かぶき町にある『万事屋銀ちゃん』
看板にある通り、「銀ちゃん」は主人の愛称であり、町のなんでも屋で有名でした。
なんでも屋といっても、毒消し草とかポー〇ョンとか売ってる店ではなく、金さえ貰えればどんな依頼も引き受けるという、そんな商売。
主人の名は、坂田銀時。
かつては『白夜叉』とかで敵味方問わず恐れられた存在……と、とあるカツラ疑惑の長髪侍が云っておりましたが、今じゃあそんな面影など感じない死んだ魚のような瞳。
万事屋の仕事は依頼がある時だけなので、待機中は滅法暇なわけです。
表向き自営業を装い、好きな時に起きて、好きな時(よりもジリ貧の時)に仕事して、後はジャンプ読んだりパフェ食べに行ったり。それなんてNEET？と思われるかも知れませんが、いざという時にはあの死んだ魚のような瞳が煌めくらしいのです。



ピンポーン



朝も早よから玄関の呼び鈴が鳴ります。


「客来たアル。メガネ、出ろヨ～」


小さい身体ながらふん反り返って座るこの中国系の少女は神楽。
出稼ぎ天人(日本人以外はこう呼ばれるらしいのです)である彼女の正体は、傭兵部族『夜兎』の末裔であり、無闇に喧嘩をふっかけてはいけない相手、と銀さんは云います。


「だーっ！人遣い荒いな、この娘っこー！！」


少女にキレてるこの眼鏡少年は志村新八。
少々頼りなさ気だが、これでも町道場『恒道館』の若き当主。
当主といえばカッコイイが、眼鏡かけてる所為か恒道館道場は没落寸前。
今は姉の稼ぎで何とか体裁を保っている、という現状である。


「……ちょっと、眼鏡関係ないだろーがァ！！」


あ、眼鏡光らせてツッコまれてしまいました。


「いーから玄関行けヨ、ダメガネ。ツッコミと客の応対しか能がないくせに」

「全く、ムカつきチャンピオンだなこの餓鬼ィ！」


しぶしぶ玄関へ向かう新八でした。