第16話 立ち上がれキャプテン!
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飛び込んできた監督の声に、のし掛かっていたものが消えていくのを感じた。
口々に呼びながら走り寄る皆の背中を見送る。やっぱり、イナズマジャパンのキャプテンは守じゃなきゃ駄目なんだ。
「美波ちゃん?」
「あ……何でもない。行こう、ヒロト」
安堵の表情を浮かべる皆をよそに、守兄は厳しい顔で皆を見回した。勝ちたくないのか。その言葉が深く重々しく突き刺さる。
「勝ちたいさ。俺達は勝ちたいからここにいる。だけど……」
「風丸、よく見るんだ。不動の言葉じゃなく、不動のプレーを。分からないのか!?あいつは自分だけじゃない、お前たちを活かしたプレーをしようとしている!」
「いや、あいつは誰にも届かないパスを出してきた。あれは嫌がらせだ!」
「ボールは嘘をつかない!パスを受けてみれば全て分かる!」
「円堂……」
「それに美波はちゃんと受け取れたじゃないか!皆にも出来るさ!」
いきなり話を振られた。けど、今だ。押すなら今しかない!
「そうだよ!あのパスは勝ちたい思いが伝わってくる熱いパスだった!」
「けどさあ、美波だって必死に追い付こうとしてたじゃん」
「あれは美波さんが頑張ったから取れただけっす」
「そんなことないよ。皆も絶対取れる!お願い。あと一回だけでいいから、もう一度明王ちゃんのプレーを見て!」
それでも納得いかないといった顔で。どうすれば伝わるだろう。口ごもっていると、肩に手を置かれた。振り返ると鬼道が立っていた。そっか、鬼道も試合に戻るんだ。
小さく頷く鬼道は分かってるみたいだ。ベンチで久遠監督か響木監督から何か聞いたのかもしれない。……ここは、鬼道に任せた方がいいんだろうな。
「不動くんのプレーを信じてみよう」
「ヒロト、お前……」
「確かに納得のいかないプレーばかりだったけれど、美波ちゃんとは連携出来てたんだ。あれはまぐれじゃない……と思う」
「美波さんが合わせてただけなんじゃないですか?」
「いや、あれは……上手く説明出来ないけど、不動くんが誘導してるように見えた」
「信じていいのか」
「それだけの価値はある」
「……分かった。やってみよう」
「ありがとう、一郎太!皆!」
「不動を信じるんじゃない。あいつを信じる円堂と美波を信じるだけだ」
何はともあれこれで一歩前進!あとは見て分かって貰えばいい。
「後押ししてくれてありがとねヒロト」
「仲間のことでこれ以上争いたくなかったからね。それに、あの二人も何か感じてたようだったしさ」
「あ、晴矢と風介?そうなんだよね。二人のおかげで客観的に見られたっていうか」
思えば普段の様子を知らない、同じチームじゃない対戦相手だったから、晴矢と風介は明王ちゃんのプレーに気付けたのかも。
監督の言う敵は不動を知らないがこんなことになるとは。……ジョーカーを活かす、は出来なかったけど。あっそうだ、一番大事なもの!
「守兄!はい、返すねキャプテンマーク」
「美波……よく頑張ったな!」
「でもそれは守兄が付けてるのが一番しっくりくる」
「皆が俺をキャプテンにしてくれるんだ。あ、美波が付けてくれよ」
「……えー、仕方ないな守兄は。はい、これでよし!」
「ありがとうな。よし、皆行くぞ!」
『おうっ!』
試合が動き出す。早速パスカットした明王ちゃんのパスは……通らない。そう簡単にはいかないか。なら、何度でもやるまでだ!
オーバーラップすれば、つられてファイアードラゴンの中盤が少し崩れた。スペースが空いたそこを突いて、すかさず鬼道へのパスが通る。よしっ!
