Act.1 蛙の王様
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さて、銀時たちと別行動を取っていた新八はこの辺りの状況を探る為、森の中を歩いていた。
集落があればそこで情報を得ようと思っていたのだが。
行けども行けども鬱蒼とした大木の群ればかり。
歩き続けて、新八の体力は少しずつ疲弊していた。
「はぁ……」
疲れ果て、木の幹に腰を下ろし休もうとした時だった。
突如、女性の絹を裂く声が響いていた。
声のした方向へ駆け寄る新八。
そこには、胸に鉄の箍をはめさせられた一人の少女が居た。
その少女には見覚えがあった。頭に猫耳が生えていたから。
「……エ、エロメスちゃん」
エロメス――、男に好意があるように見せ掛けて近付き、金品を拝借してしまう恋愛詐欺師・キャッツイアー。
新八もかつては被害者の一人だった。
「新八さん…」
エロメスの濡れた口唇が微かに動いた。
ぷるりとした口唇が、新八の男心を擽る。
「……っ。」
さらに畳み掛けるように媚びた声で哀願する。
「…たすけて、新八さん。お願い……」
エロメスが真摯な眼差しで見詰めてくる。
新八の心は助けたい気持ちが高まっていた。
しかし一方で躊躇いがあった。
彼女は一度自分を騙している。
自分の恋愛経験の無さが招いた事だけれど、人の気持ちを弄んだのは彼女の方だ。
また彼女の媚態に騙されてしまうのか。
もしもそうなら自分は学習能力のない人間、ということになる。
助けるべきか、助けざるべきか……
そう葛藤しているうちに、エロメスは耳を垂れ顔を俯かせた。
「お願い…苦しいの……」
彼女の瞳から涙が零れた。
やはり涙は女の武器だ。
女の子の苦しむ姿は見たくないと、新八は意を決して彼女の傍に駆け寄った。
「どこから外すんですか?」
「…そこの錠を」
背中の方に錠がついている。
腕も拘束されていた為、彼女自身では外す事が出来なかったのだ。
新八は苦戦はしたものの、硬い鉄の箍を外す事が出来た。
胸を締め付けられていた所為で咳き込むエロメス。
「大丈夫?エロメスちゃん」
「はい。ありがとう…」
彼女の口端が少し持ち上がった。
瞬間、新八が箍をはめさせられていた。
「ちょっ、何を…!?」
「アーハッハッハ♪やっぱり男って馬鹿なんだから!」
恋愛詐欺師・キャッツイアーの高笑いが辺りに響いた。
何時の間にすり盗ったのか新八の財布に頬擦りしながら、
「あたしの代わりに苦しんで頂戴。ちゃ~お♪」
そう言い捨て、さっさと逃げて行った。
また騙された。
新八は心底自分の甘さを呪った。
やはり男は馬鹿な生き物なのかも知れない。
悔しそうに唇を噛んでいた。
「……くっ……」
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