21日目
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冷凍庫のドアを開けた私は愕然とした。
「アイスがない、だと……!?」
動揺からかわなわなと震える腕を、闇が解き放たれないように抑える。まさか、そんな、アイスが切れているとは。これは完全に予想外だった。
夏というのは基本的に暑い季節だ。30度を越える日がほとんどで、日が落ちた夜でも気温はあまり下がらない。
しかもただでさえ暑いというのに、毎日のようにやたらと暑苦しい赤い色を目に入れなければならないのだ。
先程晴矢と下らない口論をしてきたばかりで、アイスを食べてクールダウンをしようと思っていたのだが……最悪だ。
残っていたのは確か3本。人数が人数なので、争奪戦は熾烈だ。しかも食べたのが玲名tatiというと、文句の一言すら言えない。
明日買い出し行くらしいが、私は明日ではなく今アイスが食べたい。だが買いに行くにはあの炎天下の中コンビニに辿り着かなければならない。
正直に言えば行きたくないのだが、アイスを食べたいという気持ちもかなり強い。アイスか保身か。まさに究極の選択だろう。
……サッカーをしに外に出るのは例外だと、先に言っておこう。
「え゛っ、アイスないの!?」
「青葉か。残念ながらアイスはないようだ」
「そっかあ…」
しょんぼりとしたように肩を下げた青葉に心が揺れる。…私が青葉に弱いのは、昔から変わらない。
天秤を想像してみて、片方に保身、もう片方にアイスを乗せてみる。私が悩んでいるのを体現するかのように、ぐらぐらと揺れた。
「あ、そうだ!一緒に買いに行こうよ!」
天秤はあっさりと傾いた。
***
「ほ、本当にいいの!?」
「ああ」
手の中のアイスと私の顔を見比べる青葉にそう返すと、目を輝かせながら蓋を開けた。
私と同じく青葉も無類のアイス好きだ。美味しそうに食べる彼女を横目に、私はスイカの形をしたアイスのパッケージの封を開けた。
コンビニにつくと、クーラーが効いているのかひんやりとした空気が漂っていて、それだけでここまで歩いた甲斐があったと思った。
興味深げに飛び回る青葉に奢ると言うと、私の顔色を伺いつつもかの有名な高いアイスを見ていた青葉に、私はあっさりと財布の紐を緩めた。
会計を済ませ、今は誰もいない公園の日陰のベンチでアイスを食べている。端から見ると青葉が持つダッツは浮いているのだから、誰もいなくて良かった。
まあ、この暑い日にわざわざ公園に遊びに来る子供もいないだろう。ゲーム機等が普及している現代なら尚更だ。
隣に座る青葉を見やった時、不意に、コンビニ前でヒロトと鉢合わせ話したあの日の事を、ヒロトの言葉を思い出した。
――青葉のこと、どう思う?
「………」
何故今思い出してしまったのだろう。
どのような意図があって、そんなことを聞いたのだろう。
今更聞くつもりもないが。
「……青葉は、幽霊なんだろう」
気づけば口が開いていた。
.
「アイスがない、だと……!?」
動揺からかわなわなと震える腕を、闇が解き放たれないように抑える。まさか、そんな、アイスが切れているとは。これは完全に予想外だった。
夏というのは基本的に暑い季節だ。30度を越える日がほとんどで、日が落ちた夜でも気温はあまり下がらない。
しかもただでさえ暑いというのに、毎日のようにやたらと暑苦しい赤い色を目に入れなければならないのだ。
先程晴矢と下らない口論をしてきたばかりで、アイスを食べてクールダウンをしようと思っていたのだが……最悪だ。
残っていたのは確か3本。人数が人数なので、争奪戦は熾烈だ。しかも食べたのが玲名tatiというと、文句の一言すら言えない。
明日買い出し行くらしいが、私は明日ではなく今アイスが食べたい。だが買いに行くにはあの炎天下の中コンビニに辿り着かなければならない。
正直に言えば行きたくないのだが、アイスを食べたいという気持ちもかなり強い。アイスか保身か。まさに究極の選択だろう。
……サッカーをしに外に出るのは例外だと、先に言っておこう。
「え゛っ、アイスないの!?」
「青葉か。残念ながらアイスはないようだ」
「そっかあ…」
しょんぼりとしたように肩を下げた青葉に心が揺れる。…私が青葉に弱いのは、昔から変わらない。
天秤を想像してみて、片方に保身、もう片方にアイスを乗せてみる。私が悩んでいるのを体現するかのように、ぐらぐらと揺れた。
「あ、そうだ!一緒に買いに行こうよ!」
天秤はあっさりと傾いた。
***
「ほ、本当にいいの!?」
「ああ」
手の中のアイスと私の顔を見比べる青葉にそう返すと、目を輝かせながら蓋を開けた。
私と同じく青葉も無類のアイス好きだ。美味しそうに食べる彼女を横目に、私はスイカの形をしたアイスのパッケージの封を開けた。
コンビニにつくと、クーラーが効いているのかひんやりとした空気が漂っていて、それだけでここまで歩いた甲斐があったと思った。
興味深げに飛び回る青葉に奢ると言うと、私の顔色を伺いつつもかの有名な高いアイスを見ていた青葉に、私はあっさりと財布の紐を緩めた。
会計を済ませ、今は誰もいない公園の日陰のベンチでアイスを食べている。端から見ると青葉が持つダッツは浮いているのだから、誰もいなくて良かった。
まあ、この暑い日にわざわざ公園に遊びに来る子供もいないだろう。ゲーム機等が普及している現代なら尚更だ。
隣に座る青葉を見やった時、不意に、コンビニ前でヒロトと鉢合わせ話したあの日の事を、ヒロトの言葉を思い出した。
――青葉のこと、どう思う?
「………」
何故今思い出してしまったのだろう。
どのような意図があって、そんなことを聞いたのだろう。
今更聞くつもりもないが。
「……青葉は、幽霊なんだろう」
気づけば口が開いていた。
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