「もっと強く早いパスで構わない!」
「なら、こいつでどうだ!」
ワンツーで抜き去っていく二人の連携は寸分のズレもない。試合前までギスギスしてたとは思えない、なんて。
取れるのは鬼道だからじゃない。パスを出す明王ちゃんは、届くと分かっている。だから鬼道も応えて走る。
「不動、俺達の知らないところで努力していたのかな」
壁山も一郎太も、もう明王ちゃんのパスを疑わない。だって、一度受けてしまえば分かるから。
「(不動の、勝ちたい、世界へ行きたいという熱い思いは)」
『(俺達と同じだ!!!)』
チャンスウと鬼道が攻防を繰り広げる元へ明王ちゃんが走り出す。短い声掛けに、一瞬のアイコンタクト。背中合わせの二人が、振り向き様に足を振り抜いた。
「「うおおおお!!!」」
鬼道と明王ちゃんが蹴り込んだボールを中心に、紫のオーラが渦を巻く。迸るパワーがチャンスウを弾き飛ばした。新必殺技だ!本当に出来た!
「フィールド上の、相手のプレイヤーの動きを殺してしまう技……名付けてキラーフィールズ!」
イナズマジャパンの勢いは止まらない。オーバーラップした一郎太が壁山とジャンプした。壁山を踏み台にして更に高く、そして一気に振り下ろす。
爆風を巻き起こしながら落ちていくシュートは、見事にゴールを抉じ開けた。やった!これで同点に追い付いた!竜巻落とし、格好いい!
何よりアシストの最高のタイミングのパスは流石としか言えない。一郎太の褒め言葉に素っ気ない態度な明王ちゃんだけど、もう皆はこれが不動明王だって分かってる。
「明王ちゃん笑ってるね」
「うるせえ」
「皆見て!明王ちゃんが!笑ってる!」
「黙れバカ!」
「痛い痛い痛い痛い!」
頬を思い切り引っ張られた。こんな時に鬼道と同じことしなくていい!というか鬼道がいつもは手加減してたのが分かったくらい強い。守兄に睨まれてやめるくらいなら最初からしないでよね!
守兄が戻ってきた。明王ちゃんとのチームワークも成り立つようになって、新必殺技も生まれた。……勝つ為に必要なものは揃ってる。だから、後は……。
「(豪炎寺、飛鷹……!)」
「勝つぞ、皆!勝って世界だ!!」
『おう!!』
→あとがき
口々に呼びながら走り寄る皆の背中を見送る。やっぱり、イナズマジャパンのキャプテンは守じゃなきゃ駄目なんだ。
「美波ちゃん?」
「あ……何でもない。行こう、ヒロト」
安堵の表情を浮かべる皆をよそに、守兄は厳しい顔で皆を見回した。勝ちたくないのか。その言葉が深く重々しく突き刺さる。
「勝ちたいさ。俺達は勝ちたいからここにいる。だけど……」
「風丸、よく見るんだ。不動の言葉じゃなく、不動のプレーを。分からないのか!?あいつは自分だけじゃない、お前たちを活かしたプレーをしようとしている!」
「いや、あいつは誰にも届かないパスを出してきた。あれは嫌がらせだ!」
「ボールは嘘をつかない!パスを受けてみれば全て分かる!」
「円堂……」
「それに美波はちゃんと受け取れたじゃないか!皆にも出来るさ!」
いきなり話を振られた。けど、今だ。押すなら今しかない!
