とある夏の思い出
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
少年は建前が欲しかった。
初めて青葉と喧嘩をした。しかも、大喧嘩。
手紙を読んだ青葉の目は、どこかオレのことを責めているように見えて、ムカついた。
……未練がまだある青葉に、何故か行きづらそうにしていたお日さま園を見に行くように勧めたのは、オレだ。
気にしてた癖に、結局直にアイツらの戦いを見に行ったのは、ジェネシス?の時だけ。それ以外はテレビ中継。
遠目で見て近くに行きたがらないのがまどろっこしくて、半ば強引に行かせて、結果はどうだ?
未練なんか、これっぽっちも無くなってないじゃないか。
別れるのが辛くなるなら、来なければ良かった。
青葉の目は、そう言っていた。責められて、同然だったのかもしれない。
時間はもうあまりない。そのことがなんとなく分かった頃、オレの未練は無くなった。
兄ちゃんと、兄ちゃんの中にいたオレが溶け合って、1つになって、兄ちゃんは仲間がいるってことを理解した。
父さんが言っていた、完璧の本当の意味を。
どこまでも飛んでいけそうなくらい、体が軽くなった。
それと同時に怖かった。
未練が無くなったってことは、生まれ変わるのに何の障害も無くなったということで、
生まれ変わるのが、どうしようもなく怖かった。
生まれ変わったら、どうなるのか。少なくとも、吹雪アツヤは完全にいなくなるのは間違いない。
青葉はというと、エイリア学園の事件が終わってからもそうなることはなかったから、未練はまだあるようだった。
だから、勧めた。
オレは利用したんだ。
一緒にいるという約束を、オレがこの世にいる為の理由にした。
最初は少しでも長くいられればいいと思った。青葉がいた孤児院――お日さま園に行くことを渋るのは、予想出来てたから。
近くに行ったら、余計に未練が無くならない。青葉の反論を逃げだと断定して、それじゃあ逆に未練が無くならないと言い切った。
実際そう思ってたし、1人でいくのが嫌だったから、道連れというか。それでも行くのに1ヶ月はかかって、それからやっと園の近くまで行った。
これで青葉も成仏出来る。オレとしても猶予が1ヶ月もあったんだし、十分だ。
――けど、ここにきて欲が出た。まだ、いたいと。
そして見に行った結果、未練はなくならなかった。寧ろ募る一方で、好都合だった。
まだいられる、と。
しかもアイツらには青葉が見えて、余計に執着して、オレにとって事態は好転するばかり。
そんなの、甘かったんだけれど。
オレまで見えたもんだから、遊び半分で青葉に付き合った。
そんで、どうだ。こいつらといたいって、また欲が湧いて出てきやがった。
そうこうしてるうちに期限は来るし、バチが当たったんだ。
青葉が未練を引き摺らなければなんて、オレが言えたことじゃなかった癖に。
この世に未練たらたらだったのは、オレだ。
少年は自分を失うのが怖かった。
だから、建前が欲しかった。
この世にいる為の建前が、欲しかっただけだった。
その、筈だった。
(腹をくくれ)
(時間はもうないんだ)
(だから、最後まで)
初めて青葉と喧嘩をした。しかも、大喧嘩。
手紙を読んだ青葉の目は、どこかオレのことを責めているように見えて、ムカついた。
……未練がまだある青葉に、何故か行きづらそうにしていたお日さま園を見に行くように勧めたのは、オレだ。
気にしてた癖に、結局直にアイツらの戦いを見に行ったのは、ジェネシス?の時だけ。それ以外はテレビ中継。
遠目で見て近くに行きたがらないのがまどろっこしくて、半ば強引に行かせて、結果はどうだ?
未練なんか、これっぽっちも無くなってないじゃないか。
別れるのが辛くなるなら、来なければ良かった。
青葉の目は、そう言っていた。責められて、同然だったのかもしれない。
時間はもうあまりない。そのことがなんとなく分かった頃、オレの未練は無くなった。
兄ちゃんと、兄ちゃんの中にいたオレが溶け合って、1つになって、兄ちゃんは仲間がいるってことを理解した。
父さんが言っていた、完璧の本当の意味を。
どこまでも飛んでいけそうなくらい、体が軽くなった。
それと同時に怖かった。
未練が無くなったってことは、生まれ変わるのに何の障害も無くなったということで、
生まれ変わるのが、どうしようもなく怖かった。
生まれ変わったら、どうなるのか。少なくとも、吹雪アツヤは完全にいなくなるのは間違いない。
青葉はというと、エイリア学園の事件が終わってからもそうなることはなかったから、未練はまだあるようだった。
だから、勧めた。
オレは利用したんだ。
一緒にいるという約束を、オレがこの世にいる為の理由にした。
最初は少しでも長くいられればいいと思った。青葉がいた孤児院――お日さま園に行くことを渋るのは、予想出来てたから。
近くに行ったら、余計に未練が無くならない。青葉の反論を逃げだと断定して、それじゃあ逆に未練が無くならないと言い切った。
実際そう思ってたし、1人でいくのが嫌だったから、道連れというか。それでも行くのに1ヶ月はかかって、それからやっと園の近くまで行った。
これで青葉も成仏出来る。オレとしても猶予が1ヶ月もあったんだし、十分だ。
――けど、ここにきて欲が出た。まだ、いたいと。
そして見に行った結果、未練はなくならなかった。寧ろ募る一方で、好都合だった。
まだいられる、と。
しかもアイツらには青葉が見えて、余計に執着して、オレにとって事態は好転するばかり。
そんなの、甘かったんだけれど。
オレまで見えたもんだから、遊び半分で青葉に付き合った。
そんで、どうだ。こいつらといたいって、また欲が湧いて出てきやがった。
そうこうしてるうちに期限は来るし、バチが当たったんだ。
青葉が未練を引き摺らなければなんて、オレが言えたことじゃなかった癖に。
この世に未練たらたらだったのは、オレだ。
少年は自分を失うのが怖かった。
だから、建前が欲しかった。
この世にいる為の建前が、欲しかっただけだった。
その、筈だった。
(腹をくくれ)
(時間はもうないんだ)
(だから、最後まで)