First Year
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フィル視点
「フィル!一緒に行こう!」
マクゴナガル先生が担当する変身術の授業が終わり、次の授業の教室に向かおうとしていた時。ロンがハリーと共に駆け寄ってきた。
『あぁ、もちろん!一緒に行こう』
愛想良く微笑んで頷くと、2人は横に並んだ。
『それにしても、君たち2人揃って遅刻するなんてね』
そう、ハリーとロンは寮監がする初っ端の授業から遅刻してきたのだ。同室の俺はちゃんと2人を起こす努力はした。しかし起きなかったのだから仕方がないだろう。
「すぐ近くの机に制服と朝食がわりのサンドイッチを置いていてくれて助かったよ」
「うちのママみたいだ。うちも寝坊したら服とご飯が用意されてる。」
どうやらロンは愛されて育ったらしいな。これだけ健全に、明るく育ったのが両親の愛を一身に受けた証拠だろう。
俺はそんなロンが、少し羨ましいと感じた________。
翌日
本日の授業である魔法薬学の教室は地下にあった。薄暗く、ジメジメしている。
「本当に今って朝なのかな?」
ロンが言いたい事はよくわかる。あまりにも暗いのだ。蝋燭の炎が揺れてはいるが、広い廊下全てを照らし切る事はできていない。
『ルーモス』
杖を出して、杖先に灯りを灯す。
「うわぁ…。」
ハリーが感嘆の声を上げる。
教室はその場からすぐそこだった。
教室に入り、前の方に席を取る。そのまま雑談をしながら先生を待っていると、扉を大雑把に開ける音がした。そして扉を開けた本人、全体的に黒くて蝙蝠のような先生が入ってきた。
「げっ…。」
ロンが先生には分からないくらいの声で嫌そうな反応をした。
この先生はセブルス・スネイプ。スリザリンの寮監で、グリフィンドールへ対する嫌悪を隠す気がない。
…てかドア閉めろよ。開けたら閉める、これ常識な?
そう思い、無言で魔法を使ってドアを閉めた。これがいけなかったのだろうか。
「Mr.アイル。何をしているのかね?」
低い声が俺の名を呼び、冷たい目が俺を見下ろした。
『…何をしているも何も、扉を閉めただけですが。扉が開けっぱなしだったので。』
正直に答える。嘘はついていない。“あなたが開けっぱなしにした”と言わなかっただけ偉いと褒められるべきだろう。
「吾輩の授業では勝手な行動は慎む事ですな。Mr.アイルの教師の許可を得ない勝手な行動にグリフィンドール、5点減点。吾輩の授業では馬鹿馬鹿しい呪文を唱えたりは一切しない。直ちに杖をしまうように。」
…元はと言えばあなたが扉を開けっぱにするから…厭、やめよう。こんなこと考えても時間の無駄だ。ここは素直に謝罪しておくのが生きていくための術だ。
『はい、申し訳ございません。』
腹の立つ教師だ…。あまりはっきりと表情には出ていないが、その勝ち誇ったような目。お世辞にも教師が生徒に向ける目とは思えないな。
「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ゆらゆらと立ち昇る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である――ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
そんな演説を終えると、スネイプはまたこちらを見た。なんだ、怒られるようなこたはしてないぞ。
「時にMr.アイル、君の隣に座る生徒は一体何をしているのかね?自分には力があるから授業など聞かなくても良い、と驕っているようだが。」
ハリーのことか。さっきから何を書いているのかと思えばそんなことを書いていたのか。
とりあえず肘で小突く。ハリーはハッとした様子で顔をあげスネイプの顔を見た。
「Mr.ポッター。君は吾輩の質問に答えられるかね?まず初めにアスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」
簡単だ。答え眠り薬。それも強力な、“生ける屍の水薬”と呼ばれるほどのものだ。しかしハリーは魔法界の常識を知っているどころか、魔法界そのものを知らなかったような男だ。そして、この手の薬学的知識は学校で習うか、本で知るかのどちらかだ。予習をしていれば知っているかもしれないが、ハリーは知らなさそうだ。
「…わかりません」
ハリーの答えにスネイプは意地の悪い顔で次の質問をした。
「ベアゾール石を探すならどこを探す?」
山羊の胃。ベアゾール石は大抵の薬の解毒薬になる。昔、山羊の胃から取り出して作ろうとしたことがあるが、子供の手ではなかなか難しかった。
