20日目
夢小説設定
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「よくよく考えればよ、アレ実体とかないんだよな」
「ああ……」
御札を手に持って来た道を返る。改めて手を見たり首を触ってみたりしても、特に変なところは無い。
青葉とアツヤが俺たちが怪我するような仕掛けをする訳ないし、当然だ。ビビって損したような。
「だがまだ油断は出来ない。戻るまでが肝試しだ」
「何だそれ」
「例えばあの柳のところで人魂でも出るかもしれない」
「ハッ、そんなまさか……は、」
「そのまさかだったな」
「……まあ、通り過ぎちまえば問題ねえだろ」
「ああ」
ぼんやりと霞んだように浮かび上がるソレは極力見ないようにして、通り過ぎる。
暫く行った所で振り返ってみると、炎が大きく広がって俺たちに迫ってきていた。…まあ、大丈夫だろ、うん。
「仕掛けだもんな」
「ああ」
「何でそんなに速く歩くんだよ」
「貴様こそまるで競歩のようだな」
「ビビってんだろ」
「その言葉、そっくりそのまま返そうか」
「声震えてんぞ!」
「お前もな!」
2人して走り出す。仕掛けだって分かってても、怖いもんは怖ぇーよちくしょう!
「やべっ」
手を滑らせて御札を落とした。慌てて止まって戻る前に、風介が「落としたぞ」と拾い上げて渡してきた。…デレか、きめぇ。
全力疾走して戻ると、既に俺たち以外全員揃っていた。
「随分遅かったな。青葉とアツヤが探しに行ったぞ」
「は、あ?」
「どうやら、知らない内に追い抜いちゃったみたいだね」
「全く気づかなかったな…」
「あ、2人共戻ってきたんだね!」
「ちぇ、探しに行かなくてもよかったか」
「まあまあ。もう遅いし、早く帰ろう」
「そうだね」
わらわらと大人数で歩き出す。シャツが汗びっしょりで、べたべたしてて気持ち悪い。帰ったらさっさと風呂入ろう。
「それにしても最後やばかったな。人魂迫ってきて、仕掛けって分かってても死ぬかと思った」
「癪だが同感だな。我ながら見苦しかった」
「…人魂?」
「柳のところのだ」
「そんなのあったか?」
「いや、俺は見てないな」
「俺もだ」
「はあ?でも俺は見たぜ。御札落として、そんで風介が拾ってくれてよ」
「…札を拾った覚えはないが。落としたのを自分で拾ったんじゃなかったのか?」
「…は、じゃあ、あん時拾ってくれたの、誰だよ」
「わ、私に聞くな!」
「人魂ねえ……」
「人魂は行きだけに出るようにしてたしな」
「2人だけ遅かったし、もしかして誰かが"あっち"に連れてこうとしてたんだったりして!」
「かもなー。通ったっぽいとこ、コースから外れてたし」
いやマジかよ。何でそんな軽いんだって。おいおい、嘘だろ?ははっ、まさか、
そんなこと、ない、よな……?
………………。
「「ぎゃあああああああ!!!」」
一刻も早くここから離れたくて、風介と残りの体力を振り絞ってとにかく走る。
…もう当分は、肝試しなんか懲り懲りだ。
「あはははは!ばっちり引っ掛かったね!」
「2人だけに対しての特別仕様だっただけだっつーの!」
「見栄っ張りなだけで、晴矢も風介もこういうのダメだからなあ」
「あー、面白かった!」
「そういうことか…」
「バレたら間違いなく怒るよ…」
「あ、今のはオフレコでよろしく」
「傑作だったな。単純過ぎだろ!」
夏の夜空に、少年少女の笑い声が響き渡った。
.
「ああ……」
御札を手に持って来た道を返る。改めて手を見たり首を触ってみたりしても、特に変なところは無い。
青葉とアツヤが俺たちが怪我するような仕掛けをする訳ないし、当然だ。ビビって損したような。
「だがまだ油断は出来ない。戻るまでが肝試しだ」
「何だそれ」
「例えばあの柳のところで人魂でも出るかもしれない」
「ハッ、そんなまさか……は、」
「そのまさかだったな」
「……まあ、通り過ぎちまえば問題ねえだろ」
「ああ」
ぼんやりと霞んだように浮かび上がるソレは極力見ないようにして、通り過ぎる。
暫く行った所で振り返ってみると、炎が大きく広がって俺たちに迫ってきていた。…まあ、大丈夫だろ、うん。
「仕掛けだもんな」
「ああ」
「何でそんなに速く歩くんだよ」
「貴様こそまるで競歩のようだな」
「ビビってんだろ」
「その言葉、そっくりそのまま返そうか」
「声震えてんぞ!」
「お前もな!」
2人して走り出す。仕掛けだって分かってても、怖いもんは怖ぇーよちくしょう!
「やべっ」
手を滑らせて御札を落とした。慌てて止まって戻る前に、風介が「落としたぞ」と拾い上げて渡してきた。…デレか、きめぇ。
全力疾走して戻ると、既に俺たち以外全員揃っていた。
「随分遅かったな。青葉とアツヤが探しに行ったぞ」
「は、あ?」
「どうやら、知らない内に追い抜いちゃったみたいだね」
「全く気づかなかったな…」
「あ、2人共戻ってきたんだね!」
「ちぇ、探しに行かなくてもよかったか」
「まあまあ。もう遅いし、早く帰ろう」
「そうだね」
わらわらと大人数で歩き出す。シャツが汗びっしょりで、べたべたしてて気持ち悪い。帰ったらさっさと風呂入ろう。
「それにしても最後やばかったな。人魂迫ってきて、仕掛けって分かってても死ぬかと思った」
「癪だが同感だな。我ながら見苦しかった」
「…人魂?」
「柳のところのだ」
「そんなのあったか?」
「いや、俺は見てないな」
「俺もだ」
「はあ?でも俺は見たぜ。御札落として、そんで風介が拾ってくれてよ」
「…札を拾った覚えはないが。落としたのを自分で拾ったんじゃなかったのか?」
「…は、じゃあ、あん時拾ってくれたの、誰だよ」
「わ、私に聞くな!」
「人魂ねえ……」
「人魂は行きだけに出るようにしてたしな」
「2人だけ遅かったし、もしかして誰かが"あっち"に連れてこうとしてたんだったりして!」
「かもなー。通ったっぽいとこ、コースから外れてたし」
いやマジかよ。何でそんな軽いんだって。おいおい、嘘だろ?ははっ、まさか、
そんなこと、ない、よな……?
………………。
「「ぎゃあああああああ!!!」」
一刻も早くここから離れたくて、風介と残りの体力を振り絞ってとにかく走る。
…もう当分は、肝試しなんか懲り懲りだ。
「あはははは!ばっちり引っ掛かったね!」
「2人だけに対しての特別仕様だっただけだっつーの!」
「見栄っ張りなだけで、晴矢も風介もこういうのダメだからなあ」
「あー、面白かった!」
「そういうことか…」
「バレたら間違いなく怒るよ…」
「あ、今のはオフレコでよろしく」
「傑作だったな。単純過ぎだろ!」
夏の夜空に、少年少女の笑い声が響き渡った。
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