合宿ボーイズトーク
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「で、豪炎寺と鬼道が好きになったきっかけは?」
「待て。そもそも何故俺たちが美波が好きだということになっているんだ」
根拠はあるのか?説明してみろ、と何故かどこか勝ち誇ったように言った鬼道に、一之瀬は、
「2人共美波を見る目は優しいし、一緒にいたり話してると、穏やかに見えるんだよね。
つねったりして弄ってるのは、照れ隠しにしか見えないよ」
そうキッパリと言い切られ、鬼道は言葉を詰まらせた。そうだっただろうかと、考えを巡らせる。
だが少なくとも後者は事実で、反論出来ずに固まってしまった。
「まあ……言えば?」
「そういう半田はどうなんだ」
「え、お、俺は……好きだった?」
「ああ……そういえば」
「は?」
「ちょ、違う円堂!過去形だ過去形!今は普通に友達でチームメイトだって!」
「ふーん…」
円堂の鋭い視線が突き刺さり、半田は慌てて弁解した。好きだった、と過去形なのは本当の事である。
「どこを好きになったんですか?」
「あー……、なんというか、笑顔?初めて見た時かわいいなって思ったからさ」
「俺の双子の妹なんだからな、かわいいのは当たり前だろ」
「笑顔か……。円堂とはまた違った安心感があるよな」
「ああ。あの笑顔は暖かく感じる」
「でも好きだったのは、本当に最初だけなんだ。話してく内に、友達とか仲間として好きだって気持ちの方が強いって気づいて、
……おい待て。今豪炎寺なんつった」
一同の視線が豪炎寺に向く。さりげなく混ざったよな、今。
「俺は美波の笑顔もアイツ自身も好きだ」
「言い切ったね」
「もう誤魔化す必要はないだろう」
いつも通りのドヤ顔である。開き直ったのか、もしくはここで宣言してしまおうと思ったのか。
「俺はサッカーを諦めようとしていた。それに対して美波は、サッカーをすることを無理に誘っては来なかった」
「意外だな」
「だよな。ごり押ししていきそうなのに」
「しては来なかったが……その代わり、こう言ったんだ。自分なら、サッカーを続けて待ってて欲しい、ってな」
「あー……」
「それから、あいつは毎日話しかけてきた。その日あったとりとめのない話を、ひたすらに」
「聞いてたんですか?」
「いや、聞き流した。まあ相槌をうつくらいのことはしたが」
苦笑を浮かべつつ、豪炎寺は話し続ける。
「だから、だろうな。気づいたらそれが当たり前になっていた。
それであの練習試合で、諦めようとしないその姿を見た。そんな美波に、俺は惹かれたんだと思う」
そう言った豪炎寺の表情は穏やかで、染岡たちは、本当に好きなんだな、と思う。
それと同時に先程から黙ったままの円堂の方へ恐る恐る目を向けると、彼はニコニコと笑っていた。
「え、円堂……?」
「いいよ別に。お前等の気持ちはよく分かるから」
「キャプテン……」
「明日外周50周な」
その言葉に一同はピシリと固まり声なき悲鳴をあげたが、冗談だって!と続いた言葉にホッと胸を撫で下ろした。
「間違いなく一瞬本気でしたね……」
目金の呟きは、誰にも届かず。
豪炎寺の話が終わり、さて、と一之瀬は寝たふりを決め込もうとしていた鬼道に目を向けた。
「はい、ラストは鬼道だね」
眠くなってきたからさっさと話してよ、と壁に掛かった時計を一瞥し、小さな欠伸をしながら一之瀬は言った。
言い出しっぺが何を言うと鬼道は頬をひきつらせ、一之瀬をジト目で睨みつつため息をついた。
いっそのこと無視して寝てしまおうかと鬼道は考えたが、何やら突き刺さる視線に生命の危機を覚え、渋々口を開いた。
「俺は……気づいたら、やいつの間にか、と言うのが一番当てはまるな」
「もうお前等いっぺんに告白してフラれろ」
「もうちょっとオブラートに包んでやれって」
切り捨てた円堂に土門が言うが、全くフォローになってない。「オブラートってなんだ?」「やっぱいいわ」ダメだこれは。
「何故だか目が離せない。……不思議な奴だ」
