とある夏の思い出
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最後の日になった。
何がしたい?そう問いかけてくるみんなに、あたしとアツヤは顔を見合わせ、言った。
……当然、
「「サッカー!!!」」
これに決まってる!
「アトミックフレア!」
「やらせないよ!流星ブレードッ!」
「あ、てめっ」
「バカ、何やってるんだ!」
「なら風介がやれよ!」
「貰った!」
「甘いよリュウジ!アイスグランド!」
「うわっ」
「エターナルブリザード!」
「ドリルスマッシャー!」
「チッ、くっそお!」
「お前の兄の方が強力なシュートを打っていたな」
「な……ぜってー今日中に破ってやるからな!」
「覚悟しろよ!」とボールを追い駆け出すアツヤ。それを見る砂木沼さんも、どこか楽しそうだ。
あたしは気持ち的に疲れたから、杏と交代する。やりたいとは言ったけど、みんな元気すぎ。
無我夢中で走り回るみんなを見ていると、玲名と交代したヒロトがやってきて、あたしの隣に座った。
「ヒロトも疲れたの?」
「うん。ちょっと休憩」
ん、と軽く体を伸ばして、ヒロト後ろに倒れ込んだ。「汚れるよ」「いいよ、これくらい」いいのか。
ノリであたしも倒れ込んだで、ヒロトをチラッと見る。晴矢も風介もかっこいいけど、ヒロトはもっとかっこいいと思う。
端正な横顔。美形だとつくづく思う。女子顔負けの白い肌。切れ長な瞳は優しくて……って、何を解説してるだか。
ヒロトもいつか、可愛い彼女とか作るのかな。……それはちょっと、嫌かもしれない。
「ヒロト」
「どうしたの、青葉」
「あたしさ、このお日さま園が、みんなが大好きだよ」
「……」
「でもね、ヒロトが一番好き!」
「っな、」
「じゃ、サッカーやってきまーす!」
あたしは逃げるように立ち上がって、晴矢の背中に飛び付いてみた。蹴られた。
完全に不意討ちをされた。
一番好き、なんてさ。そういう意味に受け取ってしまうよ。……いや、実際そうなのかもしれないけど。
一瞬、青葉とアツヤが透けて見えた。瞬きする間にそれは元通りになったけれど、何人かは気づいてる。
一旦抜けたらしい晴矢と風介が、こちらに歩いてきた。
「本当にいいのか」
「いいのかって……何が?」
「青葉のことに決まってんだろ。お前青葉が、」
「晴矢、ストップ」
晴矢の言葉を手で制する。これ以上言うのは、お互いにもっと辛くなるだけだ。
「そういう風介はどうなの?」
「癪だが、青葉を幸せに出来るのはお前だけだと思う」
「幸せにするも何もないと思うけど……」
今更、というか。
「とにかく、伝えるつもりはないよ。それこそ、墓場まで持っていく」
「私もだ」
「お前らほんと一途だよなあ」
呆れたようにため息を吐いた晴矢が、「ん」手を差し出してきた。その手を取って、立ち上がる。
「次、3TOPでやろうよ」
「はあ?何で急に」
「いいからいいから」
「フッ、点を決めるのは私だ」
「いいや、俺だよ」
「それなら俺だ」
「「「……勝負だ!」」」
俺たちも、いつまでこうしていられるのかな。
2人の体が透明になった。元に戻ることはなく、少しずつ色を失っていく。
「(……ああ)」
お別れの時が来たんだね。
玲名たちは今にも泣きそうだ。というか、愛や杏は既に泣いている。
大夢は顔を背けて、隆一郎は拳を握り、恭馬のいつもの飄々とした笑みはどこにもない。
分かってたし、受け入れたつもりだったんだけどなあ。いざこうなると、苦しいや。
「みんな、1ヶ月間ありがとう。みんなとまた会えて、本当に良かった!」
「オレも、最初はなんとなく顔出しただけだったんだけどな……お前らと会えて良かった」
「あたしたちはこれから生まれ変わる。……記憶も無くなって、また生まれてくる」
「けどまあ、いつかまた会えるんじゃねーかとは思う」
「だからね、今度また会った時も、」
「「サッカーやろうぜ!!!」」
お決まりの文句。2人ならきっと、こう言うと思ってた。
「もちろんだよ……!」
掠れて、上手く声が出ない。ちゃんと言葉になっていただろうか。
嫌だ。いかないで。本心はそれだ。でも、手を伸ばすようなことはしない。
別れは出会いへのキックオフだと、きっと"彼"ならそう言うだろう。
だから、悔やんだり、悲しんだりなんかしない。辛いけど、それはみんな同じだ。
「またね、青葉!アツヤ!」
さよならなんて、言わないよ。
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何がしたい?そう問いかけてくるみんなに、あたしとアツヤは顔を見合わせ、言った。
……当然、
「「サッカー!!!」」
これに決まってる!
