鬼道有人との再会
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「なんてこともあったね」
「初耳なんだが」
物凄い形相で風丸が俺を見た。1年生が怯えているぞ……。
「早めに潰しておけばよかったんだ」
「ああ」
「鬼道がか……世も末だ」
「豪炎寺お前……」
「美波は愛されてるなあ」
「いーちーのーせー!」
「あはは」
「一之瀬お前、楽しんでるだろ」
「まあね。見てて飽きないよ」
視線を寄越してきた一之瀬から目をそらす。変に話を降られて、円堂に睨まれるのは避けたい。
「それにしても、よくこの部室で着替えられるよね」
「倉庫で着替えてるからいいじゃん。それに裸なんて守兄と一郎太で慣れてるよ」
「円堂はともかく、風丸は……」
「もしかして一緒に風呂に入ったことがあるとか!」
「……プールの授業で見るだろ」
「それもあったね」
「それもでヤンスか……」
「美波先輩らしいっす」
「まあ、あんま気にすることじゃないって。一郎太何で顔赤いの?」
「……聞くな」
帝国ではここまで騒がしくなかった。たまに騒ぎ立てることもありはしたが、毎日ではない。
だが、こういうのも悪くないと思う自分がいる。
「だからさ、借りを返さなきゃなーって」
大きくずれた話題を、美波は無理矢理戻した。
「このメンバーでサッカーができる。それで十分だ」
「そっかー。でもそれじゃあたしが納得いかない!」
「俺も納得いかない」
「風丸は意味が違うだろ……」
「だからさ、約束通り鬼道に何か奢るよ!」
「何かって何を?」
「それなんだよね。マックス何か案出して」
「無茶言わないでよ」
「練習後だし甘いものとか」
「半田ナイス!この前、秋達と駅前にクレープ食べに行ったんだ。だからそれ奢る!」
「気持ちだけで十分だ」
「せっかく美波が言ってるんだぞ」
「……円堂、本音は?」
「行くな」
「行くな」
真顔の円堂に風丸が続く。染岡が額に手を当てた。この2人は、美波が絡むと何故ここまで変わるのだろうか。
「皆シャツまでは着た?」
「着たよ」
「はーい、っと。ありがと影野」
「どういたしまして、ふふ……」
倉庫から出てきた美波が、俺に向き直った。
「さ、行こうよ鬼道!」
「仕方ないな……」
礼ならアレでいいというのに……。まあ、美波は存在すら知らないのだろうが……。
携帯のフォルダに保存された画像。まだ土門がスパイだった頃、秋葉名戸との準決勝の時撮られた写真。
それはその時ライセンスを取得していなかった美波が、強制的にメイド服を着せられているもの。
しかも真っ赤な顔で涙目で上目遣い。
……まあ、あれだ。アイツの弱みを握っているだけだ。
「鬼道!はーやーくー!置いてくよ!」
美波はいつの間にか部室から出ていて、手を振っていた。……そんなに行きたいのか。……なら。
「俺を置いていくとはいい度胸だな」
「げっ」
ひきつった表情を見て、加虐心が疼く。携帯を閉じて足早に歩き追いつくと、美波の頬を軽くつまんだ。
「あにふんのさひほー!」
「フッ」
「ドヤ顔やめて!」
そろそろ後ろからの殺気(恐らく円堂と風丸)が酷くなってきたので、手を放す。
「行くぞ」
「鬼道お店知ってるの?」
「……」
「ほら、行こ!」
「……ああ、そうだな」
俺の手を取り、美波は無邪気に笑った。……この笑顔に、惹かれてしまった。
後ろから飛んでくる殺気も気にならない。
悪くない、そう思った。
「あれ?」
「なんだよ成神」
部活帰りで、これから佐久間と源田の見舞いに行く帝国学園サッカー部一行。
先頭を歩いていた成神が立ち止まったため、必然的に後ろを歩いていたメンバーの足も止まる。
すぐ後ろを歩いていた辺見が顔をしかめ、引き取るように寺門がどうかしたのかと訪ねると、成神は前方を指差した。
「あれです」
『え』
全員の動きが止まった。
目線の先には雷門へ転校した元キャプテンの鬼道と、佐久間の想い人である美波がいた。
そこまではいい。それだけなら、動きを止めることもなかっただろう。
ならば何故、一同が硬直したのかというと、美波が鬼道の手を引いていたからだ。
いや逆じゃね?……じゃなくて、
「デキてるのかなー、アレ」
「まさか」
「佐久間が可哀想だな」
「鬼道、顔が赤くなってないか」
「大方彼女に付き合ってあげている、というところでしょうか」
「五条……お前……」
「現時点では付き合ってねーってことか?」
「そうですね……ふふ……」
『(怖い!)』
五条の隣にいた咲山が、少し距離をおいた。
「佐久間センパイに言うべきっすかね」
「言うに1票。きっと面白い反応してくれるよ」
佐久間が年上にも関わらずこの扱い。洞面、恐ろしい子である。
「ライバルは多いな、佐久間」
雷門には疾風ディフェンダーやらエースストライカー、そして鬼道。
この3人以外にもいることだろう。
そうこうしているうちに病院につき、一部始終を話せば、病室に佐久間の叫びが響き渡った。
「病院ではお静かに!」
『すみませんでした』
先日まで無敗を誇った天下の帝国サッカー部も、看護婦さんには敵わないらしい。
(あーあ、佐久間センパイのせいで怒られた)
(放心してるぞコイツ)
(わざわざ見舞いに来てくれたのにすまないな。今はそっとしておいてくれ)
(相手が鬼道……!?いやでも、負けるか……!!)
