25日目
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もう日付が変わるか変わらないかぐらいの時間だろうか。お日さま園の屋根の上に、あたしは寝転がっていた。
園はもうすっかりと寝静まっているようで、静寂しかない。耳をすましてみると、時々誰かの寝言が聞こえるくらいだ。
隣には同じようにアツヤが寝転がっていて、マフラーがだらりと垂れ下がっていた。
「あ、流れ星」
「マジか!」
上半身を起こしたアツヤが辺りを見回して、一言。「どこにもないじゃん」いや流れ星って直ぐ消えるもんでしょ。
人は死んだら星になる。人は死んだら天国に行く。よく聞く話だ。
大切な人を送った人間がそうでも思わないとやっていけなくなるから、そう考えるのではと思う。
「なあ」
「何?」
「オレと青葉が初めて会った時のこと、覚えてるか?」
「もちろん」
何が起きたのか分からなくて、途方に暮れて、ぼんやりと座り込んでいた。
そんなあたしに、この体での"生き方"を教えてくれたのは、紛れもなくアツヤだった。
***
「ここ、どこ」
長い時間、上も下も右も左も、全く分からない、真っ暗な所にいた。ような、気がする。
ただただそこに漂っていて、急にぐわんとした浮遊感に襲われて目を開くと、あたしはふわふわと宙に浮いていた。
「………え?」
眼下に見えるのは沢山の家の屋根。あたしの足は、地面に、着いていなかった。
「(なにこれなにこれなにこれ!)」
必死にじたばたと足掻いていたら、すとんと地面に降り立った。服はぼろぼろだし、赤いのがついてるし、靴は片っぽだけだし、何で?
だから、ここはどこ?少なくとも、お日さま園の近くじゃない。こんな道見たことない。分からない。
誰でも良いから聞かないと。そう思って、通りかかった人に「すみません」と声をかけてみた。見向きもされなかった。
それでもめげずに声をかけても誰も反応してくれない。身なりだって、こんなんじゃ人目を引く筈なのに。
思いきって、服を引っ張ってみようとした。
「あ………」
あたしの手は服をすり抜けて、手も、足も、身体中が、透けて、向こう側が見えていた。
意味、分かんない。
「おい」
どうすればいいのか分かんなくて、宛もなく歩き続けた。
途中、別に歩かなくても移動出来るのに気づいて、ふわふわと浮かびながら、放浪した。
疲れは感じなくとも、気持ちが疲れて、膝を抱えて座ってた。
そんな時声が聞こえた。
顔を上げてみると目の前には、跳ねた桃色の髪、太眉、つり目、それからマフラーを巻いている男の子がいた。
周りを見ても、あたし以外には誰もいない。あたしのことが、見えてる?
首を傾げると、男の子は「お前だよ、お前。オレのこと、見えるか?」と聞いてきた。
あたしのことが見える人を、やっと見つけた。無我夢中で頷いたら、ふっと男の子は笑った。
「お前も、オレと同じなんだな」
どういう、意味?
ひゅうひゅうと風の音がして、上手く声が出ない。
震える声で紡いだ言葉に、男の子は残酷な言葉を返してきた。
「お前も、オレと同じように、もう死んでるってことだよ」
嘘だ。
.
園はもうすっかりと寝静まっているようで、静寂しかない。耳をすましてみると、時々誰かの寝言が聞こえるくらいだ。
隣には同じようにアツヤが寝転がっていて、マフラーがだらりと垂れ下がっていた。
「あ、流れ星」
「マジか!」
上半身を起こしたアツヤが辺りを見回して、一言。「どこにもないじゃん」いや流れ星って直ぐ消えるもんでしょ。
人は死んだら星になる。人は死んだら天国に行く。よく聞く話だ。
大切な人を送った人間がそうでも思わないとやっていけなくなるから、そう考えるのではと思う。
「なあ」
「何?」
「オレと青葉が初めて会った時のこと、覚えてるか?」
「もちろん」
何が起きたのか分からなくて、途方に暮れて、ぼんやりと座り込んでいた。
そんなあたしに、この体での"生き方"を教えてくれたのは、紛れもなくアツヤだった。
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「ここ、どこ」
長い時間、上も下も右も左も、全く分からない、真っ暗な所にいた。ような、気がする。
ただただそこに漂っていて、急にぐわんとした浮遊感に襲われて目を開くと、あたしはふわふわと宙に浮いていた。
「………え?」
眼下に見えるのは沢山の家の屋根。あたしの足は、地面に、着いていなかった。
「(なにこれなにこれなにこれ!)」
必死にじたばたと足掻いていたら、すとんと地面に降り立った。服はぼろぼろだし、赤いのがついてるし、靴は片っぽだけだし、何で?
だから、ここはどこ?少なくとも、お日さま園の近くじゃない。こんな道見たことない。分からない。
誰でも良いから聞かないと。そう思って、通りかかった人に「すみません」と声をかけてみた。見向きもされなかった。
それでもめげずに声をかけても誰も反応してくれない。身なりだって、こんなんじゃ人目を引く筈なのに。
思いきって、服を引っ張ってみようとした。
「あ………」
あたしの手は服をすり抜けて、手も、足も、身体中が、透けて、向こう側が見えていた。
意味、分かんない。
「おい」
どうすればいいのか分かんなくて、宛もなく歩き続けた。
途中、別に歩かなくても移動出来るのに気づいて、ふわふわと浮かびながら、放浪した。
疲れは感じなくとも、気持ちが疲れて、膝を抱えて座ってた。
そんな時声が聞こえた。
顔を上げてみると目の前には、跳ねた桃色の髪、太眉、つり目、それからマフラーを巻いている男の子がいた。
周りを見ても、あたし以外には誰もいない。あたしのことが、見えてる?
首を傾げると、男の子は「お前だよ、お前。オレのこと、見えるか?」と聞いてきた。
あたしのことが見える人を、やっと見つけた。無我夢中で頷いたら、ふっと男の子は笑った。
「お前も、オレと同じなんだな」
どういう、意味?
ひゅうひゅうと風の音がして、上手く声が出ない。
震える声で紡いだ言葉に、男の子は残酷な言葉を返してきた。
「お前も、オレと同じように、もう死んでるってことだよ」
嘘だ。
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