「そうだよ!あのパスは勝ちたい思いが伝わってくる熱いパスだった!」
「けどさあ、美波だって必死に追い付こうとしてたじゃん」
「あれは美波さんが頑張ったから取れただけっす」
「そんなことないよ。皆も絶対取れる!お願い。あと一回だけでいいから、もう一度明王ちゃんのプレーを見て!」
それでも納得いかないといった顔で。どうすれば伝わるだろう。口ごもっていると、肩に手を置かれた。振り返ると鬼道が立っていた。そっか、鬼道も試合に戻るんだ。
小さく頷く鬼道は分かってるみたいだ。ベンチで久遠監督か響木監督から何か聞いたのかもしれない。……ここは、鬼道に任せた方がいいんだろうな。
「不動くんのプレーを信じてみよう」
「ヒロト、お前……」
「確かに納得のいかないプレーばかりだったけれど、美波ちゃんとは連携出来てたんだ。あれはまぐれじゃない……と思う」
「美波さんが合わせてただけなんじゃないですか?」
「いや、あれは……上手く説明出来ないけど、不動くんが誘導してるように見えた」
「信じていいのか」
「それだけの価値はある」
「……分かった。やってみよう」
「ありがとう、一郎太!皆!」
「不動を信じるんじゃない。あいつを信じる円堂と美波を信じるだけだ」
何はともあれこれで一歩前進!あとは見て分かって貰えばいい。
「後押ししてくれてありがとねヒロト」
「仲間のことでこれ以上争いたくなかったからね。それに、あの二人も何か感じてたようだったしさ」
「あ、晴矢と風介?そうなんだよね。二人のおかげで客観的に見られたっていうか」
思えば普段の様子を知らない、同じチームじゃない対戦相手だったから、晴矢と風介は明王ちゃんのプレーに気付けたのかも。
監督の言う敵は不動を知らないがこんなことになるとは。……ジョーカーを活かす、は出来なかったけど。あっそうだ、一番大事なもの!
「守兄!はい、返すねキャプテンマーク」
「美波……よく頑張ったな!」
「でもそれは守兄が付けてるのが一番しっくりくる」
「皆が俺をキャプテンにしてくれるんだ。あ、美波が付けてくれよ」
「……えー、仕方ないな守兄は。はい、これでよし!」
「ありがとうな。よし、皆行くぞ!」
『おうっ!』
試合が動き出す。早速パスカットした明王ちゃんのパスは……通らない。そう簡単にはいかないか。なら、何度でもやるまでだ!
オーバーラップすれば、つられてファイアードラゴンの中盤が少し崩れた。スペースが空いたそこを突いて、すかさず鬼道へのパスが通る。よしっ!
「もっと強く早いパスで構わない!」
「なら、こいつでどうだ!」
ワンツーで抜き去っていく二人の連携は寸分のズレもない。試合前までギスギスしてたとは思えない、なんて。
取れるのは鬼道だからじゃない。パスを出す明王ちゃんは、届くと分かっている。だから鬼道も応えて走る。
「不動、俺達の知らないところで努力していたのかな」
壁山も一郎太も、もう明王ちゃんのパスを疑わない。だって、一度受けてしまえば分かるから。
「(不動の、勝ちたい、世界へ行きたいという熱い思いは)」
『(俺達と同じだ!!!)』
チャンスウと鬼道が攻防を繰り広げる元へ明王ちゃんが走り出す。短い声掛けに、一瞬のアイコンタクト。背中合わせの二人が、振り向き様に足を振り抜いた。
「「うおおおお!!!」」
鬼道と明王ちゃんが蹴り込んだボールを中心に、紫のオーラが渦を巻く。迸るパワーがチャンスウを弾き飛ばした。新必殺技だ!本当に出来た!
「フィールド上の、相手のプレイヤーの動きを殺してしまう技……名付けてキラーフィールズ!」
イナズマジャパンの勢いは止まらない。オーバーラップした一郎太が壁山とジャンプした。壁山を踏み台にして更に高く、そして一気に振り下ろす。
爆風を巻き起こしながら落ちていくシュートは、見事にゴールを抉じ開けた。やった!これで同点に追い付いた!竜巻落とし、格好いい!
何よりアシストの最高のタイミングのパスは流石としか言えない。一郎太の褒め言葉に素っ気ない態度な明王ちゃんだけど、もう皆はこれが不動明王だって分かってる。
「明王ちゃん笑ってるね」
「うるせえ」
「皆見て!明王ちゃんが!笑ってる!」
「黙れバカ!」
「痛い痛い痛い痛い!」
頬を思い切り引っ張られた。こんな時に鬼道と同じことしなくていい!というか鬼道がいつもは手加減してたのが分かったくらい強い。守兄に睨まれてやめるくらいなら最初からしないでよね!
守兄が戻ってきた。明王ちゃんとのチームワークも成り立つようになって、新必殺技も生まれた。……勝つ為に必要なものは揃ってる。だから、後は……。
「(豪炎寺、飛鷹……!)」
「勝つぞ、皆!勝って世界だ!!」
『おう!!』
→あとがき