に真ちゃんの相棒努めてないっつーの!」
ハイタッチをする二人の姿があった。
「すご~い」
「高尾君...いつの間に」
いつの間にか仲良くなっているのを見て、目を見開いて黒子と桃井は驚きの声を上げた。
相変わらず私の彼氏のハイスペックぶりには恐れ入るわ。
美桜は苦笑を浮かべるのだった。
「青峰君...ありがとうございました。」
「バカ!何礼言ってんだよ。あまりヘボいから見てられなかっただけだ。」
照れくさそうに頭をガシガシかいた。でも、お礼を言いたいのは自分の方だと青峰は思っていた。昔の感覚を思い出させてくれた。そして再び美桜と並べることができた。感謝したいのは山々だったが、どうしてもその言葉は喉から出なかった。
「じゃあな、俺はもう行くぜ。次会うのは敵としてだ。負けんじゃねぇーぞ...テツ」
青峰はそそくさと行ってしまうのだった。
「美桜さんも高尾君もありがとうございました。」
「いえいえ...楽しかったよ」
「俺は大ちゃんとバスケしただけだけどな」
お礼を言った黒子に対しそれぞれ反応を示す美桜と高尾。ふと美桜は高尾のとあるフレーズが引っかかった。
「大ちゃん!?」
「おう!意外といいやつだなアイツ」
ニコニコとする高尾。
「すごいですね...高尾君は。あの短時間で青峰君と仲良くなるなんて」
黒子も驚いていた。特に何もしてねぇーぜとキョトンとした顔を高尾はするのだった。
「まぁでも良かったよ...幼馴染二人に公認してもらえたからね」
「ちょっとどういうこと??」
思わず声を上げる美桜。高尾はえー?と言いながらも事の経緯について話し始めるのだった。
※
どうしても高尾と桃井の接点はバスケと美桜と緑間のみだ。必然的に話の焦点は美桜の話になっていたのだ。桃井は小学時代から中学時代までの彼女や中学時代の緑間について、高尾は出会ってからの緑間や彼女についてをそれぞれ話していた。そして高尾がこの間の夏祭りについて面白可笑しく話していた時、桃井はおもむろに口を開くのだった。
「ねぇ?美桜と今どんな関係なの?」
桃井はずっと気になっていたのだ。
「ん?あー....カレカノだぜ。」
「えー!!ホントに!良かったー」
高尾の言葉で桃井はホッとした顔をして胸をなでおろした。美桜の初恋は恐らく青峰だろうと桃井は気づいていた。当時の本人はホントに鈍感で、ずっとずっと一緒にいた桃井にとっては歯がゆかったくらいだ。だがいつの間にか関係はこずれてしまい遂にはすれ違ってしまった。青峰はバスケの楽しさを忘れ、美桜はバスケ自体を止めてしまった。そして二人の関係は回復することなくバラバラに。今まででずっと一緒にいたからこそ桃井は見ていて苦しかった、そして悔しかった...自分には何もできないのかと。代わりに彼女は願った、暗闇にいる二人を誰か救ってくれと。そして美桜はいつしか光を取り戻していた。今桃井の目の前では黒子を囲んで青峰と美桜はどうすれば黒子がシュートできるようになるかあーだこーだ言い合っていた。桃井がいつも見ていた光景がそこにはあった。美桜と青峰はキラキラ輝いているように桃井には見えた。再び見れたことが嬉しかった。
「じゃあ高尾君のおかげだね。あんなに生き生きしてる美桜久しぶりに見たよ」
「え...そうかな?」
「そうだよ!!」
輝きをとりもどした美桜の隣にはいつも高尾がいた。それが何よりも証拠だ。
「美桜のことよろしくね!」
桃井が願ったのは一つだけだ。
どうか...美桜がずっと幸せでいられますように
※
「どっからでも来ていいぜ」
「ん?じゃあ遠慮なく」
唐突に始まった青峰と高尾の1on1...
青峰の圧勝かと思いきやそうでもなく。青峰の動きの速さに高尾は付いていき、スティールしたりシュートをしたりとなかなかに接戦の戦いを繰り広げていた。当初は少し舐めていた青峰だが、高尾の動きを見てあることに気づく。高尾の動き一つ一つが美桜に酷似して見えたのだ。
「お前...美桜と練習してんのか?」
「え?まぁーな。時間があればいつもやってんぜ」
「なるほどな...お前の動き美桜とそっくりだぜ」
今までで気づいてなかったらしく、まじで!?と高尾は驚きの声を上げた。その姿に青峰は声を上げて笑ってしまうのだった。そこから青峰と高尾の距離は急速に縮まった。そしていつの間にか名前で呼び合うくらい仲良くなっていたのだ。
「なぁ?カズって美桜とどんな関係なんだ?」
唐突に青峰が高尾に尋ねた。美桜は確かにバスケするのは好きだが、チームメイトとそんなに酷似する程までやるのか?とふと青峰は疑問に思ったのだ。
「美桜は...俺の彼女だぜ」
一瞬言いよどむが、まぁ遅かれ早かれバレるかと思い高尾はホントのことを口にした。すると一瞬目を見開いた青峰だったが「そっか...」と目線を落とした。青峰の心に複雑な感情が渦巻いた。いつもいつも隣にいた美桜はいつの間にか心の拠り所を見つけていた。衝撃的な事実に素直に喜びたい所だったが、同時に寂しくも感じたのだ。
「まぁ...カズなら大丈夫だな。よろしくな、美桜の事」
青峰はそう言うと笑顔を見せるのだった。
青峰はこの感情の正体に気付けなかった。いや、気づいてこの気持ちに蓋をしたのかもしれない。もう絶対彼女の光を奪いたくない。彼女の幸福を願い、青峰は傍で見守るという選択をしたのだった。
「任しとけ!」
「あー...でも泣かせたら奪いに行くからな」
さらりと言った青峰は高尾に対しどす黒いオーラを放つのだった。
※
「ん?まあいいや、それよりテツヤ...あっ君は強いよ」
とりあえず美桜は考えるのを放棄することに決めた。
「わかってますよ」
「それならいいや...頑張ってね」
「次当たったらこの前の試合の続きだからな!テッちゃん!負けんじゃねぇーぞ!」
はい!と言った黒子の目は力強かった。この瞳をしているときの黒子が強いのは何より美桜自身が知っている。だから心配はしてない。きっと紫原の光は戻ってくるだろう次の試合をしっかり見届けなければと美桜は思うのだった。