「…わかりません」
間髪入れずに次の質問。
「モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」
この二つは同じ植物ではなかっただろうか。他にもアコナイトと呼ばれているが…要はとりかぶとだ。
先ほどから挙手を無視され続けているグレンジャーが何故分からないのか、と言うような表情でハリーを見ている。
…すごいな、人間はあんなに1mmも微動だにせずに挙手することができるのか。ぼんやりとそう思っていると、ふとハリーが何かを書いていた羊皮紙が目に入る。
…なんだ、これは…ハリーが書いていたのは嫌味の混ざった謎の演説でスネイプが語った言葉だ。“感覚を狂わせる魔力”“名声を瓶詰めに”そして、“死にさえ蓋をする”。きちんと授業を受けているではないか。取らなくていいノートを取るほど。
真面目くんだな。
そう思いつつチラリとハリーの横顔を盗み見る。…割と綺麗な顔しているな…俺と違って性格も良いし、きっとモテるだろう。
「諸君、何故今のをノートに取らないのかね」
『!』
ぼーっとしている間に、先ほどの質問たちの解説が終わっていたようだ。何も聞いていなかったが、まぁ良いだろう。
その後は普通に薬の作り方を教わり、試しに作った。初回授業だからか、作りやすいものでよかった。完璧な薬を提出するとスネイプは少し悔しげな色を目に浮かべて、一瞬こちらを睨みつけた。
かなりわかりやすい人のようだ。彼のあの目は、俺の作った薬の調合が素晴らしかったと言うことだろう。
正直、わかりやすい人ほど操りやすいが、これほどまでに分かりやすく拗らせている人ほど面倒な人は居ないだろう。
授業が終わり、教室を出ると、ロンがイライラしたように言った。
「スネイプの奴、フレッドとジョージが嫌いだって言ってた理由がわかったよ。スリザリン贔屓なのは知ってたけど、ネチネチハリーに突っかかってきてさ。」
「僕が答えられないのも悪いけど…執拗に僕を当てる理由がわからないよ…」
いつだったか…ハリーの両親の話をハリーの両親と同学年だったという叔母__叔母は父の姉だが優しい人で、代々スリザリンで純血主義の我が家では珍しく、ハッフルパフだった魔女だ。俺は叔母によく懐き、いろいろな話を聞いた。__に聞いたことがある。
叔母の話では、ハリーの母親は綺麗な赤毛に緑色の瞳をした可愛らしい女性だったという。そして父親はスネイプと仲が悪く、榛色の瞳をした青年だったらしい。ハリーは女性らしい顔はしていない。まぁ、要するに
ハリーは、スネイプと仲の悪い父親に似た顔だと言うことだ。
そりゃ、嫌うだろうな。自分と仲が悪くて嫌いだった相手にそっくりなんだ。
1人納得している間に、次の教室に着いた。
次は、“飛行訓練”だ___
「フィル!一緒に行こう!」
マクゴナガル先生が担当する変身術の授業が終わり、次の授業の教室に向かおうとしていた時。ロンがハリーと共に駆け寄ってきた。
『あぁ、もちろん!一緒に行こう』
愛想良く微笑んで頷くと、2人は横に並んだ。
『それにしても、君たち2人揃って遅刻するなんてね』
そう、ハリーとロンは寮監がする初っ端の授業から遅刻してきたのだ。同室の俺はちゃんと2人を起こす努力はした。しかし起きなかったのだから仕方がないだろう。
「すぐ近くの机に制服と朝食がわりのサンドイッチを置いていてくれて助かったよ」
「うちのママみたいだ。うちも寝坊したら服とご飯が用意されてる。」
どうやらロンは愛されて育ったらしいな。これだけ健全に、明るく育ったのが両親の愛を一身に受けた証拠だろう。
俺はそんなロンが、少し羨ましいと感じた________。
翌日
本日の授業である魔法薬学の教室は地下にあった。薄暗く、ジメジメしている。
「本当に今って朝なのかな?」
ロンが言いたい事はよくわかる。あまりにも暗いのだ。蝋燭の炎が揺れてはいるが、広い廊下全てを照らし切る事はできていない。
『ルーモス』
杖を出して、杖先に灯りを灯す。
「うわぁ…。」
ハリーが感嘆の声を上げる。
教室はその場からすぐそこだった。
教室に入り、前の方に席を取る。そのまま雑談をしながら先生を待っていると、扉を大雑把に開ける音がした。そして扉を開けた本人、全体的に黒くて蝙蝠のような先生が入ってきた。
「げっ…。」
ロンが先生には分からないくらいの声で嫌そうな反応をした。
この先生はセブルス・スネイプ。スリザリンの寮監で、グリフィンドールへ対する嫌悪を隠す気がない。
…てかドア閉めろよ。開けたら閉める、これ常識な?
