2日目
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次の日。まさかとは思っていたけど、本当に異変が起きるなんて考えていなかった。
ガシャン
手を滑らせたのか、玲名は持っていたお皿を落とした。
「ちょっとどうしたのよ」
不思議そうに布美子が割れてしまったお皿の欠片を拾いながら、呆然と立ち尽くす玲名を見る。
何かあったのだろうかとその場にいたメンバーの視線は、自然と玲名が今見ている方へ向く。
そこには、ソファーに座ってアイスを食べながら雑誌を読む風介がいた。
そしてその右肩辺りに青葉が浮いている。…もしかして、玲名にも見えてるのかな?
周りを見渡せばきょとんとしているやつが大半だけど、固まっているのも何人かいた。
「ヒロト、これってやっぱりさ」
「そう、だよね…」
「玲名以外にも見えているみたいだけど…」
「っ、どういうことなんだ!」
「な、何だ!」
「え、玲名!?」
硬直が解けたらしい玲名が、風介の胸ぐらを掴んだ。状況を把握していない風介は、目を白黒させている。
「だから、お前の右肩に、そこにいるのは誰だと聞いているんだ!」
どこか泣きそうな玲名の表情を見て、確証を持つ。間違いない、見えているんだ。
青葉はみんなから好かれていたけど、女子メンバーの中では特に玲名に可愛がられていたから。
「とりあえず落ち着「これが落ち着いていられるものか!」
「ぐはあっ!」
「うわ…痛そー…」
止めに入った晴矢の鳩尾に、玲名の裏拳がクリーンヒットした。その場に蹲る晴矢に、血相を変えた茂人が駆け寄る。
晴矢には悪いけど、声をかけなくてよかったと思った。緑川を見れば、明後日の方向を見ていた。
青葉を見れば、慌てたように風介と晴矢の間を行ったり来たりしている。
「私も気になるわね」
「あたしも」
「えっと…、晴矢は何か知ってる?」
「わり…今…無理………」
…相当痛かったらしい。顔色が悪いことから、そう伺える。
でもごめんね。今晴矢を気にしていたら、風介まで犠牲になってしまうから。
「ぐっ…」
「ちょ、絞まってる!絞まってるよ!」
「ほら、絞めてたら話せることも話せないから、一回離そうか」
「……」
渋々といった様子で玲名は手を話した。噎せる風介の背中を修児が擦って、由紀が水を持ってきた。
宇宙人の頃からそうだったけど、風介はダイヤモンドダストのメンバーに本当に慕われている。
いや、そんなこと考えている場合じゃなかった。
「どういうことなのか話せ」
「あ、うん…」
威圧感が凄すぎるよ、玲名。
「…つまり、一昨日はヒロトが、昨日は晴矢たちが突然見えるようになった、と…」
「そうなるね」
腕を組んで仁王立ちをしている玲名を筆頭とした女子メンバー…の前で正座をしながら話す俺たち。
やっぱり玲名たちには逆らえない。その結果がさっきの晴矢だからね…。何でお日さま園の女子は、こう、気が強いのか。
そんな様子を見ながら、青葉はおろおろと飛び回っていた。
「何故すぐに言わなかった?」
「仮に言ったとして、受け入れられたのか?」
「それは…」
質問を質問で返された玲名が、言葉を詰まらせる。見えないものを理解しろ、という方が無茶だと思う。
「なんつーか、昨日はとりあえず様子見ってことにしたんだよ」
「もしかしたら、俺たちみたいに見えるようになるかもしれなかったからね」
「成る程な…」
「でも、玲名たちにも見えるようになって嬉しいよ!」
青葉の言葉に玲名が微笑んだ。
何年経っても、玲名が青葉に甘いのは変わらないみたいだ。
…あ、ちょっと足痺れてきた。風介も顔ひきつってるし…。
「あのさ玲名。提案なんだけど、そろそろ正座…」
「却下だ」
「何で!?」
提案をバッサリ切り捨てた玲名に、緑川がツッコむ。ちなみに俺も同意見。
晴矢悶絶してるし…。もう限界みたいだ。
「だって、例え1日2日でも、私たちより先に見えるようになるなんて狡いじゃない」
布美子は笑っているけど、目が笑っていない。怖い。
「理不尽だろ……って、足、触んな風介ぇえええ!!!」
「フッ、ぶ、無様だね」
「お前も必死じゃねえか!」
いつもみたいに取っ組み合いの喧嘩を始めようとした2人を、ルルがハリセンで叩いた。
スパーンと清々しい音が響き渡り、その場に踞る赤と白。苦笑いしつつ、笑い転げている青葉を見て少しホッとする。
無意識かもしれないけど、俺たちに気を使ってかどこか控えめな言動だったから。
「相変わらずだね、2人とも」
「ああ。晴矢は相変わらずの単細胞だ」
「なんだと!?この暴風頭!」
「チューリップに言われたくはないな」
「この厨二袖捲り!」
「な…、黙れ効果音!」
「テメェ…、痛々しいセリフばっか吐きやがって!」
「その言葉、そっくりそのまま返させてもらおうか」
睨み合う2人の頭に、今度は玲名の鉄拳が炸裂した。そしてそのまま説教コース。
いつもの、宇宙人になる前の日常。
懐かしく思いつつ、なんとも言えない感情に襲われる。
「変わってないね、みんな」
そんなことないんだ。
変わってないところも確かにある。
けど、あの事を境に変わったとこともあるんだ。
俺たちは、取り返しのつかないことをしてしまった。
だから、一生その罪を背負って生きていかねばならない。
→あとがき&名前メモ
ガシャン
手を滑らせたのか、玲名は持っていたお皿を落とした。
「ちょっとどうしたのよ」
不思議そうに布美子が割れてしまったお皿の欠片を拾いながら、呆然と立ち尽くす玲名を見る。
何かあったのだろうかとその場にいたメンバーの視線は、自然と玲名が今見ている方へ向く。
そこには、ソファーに座ってアイスを食べながら雑誌を読む風介がいた。
そしてその右肩辺りに青葉が浮いている。…もしかして、玲名にも見えてるのかな?
