とある夏の思い出
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ふと空を見上げると空はオレンジ色に染まっていて、日が暮れようとしていた。
手に持った袋がずっしりと重い。無理矢理でも晴矢か風介でもつれてくればよかったかな。
ああでも、2人をつれていくといらないものまで買ってしまいそうだ。
「もう1ヶ月、か……」
そう、あの日。俺たちが円堂くん率いる雷門に負けてから、早くも1ヶ月が過ぎようとしていた。
昨日のことのように鮮明に思い出されるあの日の出来事。あのあと彼らは、父さんの部下だった研崎の野望も打ち砕いたそうだ。
そして今、俺――基山ヒロトは、再びお日さま園で暮らしている。あの計画が始まる前のように、皆で。
……いや、違った。1人だけいない。
あの子だけ、いない。
けれど、仕方のないことだ。だって彼女は……。
「すみませーん」
自分にかけられたであろう声に、ハッとした。声の方を見れば、まだ幼い子供数人がいた。そして俺の足元にはサッカーボール。
「とってもらっていいですかー?」
「ああ、うん!」
蹴ろうと思って足を構えて、止めた。
今の俺に、このボールを蹴る権利なんてあるのだろうか。
サッカーを使って破壊の限りを尽くした、汚れきった俺に。
「どうかしましたかー?」
不思議そうな表情を向けられる。どうしても蹴る気になれない。
ボールを拾うと、軽く投げた。「ありがとうございます!」という声を聞きながら、再び歩き出す。
きっと俺は、苦笑いを浮かべているんだろうな。
「はあ……」
立ち止まって空を見上げる。少しずつ闇に染まっていく。早く帰らないと。
「らしくないなあ、ヒロト」
ふいに後ろから声が聞こえた。
聞き覚えのある声。
「難しい顔してるね」
俺にとって大切な人の声。
でも、もう二度と会えない筈の人。
「なんかボール蹴れないくらい悩んでるの?ある意味ヒロトらしいかも」
そんな筈ない。
だってあの子は、
彼女は、もう、
分かっている筈なのに、後ろを振り向いて、俺は目を見開いた。
「あっもしかして見えてる?久しぶりだね」
「青葉…」
もう、死んでいるじゃないか。
.
手に持った袋がずっしりと重い。無理矢理でも晴矢か風介でもつれてくればよかったかな。
ああでも、2人をつれていくといらないものまで買ってしまいそうだ。
「もう1ヶ月、か……」
そう、あの日。俺たちが円堂くん率いる雷門に負けてから、早くも1ヶ月が過ぎようとしていた。
昨日のことのように鮮明に思い出されるあの日の出来事。あのあと彼らは、父さんの部下だった研崎の野望も打ち砕いたそうだ。
そして今、俺――基山ヒロトは、再びお日さま園で暮らしている。あの計画が始まる前のように、皆で。
……いや、違った。1人だけいない。
あの子だけ、いない。
けれど、仕方のないことだ。だって彼女は……。
「すみませーん」
自分にかけられたであろう声に、ハッとした。声の方を見れば、まだ幼い子供数人がいた。そして俺の足元にはサッカーボール。
「とってもらっていいですかー?」
「ああ、うん!」
蹴ろうと思って足を構えて、止めた。
今の俺に、このボールを蹴る権利なんてあるのだろうか。
サッカーを使って破壊の限りを尽くした、汚れきった俺に。
「どうかしましたかー?」
不思議そうな表情を向けられる。どうしても蹴る気になれない。
ボールを拾うと、軽く投げた。「ありがとうございます!」という声を聞きながら、再び歩き出す。
きっと俺は、苦笑いを浮かべているんだろうな。
「はあ……」
立ち止まって空を見上げる。少しずつ闇に染まっていく。早く帰らないと。
「らしくないなあ、ヒロト」
ふいに後ろから声が聞こえた。
聞き覚えのある声。
「難しい顔してるね」
俺にとって大切な人の声。
でも、もう二度と会えない筈の人。
「なんかボール蹴れないくらい悩んでるの?ある意味ヒロトらしいかも」
そんな筈ない。
だってあの子は、
彼女は、もう、
分かっている筈なのに、後ろを振り向いて、俺は目を見開いた。
「あっもしかして見えてる?久しぶりだね」
「青葉…」
もう、死んでいるじゃないか。
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