とある夏の思い出

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昨日花火が終わったらあと、



「海に行きたいなあ…」



という呟きを拾った俺は、直ぐ様みんなに海に行くことを提案した。





***


「うっひゃあああ!うーみーだーっ!!!」

「すっげえな!」



電車を乗り継いで着いて早々、2人は海へ突進した。

俺達はホテルに荷物を置きに行かなきゃいけないから、少し羨ましい。

幽霊だからお金かからないし…なんて言ってみる。

もちろん全員で来たわけじゃない。暑いとか泳ぎたくないと来てないやつも多くて(特に女子)、思ったよりも小規模だ。

まあ55人(見えない2人は除外)もの中学生が中学生だけで一泊二日の旅行なんて、普通はあり得ないけど。

…その突発的な旅行の提案をのんで、すぐホテルを用意してくれた姉さんには頭が下がる。

お土産は何がいいかなあと考えてたら、早くチェックインをしようと修児に急かされた。

…誰もいないのに水飛沫があがってるから、ちょっとした騒ぎになってるな…。あとで注意しないと。






荷物を置いて改めてビーチに行く。辺りを見回してみても、青葉とアツヤの姿が見えない。



「どこ行ったのかな」

「ここ」

「!」



慌てて振り向くと、そこには水着を着て(?)上半身裸のアツヤがドヤ顔をしながら立っていた。

マフラーはそのままだし何故かゴーグルを付けているから、かなりシュールだ。

他の人に見えていたら不審者扱いされていたと思う。多分。違和感が物凄いよ。

幽霊って何でも有りだから、むちゃくちゃだ。



「あっちの方に人全然いないとこ見つけたから行こうぜ!」

「おっ、マジか!早く案内しろよ!…ブフッ」

「何笑ってんだよ」



バチンとゴーグルが晴矢の顔に直撃して、追いかけっこが始まった。

…人多いし危ないよ、2人共…。あ、アツヤはすり抜けるから平気なのか。


そしてアツヤが案内してくれた場所は本当に人がほとんどいなかった。

地図を見ても別に危険区域という訳でもないし、ただ単に穴場なのかもしれない。


でも、



「どうだ!」



無駄に精巧で大きな砂の城を誇らしげに見せてきた青葉に、どうコメントすればいいのかは流石の俺も考え付かなかった。

え、まだ来てからそこまで時間経ってないよね?どうやって作ったの?そもそもこんなに器用だったっけ?



「うっわ、凄い無駄に細かいね…」

「どうやって作ったんだ?」

「まあ普通に?あとお仲間さんがいたから手伝ってもらったんだ」

「お仲間さん?」

「どんな人達?」

「ここで色々あったっていう長い黒髪のお姉さんとか、甲冑来たおじさんとか」

「なんかおじさん矢が刺さってて凄かったよな」

「そうそう。あと小さい子も結構いたよね」

「なんか甚平?っぽいの着てて今時珍しかったし」

「幽霊に今時も何もないよ」

「訳ありっぽかったからな。あれか、生け贄?無事に成仏出来るといいけど」

「うーん、どうだろう。あ、お姉さん今度やっと復讐出来るって言ってたよ」

「マジでか。そりゃよかったわ。未練なくなって成仏出来るな」

「生まれ変わったら今度は男になりたいだって。思わず笑っちゃったよ!」

「ちょ、おもしろ!」

「でも道連れは止めとくように言っといた」

「死人出ないといいな」

『……………』



何それただのホラー





(ホテルに帰って調べてみたら)
(本当に幽霊が出るという噂がある)
(心霊スポットだった)
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