周りを見渡せばきょとんとしているやつが大半だけど、固まっているのも何人かいた。
「ヒロト、これってやっぱりさ」
「そう、だよね…」
「玲名以外にも見えているみたいだけど…」
「っ、どういうことなんだ!」
「な、何だ!」
「え、玲名!?」
硬直が解けたらしい玲名が、風介の胸ぐらを掴んだ。状況を把握していない風介は、目を白黒させている。
「だから、お前の右肩に、そこにいるのは誰だと聞いているんだ!」
どこか泣きそうな玲名の表情を見て、確証を持つ。間違いない、見えているんだ。
青葉はみんなから好かれていたけど、女子メンバーの中では特に玲名に可愛がられていたから。
「とりあえず落ち着「これが落ち着いていられるものか!」
「ぐはあっ!」
「うわ…痛そー…」
止めに入った晴矢の鳩尾に、玲名の裏拳がクリーンヒットした。その場に蹲る晴矢に、血相を変えた茂人が駆け寄る。
晴矢には悪いけど、声をかけなくてよかったと思った。緑川を見れば、明後日の方向を見ていた。
青葉を見れば、慌てたように風介と晴矢の間を行ったり来たりしている。
「私も気になるわね」
「あたしも」
「えっと…、晴矢は何か知ってる?」
「わり…今…無理………」
…相当痛かったらしい。顔色が悪いことから、そう伺える。
でもごめんね。今晴矢を気にしていたら、風介まで犠牲になってしまうから。
「ぐっ…」
「ちょ、絞まってる!絞まってるよ!」
「ほら、絞めてたら話せることも話せないから、一回離そうか」
「……」
渋々といった様子で玲名は手を話した。噎せる風介の背中を修児が擦って、由紀が水を持ってきた。
宇宙人の頃からそうだったけど、風介はダイヤモンドダストのメンバーに本当に慕われている。
いや、そんなこと考えている場合じゃなかった。
「どういうことなのか話せ」
「あ、うん…」
威圧感が凄すぎるよ、玲名。
「…つまり、一昨日はヒロトが、昨日は晴矢たちが突然見えるようになった、と…」
「そうなるね」
腕を組んで仁王立ちをしている玲名を筆頭とした女子メンバー…の前で正座をしながら話す俺たち。
やっぱり玲名たちには逆らえない。その結果がさっきの晴矢だからね…。何でお日さま園の女子は、こう、気が強いのか。
そんな様子を見ながら、青葉はおろおろと飛び回っていた。
「何故すぐに言わなかった?」
「仮に言ったとして、受け入れられたのか?」
「それは…」
質問を質問で返された玲名が、言葉を詰まらせる。見えないものを理解しろ、という方が無茶だと思う。
「なんつーか、昨日はとりあえず様子見ってことにしたんだよ」
「もしかしたら、俺たちみたいに見えるようになるかもしれなかったからね」
「成る程な…」
「でも、玲名たちにも見えるようになって嬉しいよ!」
青葉の言葉に玲名が微笑んだ。
何年経っても、玲名が青葉に甘いのは変わらないみたいだ。
…あ、ちょっと足痺れてきた。風介も顔ひきつってるし…。
「あのさ玲名。提案なんだけど、そろそろ正座…」
「却下だ」
「何で!?」
提案をバッサリ切り捨てた玲名に、緑川がツッコむ。ちなみに俺も同意見。
晴矢悶絶してるし…。もう限界みたいだ。
「だって、例え1日2日でも、私たちより先に見えるようになるなんて狡いじゃない」
布美子は笑っているけど、目が笑っていない。怖い。
「理不尽だろ……って、足、触んな風介ぇえええ!!!」
「フッ、ぶ、無様だね」
「お前も必死じゃねえか!」
いつもみたいに取っ組み合いの喧嘩を始めようとした2人を、ルルがハリセンで叩いた。
スパーンと清々しい音が響き渡り、その場に踞る赤と白。苦笑いしつつ、笑い転げている青葉を見て少しホッとする。
無意識かもしれないけど、俺たちに気を使ってかどこか控えめな言動だったから。
「相変わらずだね、2人とも」
「ああ。晴矢は相変わらずの単細胞だ」
「なんだと!?この暴風頭!」
「チューリップに言われたくはないな」
「この厨二袖捲り!」
「な…、黙れ効果音!」
「テメェ…、痛々しいセリフばっか吐きやがって!」
「その言葉、そっくりそのまま返させてもらおうか」
睨み合う2人の頭に、今度は玲名の鉄拳が炸裂した。そしてそのまま説教コース。
いつもの、宇宙人になる前の日常。
懐かしく思いつつ、なんとも言えない感情に襲われる。
「変わってないね、みんな」
そんなことないんだ。
変わってないところも確かにある。
けど、あの事を境に変わったとこともあるんだ。
俺たちは、取り返しのつかないことをしてしまった。
だから、一生その罪を背負って生きていかねばならない。
→あとがき&名前メモ