「不思議?」
「気づかない内に入り込んでくる」
「あー、分かるわ。なんかスルッと入ってくるよな」
「そういう奴だから、話したんだろうな」
「何をだ」
「俺と春奈の事だ」
地区予選決勝の前に会った時にな、と鬼道は呟く。それに対し、円堂は少しばつの悪そうな表情を浮かべた。
「みんな、あの時は迷惑かけてごめんな」
「お前まだ気にしてたのかよ」
「や、だってほら、本気で戦わなきゃ意味無いのにさ……」
「もう終わったことじゃないですか!」
「そうですよ!」
「ああ、円堂が気に病む必要はないだろう。……影山がしたことだ」
歯を食い縛り、拳を握り締めた鬼道の体は、僅かに震えていた。
帝国の仲間たちに酷い怪我を負わせた、決勝の相手である世宇子は、影山が関わっている。許せる筈がない。
許せないのは、自分自身もだった。怪我の大事を取っていたとはいえ、仲間たちが倒れていくのを、見ていることしか出来なかった。
敵を取る。そのために雷門への転校を決意し、ここまで勝ち進んできた。試合は目前だ。
「大丈夫だ、鬼道!俺たちならきっと勝てるさ!」
「円堂……」
いつも背中を押してくれる太陽の如き笑顔に、鬼道の表情が柔らかくなる。他のメンバーも、同意するように頷いた。
「よーし、絶対に勝つためにまず明日の練習に備えるぞ!」
おやすみ!と布団を被った円堂に一同が呆気に取られていれば、直ぐに小さないびきが聞こえてくる。
互いに顔を見合せ、ほぼ同時に吹き出す。全く、これだからうちのキャプテンは。
数十分後、様子を見に来た響木が見たのは、穏やかな寝顔を浮かべながら眠る彼等の姿だった。
(って今考えると、昨日上手くかわされたな)
(あー、確かに)
(土門……俺今度は流されないようにするよ)
(またやんのかよ)
(やるよ、面白いから)
(……そうか)
***
本当は思春期らしいネタも入れてみたかったけど、無理でした。
話を展開させるのに、一之瀬ばかりを動かしがちな悪い癖です。自分に振られたらどうするつもりだったんですかね、一之瀬。
「待て。そもそも何故俺たちが美波が好きだということになっているんだ」
根拠はあるのか?説明してみろ、と何故かどこか勝ち誇ったように言った鬼道に、一之瀬は、
「2人共美波を見る目は優しいし、一緒にいたり話してると、穏やかに見えるんだよね。
つねったりして弄ってるのは、照れ隠しにしか見えないよ」
そうキッパリと言い切られ、鬼道は言葉を詰まらせた。そうだっただろうかと、考えを巡らせる。
だが少なくとも後者は事実で、反論出来ずに固まってしまった。
「まあ……言えば?」
「そういう半田はどうなんだ」
「え、お、俺は……好きだった?」
「ああ……そういえば」
「は?」
「ちょ、違う円堂!過去形だ過去形!今は普通に友達でチームメイトだって!」
「ふーん…」
円堂の鋭い視線が突き刺さり、半田は慌てて弁解した。好きだった、と過去形なのは本当の事である。
「どこを好きになったんですか?」
「あー……、なんというか、笑顔?初めて見た時かわいいなって思ったからさ」
「俺の双子の妹なんだからな、かわいいのは当たり前だろ」
「笑顔か……。円堂とはまた違った安心感があるよな」
「ああ。あの笑顔は暖かく感じる」
「でも好きだったのは、本当に最初だけなんだ。話してく内に、友達とか仲間として好きだって気持ちの方が強いって気づいて、
……おい待て。今豪炎寺なんつった」
一同の視線が豪炎寺に向く。さりげなく混ざったよな、今。
「俺は美波の笑顔もアイツ自身も好きだ」
「言い切ったね」
「もう誤魔化す必要はないだろう」
いつも通りのドヤ顔である。開き直ったのか、もしくはここで宣言してしまおうと思ったのか。
「俺はサッカーを諦めようとしていた。それに対して美波は、サッカーをすることを無理に誘っては来なかった」
「意外だな」
「だよな。ごり押ししていきそうなのに」
「しては来なかったが……その代わり、こう言ったんだ。自分なら、サッカーを続けて待ってて欲しい、ってな」
