16日目

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夜。夕飯が食べ終えた俺達は、やりたいといったメンバーで、園庭で花火をしていた。

当たり前だけど、打ち上げ花火なんていう大層なものはない。

けど青葉は満面の笑みを浮かべていたから、炎天下の中買いに行った甲斐があったというものだと思う。

ルルと一緒に鼠花火をけしかけたらしく、晴矢に追いかけ回されてる。花火を人に向けるのは危ないよ。



「騒がしいな…」

「その割りには風介も楽しんでるじゃないか」

「フン…」



照れたようにそっぽを向く風介。いや、ようにじゃなくて、実際そうなんだろう。



「あんな話を聞いた後だからな」

「ああ…そうだね」

「限られた時間しか過ごせないのであれば、その許された時間内に出来るだけ思い出を作りたい。大方、そんなところなのだろう?」

「まあね。そう思ったのは風介も同じみたいだけど。そうじゃなきゃ、あんなところでばったり会ったりしないよね」

「まあ…そう、だな」



歯切れが悪い返答だ。らしいと言えばらしいけど、なんだかんだでどこか引っ掛かるとこが有るんだと思う。

それは俺も同じなんだけど、抗ってみたところでどうこう出来ることじゃない。

…それにしても、風介が言うとどこか厨二病のような発言に聞こえる。言わないけど。

吹き出し花火を振り回している光景(危ないよ)を見ながら、俺も何本かに火を点ける。

手持ち花火には、夜空に上がる花火とはまた違う綺麗さがある。

花火の本数が減っていくにつれて、騒がしかったのがだんだんと落ち着いていく。

あ、緑川が晴矢に花火向けられながら追いかけられてる。風介も便乗してるし、やっぱりまだ子供だなあ。俺もだけど。

その様子を見ていたら、いつの間にか隣に青葉がいた。

差し出された閃光花火を受け取って、一緒に火を点けて、しゃがみこむ。



「綺麗だね」

「そうだね」

「…なんか、さ」

「どうかした?」

「人の一生って花火みたい」

「…花火?」



そう言った青葉の顔が見れなくて、ひたすらに火花を散らす手元を見続ける。



「今はこんな風に輝いてても、いつかはプツッって途切れて、終わっちゃうんだ。

それも前触れもなく、唐突に」



人間も同じだよね、と。死を経験している彼女に言われると、なんとも言えない気持ちになる。

死んでいるのに、今ここに、すぐ傍にいる。全く、この世の中は不可解なことばかりだとつくづく思う。

ポトリ、と最後落ちたのを見届けると、立ち上がって軽く体を伸ばす。



「ありがとね、わざわざ花火買ってきてくれて」

「どういたしまして。別にそんな大したことはしてないさ」

「あたしにとっては大したことだよ。嬉しかったから」



風介にも言ってくる、と言い残して、その場から走り去る青葉

その後ろ姿を見ながら、いつまで一緒にいられるのだろうという、出る筈のない答えを考えた。





(もう半分、か…)
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