そう思い、無言で魔法を使ってドアを閉めた。これがいけなかったのだろうか。
「Mr.アイル。何をしているのかね?」
低い声が俺の名を呼び、冷たい目が俺を見下ろした。
『…何をしているも何も、扉を閉めただけですが。扉が開けっぱなしだったので。』
正直に答える。嘘はついていない。“あなたが開けっぱなしにした”と言わなかっただけ偉いと褒められるべきだろう。
「吾輩の授業では勝手な行動は慎む事ですな。Mr.アイルの教師の許可を得ない勝手な行動にグリフィンドール、5点減点。吾輩の授業では馬鹿馬鹿しい呪文を唱えたりは一切しない。直ちに杖をしまうように。」
…元はと言えばあなたが扉を開けっぱにするから…厭、やめよう。こんなこと考えても時間の無駄だ。ここは素直に謝罪しておくのが生きていくための術だ。
『はい、申し訳ございません。』
腹の立つ教師だ…。あまりはっきりと表情には出ていないが、その勝ち誇ったような目。お世辞にも教師が生徒に向ける目とは思えないな。
「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ゆらゆらと立ち昇る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である――ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」
そんな演説を終えると、スネイプはまたこちらを見た。なんだ、怒られるようなこたはしてないぞ。
「時にMr.アイル、君の隣に座る生徒は一体何をしているのかね?自分には力があるから授業など聞かなくても良い、と驕っているようだが。」
ハリーのことか。さっきから何を書いているのかと思えばそんなことを書いていたのか。
とりあえず肘で小突く。ハリーはハッとした様子で顔をあげスネイプの顔を見た。
「Mr.ポッター。君は吾輩の質問に答えられるかね?まず初めにアスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」
簡単だ。答え眠り薬。それも強力な、“生ける屍の水薬”と呼ばれるほどのものだ。しかしハリーは魔法界の常識を知っているどころか、魔法界そのものを知らなかったような男だ。そして、この手の薬学的知識は学校で習うか、本で知るかのどちらかだ。予習をしていれば知っているかもしれないが、ハリーは知らなさそうだ。
「…わかりません」
ハリーの答えにスネイプは意地の悪い顔で次の質問をした。
「ベアゾール石を探すならどこを探す?」
山羊の胃。ベアゾール石は大抵の薬の解毒薬になる。昔、山羊の胃から取り出して作ろうとしたことがあるが、子供の手ではなかなか難しかった。
「…わかりません」
間髪入れずに次の質問。
「モンクスフードとウルフスベーンとの違いはなんだね?」
この二つは同じ植物ではなかっただろうか。他にもアコナイトと呼ばれているが…要はとりかぶとだ。
先ほどから挙手を無視され続けているグレンジャーが何故分からないのか、と言うような表情でハリーを見ている。
…すごいな、人間はあんなに1mmも微動だにせずに挙手することができるのか。ぼんやりとそう思っていると、ふとハリーが何かを書いていた羊皮紙が目に入る。
…なんだ、これは…ハリーが書いていたのは嫌味の混ざった謎の演説でスネイプが語った言葉だ。“感覚を狂わせる魔力”“名声を瓶詰めに”そして、“死にさえ蓋をする”。きちんと授業を受けているではないか。取らなくていいノートを取るほど。
真面目くんだな。
そう思いつつチラリとハリーの横顔を盗み見る。…割と綺麗な顔しているな…俺と違って性格も良いし、きっとモテるだろう。
「諸君、何故今のをノートに取らないのかね」
『!』
ぼーっとしている間に、先ほどの質問たちの解説が終わっていたようだ。何も聞いていなかったが、まぁ良いだろう。
その後は普通に薬の作り方を教わり、試しに作った。初回授業だからか、作りやすいものでよかった。完璧な薬を提出するとスネイプは少し悔しげな色を目に浮かべて、一瞬こちらを睨みつけた。
かなりわかりやすい人のようだ。彼のあの目は、俺の作った薬の調合が素晴らしかったと言うことだろう。
正直、わかりやすい人ほど操りやすいが、これほどまでに分かりやすく拗らせている人ほど面倒な人は居ないだろう。
授業が終わり、教室を出ると、ロンがイライラしたように言った。
「スネイプの奴、フレッドとジョージが嫌いだって言ってた理由がわかったよ。スリザリン贔屓なのは知ってたけど、ネチネチハリーに突っかかってきてさ。」
「僕が答えられないのも悪いけど…執拗に僕を当てる理由がわからないよ…」
いつだったか…ハリーの両親の話をハリーの両親と同学年だったという叔母__叔母は父の姉だが優しい人で、代々スリザリンで純血主義の我が家では珍しく、ハッフルパフだった魔女だ。俺は叔母によく懐き、いろいろな話を聞いた。__に聞いたことがある。
叔母の話では、ハリーの母親は綺麗な赤毛に緑色の瞳をした可愛らしい女性だったという。そして父親はスネイプと仲が悪く、榛色の瞳をした青年だったらしい。ハリーは女性らしい顔はしていない。まぁ、要するに
ハリーは、スネイプと仲の悪い父親に似た顔だと言うことだ。
そりゃ、嫌うだろうな。自分と仲が悪くて嫌いだった相手にそっくりなんだ。
1人納得している間に、次の教室に着いた。
次は、“飛行訓練”だ___