紅夜叉姫~大江戸剣姫浪漫潭〜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
--ひらり。
桜の花びらがさくらの頬をくすぐる。
それでさくらは目が覚めた。
今日は会社の花見会。ヒラ社員ズVS上司ーズで『叩いてかぶってジャンケンポン』をおっぱじめたり、酒盛ったりしているうちにグダグダになり、いつのまにか夜になっていた。
社員はみんなアルコール過多なのか眠りこけている者もいる。
さくらは辺りを見回すと、坂田がいないことに気付いた。
どこに行ったのだろう。そろそろお開きにしないといけないのに。
さくらは探しに行くことにした。
今夜は下弦の月が綺麗だ。
高台にある大桜の木。そのそばで、月の光に照らされて白く輝く髪の男がいることにさくらは気付いた。
探し求めていた、坂田だった。
さくらは彼の元に近寄ろうとした。
突然ざぁっと風が吹きすさぶ。大桜の桜のはなびらがふわり、ふわりと舞い踊った。
しかし奇妙だった。舞う花びらがあまりにも緋く感じられた。まるで血にまみれたかのように。
怪訝に感じながらも、桜の樹の下にたどり着いたさくらは坂田に声をかけた。
「坂田さん、戻りませんか?そろそろお開きにしないと」
さくらの声にゆっくり振り向く坂田。顔も身体も血に塗れていた。さくらを見る目は虚だった。
「ど、どうしたんですか?その血。まさか……」
さくらは坂田のそばにある、地面に突き刺さるあるものに気付いた。
「桜子……」
「……え?」
坂田は聞き取れないほどの声で誰かの名前を呟いた。そして一歩ずつさくらに近付いて抱き締め、すぅっと消えていった。
何だったのだろう。さくらは辺りを見回した。
誰もいない。
さくらは地面に突き刺さるものを見下ろした。日本刀のようだった。鍔に巻かれた桜色のリボンが風にはためいている。
さくらはそっと抜いてみた。
刀身が月の光に照らされて桃色に輝いている。それもまた血に塗れていた。まるで数多の戦を乗り越えてきたかのように。
不意に何かのビジョンがさくらの頭の中に流れてきた。その中の少女はどこかさくらに似ていて。喜び、悲しみ、戦に立ち向かう強い眼差し。少女はいつかの戦乙女のようだった。
少女がこと切れる瞬間の後、さくらは気を失っていた。
1/1ページ