とある夏の思い出

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「……なんだこれ」



じゃんけんで負けて女子たちに新聞取りに行かされた俺は、変な手紙が入ってんのを見つけた。

あ、一応言っとくと俺は南雲晴矢な。誰に言ってるのかっていうのはツッコんだら負けだ。

で、何でその手紙が変なのかっつーと、青葉とアツヤ宛てだったから。死んだ奴に手紙来るとか普通におかしいだろ。

しかも青葉ならともかくアツヤにまで。出した奴の名前も書いてないし、怪しすぎる。

ま、そのままほっとく訳にもいかないし……。とりあえず持ってくか。



それがこんなことになるなんて、想像なんか、出来るわけがなかった。





手紙を見せた瞬間顔を青ざめさせた青葉は、ひったくるように手紙を取って凄いスピードで読み出した。

一通り読んだかと思うと、アツヤを呼び出して、アツヤ宛ての手紙を押し付けて読むように促した。

アツヤも読み進めていくうちに顔を青ざめさせて、「くそっ」と悪態を吐きながら手紙を丸めて床に叩きつけた。

そっからは、2人して黙りこくったかと思えば、取っ組み合いの大喧嘩。殴る蹴るひっぱたく髪の毛を引っ張るの大乱闘だった。

お互いに八つ当たりをしているように見えて、驚いたのなんのって。

一応止めようとしたら、触れなくてスカッた。そしたら慌てて、



「実は触れないようにするのも出来るんだよね!」

「そうそう!」



いきなり弁解っつーか説明し始めるし、意味分かんねえ。嘘つけ。なんなんだよ。

そんで仲直りしたかと思ったら、表に出ろって外行って喧嘩の続きしだすし。

そして今、



「何故こうなったかの会議を始めようか」

「真面目にやらないなら地面に埋まってもらうぞ」



ゲ○ドウのポーズをして深刻そうな表情をした風介を、玲名がハリセンで殴った。

その後ろにはスコップを持った冷たい目のクララが控えてるわけで……はいはい、死亡フラグな。



「明らかに様子がおかしかったね」

「あんな2人、見たことないわ」

「理由はほぼ間違いなくさっきの手紙だろうな」

「いきなり意味分からないこと言い出したし」



本人に聞こうにも、姿を消してどこかに行って、帰ってくる気配はない。



「(めんどくせ)」



そのうち帰って来んだろと、俺は広間を出た。

気分転換がてらに外に出て、軽くリフティングしてからゴールへシュートを放つ。

その間に俺とはまた違った赤が飛び込んできて、シュートをカットした。



「何だよ」


「考えることは同じだった、ってことだよ」



俺も、ちょっと気分転換。そう言ったヒロトは、ボールを蹴り返してきた。

前よりかは関係もまあまあよくはなってきたけど、やっぱたまに気に食わねえ。何考えてんだ。



「……嫌な予感がするんだ」


「は?」


「2人は……青葉はもう死んでいるから」


「何、言って、」


「……いや、何でもないよ」



そう言って、ヒロトはちょっと歩いてくると園から出ていった。……意味分かんねえんだけど。

……何考えてんのか分かんねえけど、考えたことを1人で抱え込もうとしてることくらい分かる。

つーか、ヒロトが何考えてんのかは分からなくても、俺だってそこまでバカじゃない。今が異常だってことくらい、理解してる。

今の状態が、いつまでも続くなんて、更々思ってない。アイツは頭の回転早いし、それ以上のことを考えてんだろうけど。

じゃあ何で話さないんだって。

……くそ。


再び放ったシュートは、ネットを揺らした。







(胸糞悪い)

2015/11/11
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