「あ」



縁側に隣接している和室にて、ヒロトは青葉が寝転がって寝ているのを見つけた。

そういえば午前中はルルたちに振り回されて、疲れたってぼやいてたな…と思い出す。

幸せそうな寝顔に、ヒロトも頬を緩める。

髪を撫でればサラリと手から零れた。感覚はあまりないものの、その感覚にヒロトは幸せを覚えた。

大切な家族が、大切な人が傍にいるという幸せを。



「…俺も少し休ませてもらおうかな」



青葉の横に体を横たえると、少しだけだとヒロトも目を閉じた。




＊＊＊


「お」



ミニゲームをしようとヒロトを探していた南雲は、眠っているヒロトにかけようとした言葉を呑み込んだ。

ヒロトの隣には青葉が寝ており、青葉まで起こしてしまうかもしれないと思ったからだ。

いや、間違いなく一緒に起きるな、これ。



「なんか平和ボケしてるっつーか…」



エイリア学園マスターランクチーム、プロミネンスのバーンだった頃には考えられないくらい平和だと、南雲は思った。



「いや…日常が戻ってきたっつーのか」



ヒロトの髪を軽く引っ張り、 青葉の頬をつつきながら、そう小さく呟いた。

宇宙人となる前の、ただひたすらにみんなとボールを追いかけていた日々を思い出す。

２人を見ていたら眠くなったと、南雲も寝転がると、数分後には寝息をたてていた。




＊＊＊


「…」



緑川風に言えば、ミイラ取りがミイラになるだな、とアイスをくわえながら風介は思った。

ヒロトを呼びに行ったものの、一向に戻って来ない晴矢を探せば、青葉とヒロトと共に寝ていた。

言い出しっぺが何をしているんだ…と思った風介だが、喧嘩をすれば余計に暑くなると起こしはしなかった。

寧ろなんかムカつくと、自分がチューリップと呼んでいる部分を引っ張れば、うーという唸り声。



「…ムカつく」



非常に理不尽である。

凉野は１人分空くように南雲を適当に蹴って転がすと、空いたスペースに自分が転がった。

そして起きたらまた蹴ってやろうと思いつつ、欠伸をしながら目を閉じた。




＊＊＊


「ヒロトー。晴矢と風介に青葉も…」



そう声をかけながら和室を覗いた緑川は、慌てて言葉を呑み込んだ。

視線の先には、気持ち良さそうに寝ている４人の姿。



「ほんと、喧嘩する程仲が良いだよなあ…」



隣り合って寝ている南雲と凉野を見て、緑川は思わず苦笑いを浮かべる。

俺大抵巻き込まれるし、普段もこれくらいだったら…無理か。

仲がいい方が違和感があって、やっぱり喧嘩してる方がらしくていい。

そう思って、なんだかんだいって自分も楽しんでいるのだと緑川は思った。






(もう６時だよ、４人とも！)
(あ、リュウジおはよう…)
(そんなに寝ちゃったんだ…)
(風介テメェ俺のことどかしただろ！)
(邪魔だったからな)