20日目
夢小説設定
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よりによってトップバッターなんてとんでもなく憂鬱だ。しかもペアが風介とか、誰かが仕組んだんじゃないかとすら勘ぐる。
なかなか足を踏み出さない俺らに、「早く行きなよ」と次に出るヒロトが言ってきた。ちなみにヒロトは緑川とペアだ。
「私だって行きたいのはやまやまだが、晴矢が行きたがらないんだ」
「うっせ!俺だけのせいにしてんじゃねーよ!」
「つべこべ言わずに早く行け」
「ウィッス」
「…分かった」
やっぱ玲名には逆らえねえ。それは風介も同じで、意を決して歩き出した。
「…なんもねえな」
「ああ…」
振り返っても、もうスタート地点は見えない。そろそろヒロトと緑川も出発した頃か?
それにしても何にもない。あんだけ大口叩いてたんだから、すげーのがどーんと出てくると思ってたんだけど、
「…晴矢」
「? 何だよ」
「右を見るな出来るだけ早く真っ直ぐ進め」
「は?あ、おい!」
それだけ言うと、風介はすたすたと歩を速めた。距離はどんどん開いていく。
俺も足を速めつつ、右側を見て。そりゃまあ、見るなって言われたら見たくなるのが性だよな?
「っひ……!!!」
すげー後悔したけど。
ぎこちない動きでそいつは振り向いて、目が合った、ように見えた。
本来目が在るところには、黒い穴しかなかった。
「おい!ちゃんと着いてきているか!」
「なっ、何だよあれ!なんか、紫の火が、つか甲冑と、矢が、刺さってて、あの赤とかもしかして、ち」
「黙れバカか!何故わざわざ見た上でそれを口に出す!見るなと言っただろう!!!」
「あんなやべえとは思ってなかったんだよ!目ぇ合っちまったし、着いてくる!」
「何!?」
バッと振り向いた風介は、即座に顔を前に向けた。心なしか顔色が悪い。多分、俺も。
必死に歩いていると、ぐにゃりと何かを踏んづけた感触がした。下を見たら、
――コロス……!
めちゃくちゃでかい蛇がいた。赤い舌がちらちら覗く口からは、これまたそれなりに大きいかったんだろう蛙の足が飛び出していた。死にかけなのか、痙攣している。
俺がこんなにも冷静なのは、人間追い詰められると自分でも驚くくらい頭ん中がクリアになるからだと思う。その上隣の風介は冷静さを失ってて、だから俺はこんなにも落ち着いてられるんだ。
そう、こんなにも………………、
………………、
「っ、ぎゃあああああああ!!!!!」
やっぱ無理だ。
「!、待て!先に行くなこのバカチューリ……ひっ!」
「どうした!」
「何か冷たくてべとべとしたものが、首に、当たっ……!」
「風介!」
俺に追い付いた風介が、無言で俺の方へ手を突き出してくる。
風介の手は所々赤くなっていて、小動物の毛らしきものが付いていた。それは服の首回りにも付いていて、
べとり、と俺の首もナニかに舐められた。手を回して見てみて、また後悔した。
どこからか鼠かなんかの鳴き声が聞こえてきて、ざわざわざわざわと足元を生暖かいのがが駆け抜けていく。
後ろからはどたどたガチャガチャべちゃべちゃと、明らかにやばそうな音が聞こえてくる。やばい靴脱げそうやばい。
もうダメだ、と思った時、御堂がやっと見えてきた。風介と顔を見合わせて、全力で足を動かす。
ダンッと階段に足をかけて息を整えてから、ゆっくりと振り返る。
後方には、何も無かった。
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なかなか足を踏み出さない俺らに、「早く行きなよ」と次に出るヒロトが言ってきた。ちなみにヒロトは緑川とペアだ。
「私だって行きたいのはやまやまだが、晴矢が行きたがらないんだ」
「うっせ!俺だけのせいにしてんじゃねーよ!」
「つべこべ言わずに早く行け」
「ウィッス」
「…分かった」
やっぱ玲名には逆らえねえ。それは風介も同じで、意を決して歩き出した。
「…なんもねえな」
「ああ…」
振り返っても、もうスタート地点は見えない。そろそろヒロトと緑川も出発した頃か?
それにしても何にもない。あんだけ大口叩いてたんだから、すげーのがどーんと出てくると思ってたんだけど、
「…晴矢」
「? 何だよ」
「右を見るな出来るだけ早く真っ直ぐ進め」
「は?あ、おい!」
それだけ言うと、風介はすたすたと歩を速めた。距離はどんどん開いていく。
俺も足を速めつつ、右側を見て。そりゃまあ、見るなって言われたら見たくなるのが性だよな?
「っひ……!!!」
すげー後悔したけど。
ぎこちない動きでそいつは振り向いて、目が合った、ように見えた。
本来目が在るところには、黒い穴しかなかった。
「おい!ちゃんと着いてきているか!」
「なっ、何だよあれ!なんか、紫の火が、つか甲冑と、矢が、刺さってて、あの赤とかもしかして、ち」
「黙れバカか!何故わざわざ見た上でそれを口に出す!見るなと言っただろう!!!」
「あんなやべえとは思ってなかったんだよ!目ぇ合っちまったし、着いてくる!」
「何!?」
バッと振り向いた風介は、即座に顔を前に向けた。心なしか顔色が悪い。多分、俺も。
必死に歩いていると、ぐにゃりと何かを踏んづけた感触がした。下を見たら、
――コロス……!
めちゃくちゃでかい蛇がいた。赤い舌がちらちら覗く口からは、これまたそれなりに大きいかったんだろう蛙の足が飛び出していた。死にかけなのか、痙攣している。
俺がこんなにも冷静なのは、人間追い詰められると自分でも驚くくらい頭ん中がクリアになるからだと思う。その上隣の風介は冷静さを失ってて、だから俺はこんなにも落ち着いてられるんだ。
そう、こんなにも………………、
………………、
「っ、ぎゃあああああああ!!!!!」
やっぱ無理だ。
「!、待て!先に行くなこのバカチューリ……ひっ!」
「どうした!」
「何か冷たくてべとべとしたものが、首に、当たっ……!」
「風介!」
俺に追い付いた風介が、無言で俺の方へ手を突き出してくる。
風介の手は所々赤くなっていて、小動物の毛らしきものが付いていた。それは服の首回りにも付いていて、
べとり、と俺の首もナニかに舐められた。手を回して見てみて、また後悔した。
どこからか鼠かなんかの鳴き声が聞こえてきて、ざわざわざわざわと足元を生暖かいのがが駆け抜けていく。
後ろからはどたどたガチャガチャべちゃべちゃと、明らかにやばそうな音が聞こえてくる。やばい靴脱げそうやばい。
もうダメだ、と思った時、御堂がやっと見えてきた。風介と顔を見合わせて、全力で足を動かす。
ダンッと階段に足をかけて息を整えてから、ゆっくりと振り返る。
後方には、何も無かった。
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