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1巡目「しらせ」

「しらせさん」の噂を簡略化するとこうだ。
火内中学校の図書室の書庫に黒い本があったのだが、それを校外へ持ち出した生徒が行方不明になった。
その生徒が「しらせさん」になって現れ、自分がいつどこで死ぬか、なんて事を教えてくれるそうだ。
それで、その黒い本は火内霊山の神様が作った本で、しらせさんは神様の使いだと言う話だ。

「という事だ、頑張ってしらせさんと黒い本を見つけよう!」

「そんな噂を間に受けてるのか?中学生の作り話にしか聞こえないぞ。」

火内霊山に向かう気満々の巡。その行動力と計画の無さに呆れる自分。仲の悪そうな2人だろうが、これでも幼なじみ。考えなんて分かりきっている。

巡が意気揚々と準備をしていた時、研究所の扉が開き、階段を駆け上がる音が聞こえてきた、と思ったらすぐに部屋の扉が開いた。
「空野さん火名瀬さんお疲れ様です!!遅れましたすみません!!」
息を切らしてやって来たのは後輩の金井 蓮。俺らが通っていた大学の後輩だ。

「少し落ち着いてくれ。」
「火名瀬さんに怒られたくなくて頑張って来たんです!」
「俺がいつ怒った?」
「既に怒ってるじゃないですかぁ…」

そんな会話をしていると巡の準備が終わったようだ。とても素早い準備だが、一応荷物確認をする。「和は父さんというより母さんぽいところがあるね」とにやにやしている巡と金井。一応成人しているのだから、もう少しお前らもしっかりして欲しい。
「あれ、そう言えば『みなと』は?」
「『みなと』は俺と授業が違うので遅れてきますねぇ、先に行ってて良いよって言ってました。」
「『みなと』も大変だよね、『みなと』家の跡継ぎなんだろう?」
金井の友人もこの研究所に出入りしているのだが、そいつの名前が単純でややこしい。「水門みなと」…みなと・みなと。という何とも言い難い名前なのだ。
ちなみに、水門家は火内町を栄えさせた一族で、昔は火内のそこら一体の土地が水門家の物だったとか。ここらで一番の金持ちだ。
うちの『火名瀬』家はまぁ水門家の次に金持ちだろうと思っている、兄が跡継ぎになると言うので俺は気侭に過ごしているのだが。
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