16日目
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今日は朝から青葉が落ち込んでいた。
昨日はサッカーをやって楽しんだけど、夕方になって雨が降ってきた。
実は昨日は近所の川で、小規模ながらも花火大会があった。
当然雨だから中止になって、花火大会を楽しみにしていたらしい青葉は落ち込んでいるという訳だ。
「大丈夫?」
「あー、うん」
「…本当に?」
「大丈夫だってば」
「その割にはさっきから体育座りだけど」
「…やっぱり見たかったなあって」
そう言った青葉は、まるで駄々をこねる子供みたいだった。
容姿こそは成長しているけど、中身は変わってないのかな…なんて思ったり。
そんなことを考えていたら、園庭がぐちゃぐちゃでサッカーも出来ない、と呟かれた。
確かに昨日は大雨で、園庭が乾くのには少し時間がかかりそうだった。
「なんかさ、幽霊も色々と大変…というか辛いんだよ」
「辛い?」
聞いちゃいけない。そう思いつつもおうむ返しのように問いかけてみる。
明るく笑顔を振り撒いていた青葉が吐いた、辛いという弱音。
聞いてあげないと、このままじゃ押し潰されてしまうんじゃないか。そうとさえ思わせた。
「そうだなあ…。例えば、食べ物は食べられるし味は感じる。でも空腹は感じないし、お腹も膨れない。
そういう時、みんなと違ってあたしは死んじゃってるんだなあって思うんだよね。
なんていうか、絶対に乗り越えられない壁があるんだって思う時、物凄く辛い」
「…」
「いくらこうしてまた一緒に生活してても、幽霊だから。生きてる人間とは大違い!」
「…」
「…ずっと、このままでいるわけにもいかないから」
「え…?」
それは、どういう意味だろうか。
まるでまた、俺たちの前から姿を消してしまうことを意味しているみたいだ。
「幽霊だから」
生きてる人と、ずっとはいられない
そう言い残して、逃げるように青葉は姿を消した。
ぼんやりとした頭で考える。
よくよく考えればこの状況の方がおかしいんだ。死んだ人間と暮らすなんて。
だから青葉も、アツヤも、いつかはいなくなる。
ある意味分かりきったことだった筈なのに、それがどうしようもなく怖い。
また失うなんて、考えたくない。
もしかしてあんなに落ち込んでいたのは、その限られた時間で沢山思い出を作りたかったから?
そういえば園の中でも青葉は人一倍花火が好きで、テレビ中継とかでも夏はよく見てたっけ。
「…」
気づいたら俺は財布を握り締めて、道を歩いていた。少し先に見えたのはコンビニの看板。
花火、買おうかな。そう思って入れば、ばったりと風介と鉢合わせた。
「…奇遇だね、こんなところで」
「…そうだな」
「さっきの話、聞いてた?」
「まあな」
限られた時間した過ごせないのなら、出来るだけ沢山の思い出を作りたい。
そう思ったのは、俺だけじゃなかったみたいだ。
いつもはそんなことしようとも思わない癖に、青葉な為に外に出るなだなんて。
冷静さや冷たさを彷彿とさせる水色の涼しげな瞳とは反対に、優しさを持ち合わせている。
そんな彼に、俺は冷たく問いかける。
.
昨日はサッカーをやって楽しんだけど、夕方になって雨が降ってきた。
実は昨日は近所の川で、小規模ながらも花火大会があった。
当然雨だから中止になって、花火大会を楽しみにしていたらしい青葉は落ち込んでいるという訳だ。
「大丈夫?」
「あー、うん」
「…本当に?」
「大丈夫だってば」
「その割にはさっきから体育座りだけど」
「…やっぱり見たかったなあって」
そう言った青葉は、まるで駄々をこねる子供みたいだった。
容姿こそは成長しているけど、中身は変わってないのかな…なんて思ったり。
そんなことを考えていたら、園庭がぐちゃぐちゃでサッカーも出来ない、と呟かれた。
確かに昨日は大雨で、園庭が乾くのには少し時間がかかりそうだった。
「なんかさ、幽霊も色々と大変…というか辛いんだよ」
「辛い?」
聞いちゃいけない。そう思いつつもおうむ返しのように問いかけてみる。
明るく笑顔を振り撒いていた青葉が吐いた、辛いという弱音。
聞いてあげないと、このままじゃ押し潰されてしまうんじゃないか。そうとさえ思わせた。
「そうだなあ…。例えば、食べ物は食べられるし味は感じる。でも空腹は感じないし、お腹も膨れない。
そういう時、みんなと違ってあたしは死んじゃってるんだなあって思うんだよね。
なんていうか、絶対に乗り越えられない壁があるんだって思う時、物凄く辛い」
「…」
「いくらこうしてまた一緒に生活してても、幽霊だから。生きてる人間とは大違い!」
「…」
「…ずっと、このままでいるわけにもいかないから」
「え…?」
それは、どういう意味だろうか。
まるでまた、俺たちの前から姿を消してしまうことを意味しているみたいだ。
「幽霊だから」
生きてる人と、ずっとはいられない
そう言い残して、逃げるように青葉は姿を消した。
ぼんやりとした頭で考える。
よくよく考えればこの状況の方がおかしいんだ。死んだ人間と暮らすなんて。
だから青葉も、アツヤも、いつかはいなくなる。
ある意味分かりきったことだった筈なのに、それがどうしようもなく怖い。
また失うなんて、考えたくない。
もしかしてあんなに落ち込んでいたのは、その限られた時間で沢山思い出を作りたかったから?
そういえば園の中でも青葉は人一倍花火が好きで、テレビ中継とかでも夏はよく見てたっけ。
「…」
気づいたら俺は財布を握り締めて、道を歩いていた。少し先に見えたのはコンビニの看板。
花火、買おうかな。そう思って入れば、ばったりと風介と鉢合わせた。
「…奇遇だね、こんなところで」
「…そうだな」
「さっきの話、聞いてた?」
「まあな」
限られた時間した過ごせないのなら、出来るだけ沢山の思い出を作りたい。
そう思ったのは、俺だけじゃなかったみたいだ。
いつもはそんなことしようとも思わない癖に、青葉な為に外に出るなだなんて。
冷静さや冷たさを彷彿とさせる水色の涼しげな瞳とは反対に、優しさを持ち合わせている。
そんな彼に、俺は冷たく問いかける。
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