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夏の残響

彼らで続く物語を観たかった。
あまりにも短い物語だった。

そこにいた彼らの中で、一人が取り残された。

「新たな仲間が来る、さみしがることは無い」

その言葉で彼の周りにいた、今までの仲間が背を向けた。
彼らの前には、もう道が続かないのだ。
引き返し、別の道に進むしかない。

取り残された彼だけが、先を、前をみている。

「頑張れよ」
「お前なら大丈夫だ」

終わりがあるにしても、なぜ、自分ひとりが取り残されるのか、なぜ、続く物語を、景色の違う仲間と綴るのか。

「またね」

新しい仲間と、彼は前へ前へと歩んで行く。

「これからこの仲間と同じ景色を見れるようになるのなら、去った皆ともまたどこかで会えるんだろう?」

この先がどんな道になっていても、引き返すことが出来ない。

また会えると信じて、私も待ち続けよう。彼が綴った、紡いできた、この世界で。


どこかで誰かが叫んだ。
悲しいのか、悔しいのか。

彼らがいなくなった世界は、今日も夏だった。

「今日は珍しく早いな。」
景色の違う仲間が、彼の隣にいた。

「…そうかな。」
彼は悲しさを押し殺した。


夏の残響。
去った人は別の世界を歩む。
残ったものは世界を背負う。
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