(……頑張れ)
→あとがき
「初耳なんだが」
物凄い形相で風丸が俺を見た。1年生が怯えているぞ……。
「早めに潰しておけばよかったんだ」
「ああ」
「鬼道がか……世も末だ」
「豪炎寺お前……」
「美波は愛されてるなあ」
「いーちーのーせー!」
「あはは」
「一之瀬お前、楽しんでるだろ」
「まあね。見てて飽きないよ」
視線を寄越してきた一之瀬から目をそらす。変に話を降られて、円堂に睨まれるのは避けたい。
「それにしても、よくこの部室で着替えられるよね」
「倉庫で着替えてるからいいじゃん。それに裸なんて守兄と一郎太で慣れてるよ」
「円堂はともかく、風丸は……」
「もしかして一緒に風呂に入ったことがあるとか!」
「……プールの授業で見るだろ」
「それもあったね」
「それもでヤンスか……」
「美波先輩らしいっす」
「まあ、あんま気にすることじゃないって。一郎太何で顔赤いの?」
「……聞くな」
帝国ではここまで騒がしくなかった。たまに騒ぎ立てることもありはしたが、毎日ではない。
だが、こういうのも悪くないと思う自分がいる。
「だからさ、借りを返さなきゃなーって」
大きくずれた話題を、美波は無理矢理戻した。
「このメンバーでサッカーができる。それで十分だ」
「そっかー。でもそれじゃあたしが納得いかない!」
「俺も納得いかない」
「風丸は意味が違うだろ……」
「だからさ、約束通り鬼道に何か奢るよ!」
「何かって何を?」
「それなんだよね。マックス何か案出して」
「無茶言わないでよ」
「練習後だし甘いものとか」
「半田ナイス!この前、秋達と駅前にクレープ食べに行ったんだ。だからそれ奢る!」
「気持ちだけで十分だ」
「せっかく美波が言ってるんだぞ」
「……円堂、本音は?」
「行くな」
「行くな」
真顔の円堂に風丸が続く。染岡が額に手を当てた。この2人は、美波が絡むと何故ここまで変わるのだろうか。
「皆シャツまでは着た?」
「着たよ」
「はーい、っと。ありがと影野」
「どういたしまして、ふふ……」
倉庫から出てきた美波が、俺に向き直った。
「さ、行こうよ鬼道!」
「仕方ないな……」
礼ならアレでいいというのに……。まあ、美波は存在すら知らないのだろうが……。
携帯のフォルダに保存された画像。まだ土門がスパイだった頃、秋葉名戸との準決勝の時撮られた写真。
それはその時ライセンスを取得していなかった美波が、強制的にメイド服を着せられているもの。
しかも真っ赤な顔で涙目で上目遣い。
……まあ、あれだ。アイツの弱みを握っているだけだ。
「鬼道!はーやーくー!置いてくよ!」
美波はいつの間にか部室から出ていて、手を振っていた。……そんなに行きたいのか。……なら。
「俺を置いていくとはいい度胸だな」
「げっ」
ひきつった表情を見て、加虐心が疼く。携帯を閉じて足早に歩き追いつくと、美波の頬を軽くつまんだ。
「あにふんのさひほー!」
「フッ」
「ドヤ顔やめて!」
そろそろ後ろからの殺気(恐らく円堂と風丸)が酷くなってきたので、手を放す。
「行くぞ」
「鬼道お店知ってるの?」
「……」
「ほら、行こ!」
「……ああ、そうだな」
俺の手を取り、美波は無邪気に笑った。……この笑顔に、惹かれてしまった。
後ろから飛んでくる殺気も気にならない。
悪くない、そう思った。
「あれ?」
「なんだよ成神」
部活帰りで、これから佐久間と源田の見舞いに行く帝国学園サッカー部一行。
先頭を歩いていた成神が立ち止まったため、必然的に後ろを歩いていたメンバーの足も止まる。
すぐ後ろを歩いていた辺見が顔をしかめ、引き取るように寺門がどうかしたのかと訪ねると、成神は前方を指差した。
「あれです」
『え』
全員の動きが止まった。
目線の先には雷門へ転校した元キャプテンの鬼道と、佐久間の想い人である美波がいた。
そこまではいい。それだけなら、動きを止めることもなかっただろう。
ならば何故、一同が硬直したのかというと、美波が鬼道の手を引いていたからだ。
いや逆じゃね?……じゃなくて、
「デキてるのかなー、アレ」
「まさか」
「佐久間が可哀想だな」
「鬼道、顔が赤くなってないか」
「大方彼女に付き合ってあげている、というところでしょうか」
「五条……お前……」
「現時点では付き合ってねーってことか?」
「そうですね……ふふ……」
『(怖い!)』
五条の隣にいた咲山が、少し距離をおいた。
「佐久間センパイに言うべきっすかね」
「言うに1票。きっと面白い反応してくれるよ」
佐久間が年上にも関わらずこの扱い。洞面、恐ろしい子である。
「ライバルは多いな、佐久間」
雷門には疾風ディフェンダーやらエースストライカー、そして鬼道。
この3人以外にもいることだろう。
そうこうしているうちに病院につき、一部始終を話せば、病室に佐久間の叫びが響き渡った。
「病院ではお静かに!」
『すみませんでした』
先日まで無敗を誇った天下の帝国サッカー部も、看護婦さんには敵わないらしい。
(あーあ、佐久間センパイのせいで怒られた)
(放心してるぞコイツ)
(わざわざ見舞いに来てくれたのにすまないな。今はそっとしておいてくれ)
(相手が鬼道……!?いやでも、負けるか……!!)
(……頑張れ)
→あとがき