23日目
夢小説設定
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暑い。人混みが嫌だ。そもそも行くのが面倒。夕飯の準備がある。
……とまあ結局行くことになったのは俺、ヒロト、晴矢、風介、青葉、アツヤのある意味いつものメンバーになった。
「うっわあ……本土のお祭りってこんなんなのか……」
「そっか。アツヤは北海道出身だもんな」
「おう」
「あ、射的だ!」
「おい、あれでいっちょ勝負しねえか?」
「フッ、望むところだ」
「ヒロトもやんぞ」
「俺も?仕方ないなあ」
口ではああ言ってる癖に、表情は楽しそうだ。ヒロトって結構ああいうの好きなのかな。
「ねえリュウジ」
「ん?」
「昔もさ、こんな風に行ったよね、お祭り」
「ああ……。あの時は砂木沼さんもいたけどね」
「そうそう!食べ歩きするなとかバラバラに動くなとか食べ過ぎるなってさ。もうお母さんかよって!」
「あー、あったあった!砂木沼さんには悪いけど、もう本当に煩かったのなんのって!もしお母さんがいたらあんな感じなのかなって、」
そう言って、自分がとんでもないことを言ってしまった事に気づいて慌てて口を閉じた。
隣にいる青葉は苦々しげな感情を顔に滲ませていた。多分、俺もだ。
「アツヤにね、色々聞いたんだ。家族のこと」
「そっか…」
「あたしのことって話したっけ?」
「えっと…3歳の時に事故で親が亡くなって、親戚中をたらい回しにされた、だっけ」
「そ。夫婦間もあまり仲良くなくてさ、あたしがそれこそ赤ちゃんの時は愛情を貰ってたかもしれないけど、記憶のある内にはそんなの全然無くて」
変な話してごめん、と頭を下げてきた青葉に、そんなことないと返す。
人混みの中で頭を下げたら危ないと言おうとしたけど、そんな青葉を通りかかった人がすり抜けていった。
そうか、幽霊なんだった。……一応分かってるつもりなんだけど、こうして話したり出来るから、びびる。
「正直、アツヤが羨ましかった。もう死んじゃったけど、お父さんがいて、お母さんがいて、お兄ちゃんがいて」
「……」
「その話を聞くたびに、聞いたのは自分な癖に、羨ましくてしょうがなかった。無い物ねだりってやつ?」
「……そうだね」
「あっでもね!ちゃんとあたしは幸せだったよ!ヒロトがいて、晴矢がいて、風介がいて、リュウジが、玲名が、みんながいて!血は繋がってなくとも大事な家族だよ!」
「……そういう時、真っ先にヒロトの名前出すんだよなあ…」
「え、何それ。何その表情!」
ギャーギャー耳元で叫ばれるけど、言うつもりは毛頭ない。だから自分で気づけっての。
それにしても、"幸せだった"か。青葉にとって俺たちは、きっと過去の存在なんだ。
…案外、その方がいいのかもしれない。確かに今はこうして一緒にいるけど、ある意味、次元が全く違う。
難しいなあ……。
.
……とまあ結局行くことになったのは俺、ヒロト、晴矢、風介、青葉、アツヤのある意味いつものメンバーになった。
「うっわあ……本土のお祭りってこんなんなのか……」
「そっか。アツヤは北海道出身だもんな」
「おう」
「あ、射的だ!」
「おい、あれでいっちょ勝負しねえか?」
「フッ、望むところだ」
「ヒロトもやんぞ」
「俺も?仕方ないなあ」
口ではああ言ってる癖に、表情は楽しそうだ。ヒロトって結構ああいうの好きなのかな。
「ねえリュウジ」
「ん?」
「昔もさ、こんな風に行ったよね、お祭り」
「ああ……。あの時は砂木沼さんもいたけどね」
「そうそう!食べ歩きするなとかバラバラに動くなとか食べ過ぎるなってさ。もうお母さんかよって!」
「あー、あったあった!砂木沼さんには悪いけど、もう本当に煩かったのなんのって!もしお母さんがいたらあんな感じなのかなって、」
そう言って、自分がとんでもないことを言ってしまった事に気づいて慌てて口を閉じた。
隣にいる青葉は苦々しげな感情を顔に滲ませていた。多分、俺もだ。
「アツヤにね、色々聞いたんだ。家族のこと」
「そっか…」
「あたしのことって話したっけ?」
「えっと…3歳の時に事故で親が亡くなって、親戚中をたらい回しにされた、だっけ」
「そ。夫婦間もあまり仲良くなくてさ、あたしがそれこそ赤ちゃんの時は愛情を貰ってたかもしれないけど、記憶のある内にはそんなの全然無くて」
変な話してごめん、と頭を下げてきた青葉に、そんなことないと返す。
人混みの中で頭を下げたら危ないと言おうとしたけど、そんな青葉を通りかかった人がすり抜けていった。
そうか、幽霊なんだった。……一応分かってるつもりなんだけど、こうして話したり出来るから、びびる。
「正直、アツヤが羨ましかった。もう死んじゃったけど、お父さんがいて、お母さんがいて、お兄ちゃんがいて」
「……」
「その話を聞くたびに、聞いたのは自分な癖に、羨ましくてしょうがなかった。無い物ねだりってやつ?」
「……そうだね」
「あっでもね!ちゃんとあたしは幸せだったよ!ヒロトがいて、晴矢がいて、風介がいて、リュウジが、玲名が、みんながいて!血は繋がってなくとも大事な家族だよ!」
「……そういう時、真っ先にヒロトの名前出すんだよなあ…」
「え、何それ。何その表情!」
ギャーギャー耳元で叫ばれるけど、言うつもりは毛頭ない。だから自分で気づけっての。
それにしても、"幸せだった"か。青葉にとって俺たちは、きっと過去の存在なんだ。
…案外、その方がいいのかもしれない。確かに今はこうして一緒にいるけど、ある意味、次元が全く違う。
難しいなあ……。
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