「アトミックフレア!」
「やらせないよ!流星ブレードッ!」
「あ、てめっ」
「バカ、何やってるんだ!」
「なら風介がやれよ!」
「貰った!」
「甘いよリュウジ!アイスグランド!」
「うわっ」
「エターナルブリザード!」
「ドリルスマッシャー!」
「チッ、くっそお!」
「お前の兄の方が強力なシュートを打っていたな」
「な……ぜってー今日中に破ってやるからな!」
「覚悟しろよ!」とボールを追い駆け出すアツヤ。それを見る砂木沼さんも、どこか楽しそうだ。
あたしは気持ち的に疲れたから、杏と交代する。やりたいとは言ったけど、みんな元気すぎ。
無我夢中で走り回るみんなを見ていると、玲名と交代したヒロトがやってきて、あたしの隣に座った。
「ヒロトも疲れたの?」
「うん。ちょっと休憩」
ん、と軽く体を伸ばして、ヒロト後ろに倒れ込んだ。「汚れるよ」「いいよ、これくらい」いいのか。
ノリであたしも倒れ込んだで、ヒロトをチラッと見る。晴矢も風介もかっこいいけど、ヒロトはもっとかっこいいと思う。
端正な横顔。美形だとつくづく思う。女子顔負けの白い肌。切れ長な瞳は優しくて……って、何を解説してるだか。
ヒロトもいつか、可愛い彼女とか作るのかな。……それはちょっと、嫌かもしれない。
「ヒロト」
「どうしたの、青葉」
「あたしさ、このお日さま園が、みんなが大好きだよ」
「……」
「でもね、ヒロトが一番好き!」
「っな、」
「じゃ、サッカーやってきまーす!」
あたしは逃げるように立ち上がって、晴矢の背中に飛び付いてみた。蹴られた。
完全に不意討ちをされた。
一番好き、なんてさ。そういう意味に受け取ってしまうよ。……いや、実際そうなのかもしれないけど。
一瞬、青葉とアツヤが透けて見えた。瞬きする間にそれは元通りになったけれど、何人かは気づいてる。
一旦抜けたらしい晴矢と風介が、こちらに歩いてきた。
「本当にいいのか」
「いいのかって……何が?」
「青葉のことに決まってんだろ。お前青葉が、」
「晴矢、ストップ」
晴矢の言葉を手で制する。これ以上言うのは、お互いにもっと辛くなるだけだ。
「そういう風介はどうなの?」
「癪だが、青葉を幸せに出来るのはお前だけだと思う」
「幸せにするも何もないと思うけど……」
今更、というか。
「とにかく、伝えるつもりはないよ。それこそ、墓場まで持っていく」
「私もだ」
「お前らほんと一途だよなあ」
呆れたようにため息を吐いた晴矢が、「ん」手を差し出してきた。その手を取って、立ち上がる。
「次、3TOPでやろうよ」
「はあ?何で急に」
「いいからいいから」
「フッ、点を決めるのは私だ」
「いいや、俺だよ」
「それなら俺だ」
「「「……勝負だ!」」」
俺たちも、いつまでこうしていられるのかな。
2人の体が透明になった。元に戻ることはなく、少しずつ色を失っていく。
「(……ああ)」
お別れの時が来たんだね。
玲名たちは今にも泣きそうだ。というか、愛や杏は既に泣いている。
大夢は顔を背けて、隆一郎は拳を握り、恭馬のいつもの飄々とした笑みはどこにもない。
分かってたし、受け入れたつもりだったんだけどなあ。いざこうなると、苦しいや。
「みんな、1ヶ月間ありがとう。みんなとまた会えて、本当に良かった!」
「オレも、最初はなんとなく顔出しただけだったんだけどな……お前らと会えて良かった」
「あたしたちはこれから生まれ変わる。……記憶も無くなって、また生まれてくる」
「けどまあ、いつかまた会えるんじゃねーかとは思う」
「だからね、今度また会った時も、」
「「サッカーやろうぜ!!!」」
お決まりの文句。2人ならきっと、こう言うと思ってた。
「もちろんだよ……!」
掠れて、上手く声が出ない。ちゃんと言葉になっていただろうか。
嫌だ。いかないで。本心はそれだ。でも、手を伸ばすようなことはしない。
別れは出会いへのキックオフだと、きっと"彼"ならそう言うだろう。
だから、悔やんだり、悲しんだりなんかしない。辛いけど、それはみんな同じだ。
「またね、青葉!アツヤ!」
さよならなんて、言わないよ。
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