「あー……」
「それから、あいつは毎日話しかけてきた。その日あったとりとめのない話を、ひたすらに」
「聞いてたんですか?」
「いや、聞き流した。まあ相槌をうつくらいのことはしたが」
苦笑を浮かべつつ、豪炎寺は話し続ける。
「だから、だろうな。気づいたらそれが当たり前になっていた。
それであの練習試合で、諦めようとしないその姿を見た。そんな美波に、俺は惹かれたんだと思う」
そう言った豪炎寺の表情は穏やかで、染岡たちは、本当に好きなんだな、と思う。
それと同時に先程から黙ったままの円堂の方へ恐る恐る目を向けると、彼はニコニコと笑っていた。
「え、円堂……?」
「いいよ別に。お前等の気持ちはよく分かるから」
「キャプテン……」
「明日外周50周な」
その言葉に一同はピシリと固まり声なき悲鳴をあげたが、冗談だって!と続いた言葉にホッと胸を撫で下ろした。
「間違いなく一瞬本気でしたね……」
目金の呟きは、誰にも届かず。
豪炎寺の話が終わり、さて、と一之瀬は寝たふりを決め込もうとしていた鬼道に目を向けた。
「はい、ラストは鬼道だね」
眠くなってきたからさっさと話してよ、と壁に掛かった時計を一瞥し、小さな欠伸をしながら一之瀬は言った。
言い出しっぺが何を言うと鬼道は頬をひきつらせ、一之瀬をジト目で睨みつつため息をついた。
いっそのこと無視して寝てしまおうかと鬼道は考えたが、何やら突き刺さる視線に生命の危機を覚え、渋々口を開いた。
「俺は……気づいたら、やいつの間にか、と言うのが一番当てはまるな」
「もうお前等いっぺんに告白してフラれろ」
「もうちょっとオブラートに包んでやれって」
切り捨てた円堂に土門が言うが、全くフォローになってない。「オブラートってなんだ?」「やっぱいいわ」ダメだこれは。
「何故だか目が離せない。……不思議な奴だ」
「不思議?」
「気づかない内に入り込んでくる」
「あー、分かるわ。なんかスルッと入ってくるよな」
「そういう奴だから、話したんだろうな」
「何をだ」
「俺と春奈の事だ」
地区予選決勝の前に会った時にな、と鬼道は呟く。それに対し、円堂は少しばつの悪そうな表情を浮かべた。
「みんな、あの時は迷惑かけてごめんな」
「お前まだ気にしてたのかよ」
「や、だってほら、本気で戦わなきゃ意味無いのにさ……」
「もう終わったことじゃないですか!」
「そうですよ!」
「ああ、円堂が気に病む必要はないだろう。……影山がしたことだ」
歯を食い縛り、拳を握り締めた鬼道の体は、僅かに震えていた。
帝国の仲間たちに酷い怪我を負わせた、決勝の相手である世宇子は、影山が関わっている。許せる筈がない。
許せないのは、自分自身もだった。怪我の大事を取っていたとはいえ、仲間たちが倒れていくのを、見ていることしか出来なかった。
敵を取る。そのために雷門への転校を決意し、ここまで勝ち進んできた。試合は目前だ。
「大丈夫だ、鬼道!俺たちならきっと勝てるさ!」
「円堂……」
いつも背中を押してくれる太陽の如き笑顔に、鬼道の表情が柔らかくなる。他のメンバーも、同意するように頷いた。
「よーし、絶対に勝つためにまず明日の練習に備えるぞ!」
おやすみ!と布団を被った円堂に一同が呆気に取られていれば、直ぐに小さないびきが聞こえてくる。
互いに顔を見合せ、ほぼ同時に吹き出す。全く、これだからうちのキャプテンは。
数十分後、様子を見に来た響木が見たのは、穏やかな寝顔を浮かべながら眠る彼等の姿だった。
(って今考えると、昨日上手くかわされたな)
(あー、確かに)
(土門……俺今度は流されないようにするよ)
(またやんのかよ)
(やるよ、面白いから)
(……そうか)
***
本当は思春期らしいネタも入れてみたかったけど、無理でした。
話を展開させるのに、一之瀬ばかりを動かしがちな悪い癖です。自分に振られたらどうするつもりだったんですかね、一之瀬。
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