第14話 アジア最強!ファイアードラゴン!!
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ファイアードラゴンは戦力を温存して勝てるような相手じゃない。監督が守兄を外したのは、何か理由がある。
……守兄は必ず戻ってくる。だからそれまでは、あたしが出来ることを精一杯やる!
「立向居!今は試合のことだけ考えろ!」
「立向居の実力は皆知ってる。立向居なら大丈夫!」
「はい!」
「美波も、お前ならキャプテンだって出来る!」
「うん!守兄が戻るまで頑張るから!負けないよ!」
「そうじゃなくてさー。どうせやるなら円堂に出番が来ないくらいやってやろうぜ!負けないんじゃねえ。勝つんだ!」
「そうです!俺達だって、美波さんの実力は知ってます!やれますよ!」
「……そうだね。ありがとう条兄、立向居。守兄がいなくたって、やってやる!」
試合が始まった。攻め込むフォワード陣に鬼道の指示が飛ぶ。上がったセンタリングは誰が撃つか。豪炎寺としろ君にマークがつくけど、ボールは大きくカーブする。
パスに合わせていたのはヒロトだ。力強く振り下ろされた右足から炸裂した流星ブレードは、大爆発張り手で弾かれてしまった。……そう簡単にはいかない、か。
今度はチェ・チャンスウの指示が飛んだ。鬼道の戦術に合わせた的確な指示でボールを抑えると、アフロディ、晴矢、風介が上がってくる。早速来た!
「来るよ!一郎太、条兄!チェックに入って!」
「おう!」
「任せろ!」
コースを塞げばその分立向居が楽になる。ディフェンスだけじゃない。いつも以上に全体をよく見て動くんだ。
「やあ、美波。こうも早く君と対峙するとはね」
「風介には撃たせないよ」
「アフロディをフリーにしていいのかい?」
「止められるよ、立向居ならね!」
六枚の羽が羽ばたく音が聞こえる。敵として、味方として、絶望として、希望として。そして今はまた……ライバルとして。
凄いな、アフロディは。視線を向けなくても空気が震えるようなパワーを感じる。でも、こっちだってそう簡単に点はやらない!
「真ゴッドノウズ!」
「ムゲン・ザ・ハンド!」
進化したゴッドノウズを、立向居は見事に止めてみせた。よし!いける!
ゴールキックが前線へ上がる。繋がったのも束の間、上手くカットされてしまった。それから中盤で取っては取られての繰り返しだ。
攻めきれない、いや攻めあぐねている。次はどちらが先に動くか。張り詰めたような感覚。ここはなんとしても流れを取りたい。
「鬼道!」
「ああ!」
合図を出してあたしも上がる。大丈夫、後ろには一郎太達がいる。隙を探せ。糸口は絶対にある。
今度は豪炎寺のスライディングタックル。少し危ない角度にも見えたプレーは、やはりファウルが出た。……なんか、焦ってる?
「豪炎寺!」
「……すまない」
「謝らないで。勝ちたい気持ちは全然おかしくない。焦らずいこう!」
「ああ」
背中を軽く叩けばさっきと逆だなと豪炎寺は苦笑した。別にあたしだって緊張が全部無くなった訳じゃない。だから、こういう時こそ支え合えばいいんだ。仲間なんだから。
溢れたボールを拾った飛鷹が上がる。けれど、ヒロトとリュウジがノーマークにも関わらずパスを出そうとしない。鬼道の声も聞こえてない……周りが見えてないんだ。
トップスピードで走る飛鷹は確かに速い。その代わり隙だらけで、それを逃すファイアードラゴンじゃない。待ち構えるのは晴矢と風介。勝敗は誰の目にも明らかだった。……これ以上は!
「行かせない!」
「おいおい一人で俺らを止める気かよ。相変わらず無茶だな」
「単独で止められる程私達は甘くないよ」
「無茶はあたしの必殺技!やってみなくちゃわからない!」
「それでこそ美波だ」
「倒し甲斐があって助かるぜ」
「っ!」
普段は揉めてばかりなのにこういう時は息ピッタリなんだから、やっぱり喧嘩するほど仲がいいだ。いや、喧嘩出来るだけ認め合ってるからこその連携か。
晴矢が足を振り上げる。二人共、得点を確信してるだろう。……大丈夫、間に合った!
「スノーエンジェル!」
戻ってきていたのは士郎くんだ。涼やかな風が吹き抜けて、繰り出された雪風は氷となって晴矢と風介を包み込む。キープしたボールに足をかけて、士郎くんは微笑んだ。
「時間を稼いでくれてありがとう、美波ちゃん」
「士郎くんが戻ってくるの、見えてたから」
「間に合って良かったよ。さあ、反撃だ!」
士郎くんがボールを蹴り出した。それに続いて土方が上がる。絶好のチャンス、このカウンターは決めたい!
「なるほどね。一対二では無かったということか」
「そうこなくちゃな!」
「今度はこっちの番だよ!マリンアクセル!」
流れる水に乗ってディフェンスをすり抜け、前線で待つ二人へ思い切りボールを蹴り上げた。
「いっけえ土方!士郎くん!」
「いくぞ吹雪!」
「ああ!」
激しい雷を纏ったボールを土方が繰り出す。それに加速して追い付いた士郎くんが、渾身のボレーを叩き込んだ。火花が散って雪が舞う。真っ直ぐに突き進むシュートは、まるで獣だ。
サンダービースト。そう名付けられたシュートは、ファイアードラゴンの強固なゴールを抉じ開けた。イナズマジャパンの先制点だ!
「やったね土方!士郎くん!」
「うん!」
「ナイスパスだったぜ、美波!」
二人とハイタッチを交わしていれば、集まってきた皆が口々に称賛の言葉をかける。完成していた二人の技はチームを勢いづけてくれた。いい流れだ!
「よっしゃ!この調子でガンガン攻めようぜ!皆!」
『おう!』
追い風は間違いなく吹いてる。……でも、アフロディ達がこれで終わる訳がない。皆の調子もいいけれど、所々噛み合ってないのが気がかりだ。
「鬼道はどう思う?」
「このまま終わらせてくれる連中でないことは確かだ」
「完全なる戦術っていうのもまだだよね」
「ああ。……侮れない奴だ。気は抜くなよ」
「もちろん」
試合はまだ、始まったばかりだ。
→あとがき
……守兄は必ず戻ってくる。だからそれまでは、あたしが出来ることを精一杯やる!
「立向居!今は試合のことだけ考えろ!」
「立向居の実力は皆知ってる。立向居なら大丈夫!」
「はい!」
「美波も、お前ならキャプテンだって出来る!」
「うん!守兄が戻るまで頑張るから!負けないよ!」
「そうじゃなくてさー。どうせやるなら円堂に出番が来ないくらいやってやろうぜ!負けないんじゃねえ。勝つんだ!」
「そうです!俺達だって、美波さんの実力は知ってます!やれますよ!」
「……そうだね。ありがとう条兄、立向居。守兄がいなくたって、やってやる!」
試合が始まった。攻め込むフォワード陣に鬼道の指示が飛ぶ。上がったセンタリングは誰が撃つか。豪炎寺としろ君にマークがつくけど、ボールは大きくカーブする。
パスに合わせていたのはヒロトだ。力強く振り下ろされた右足から炸裂した流星ブレードは、大爆発張り手で弾かれてしまった。……そう簡単にはいかない、か。
今度はチェ・チャンスウの指示が飛んだ。鬼道の戦術に合わせた的確な指示でボールを抑えると、アフロディ、晴矢、風介が上がってくる。早速来た!
「来るよ!一郎太、条兄!チェックに入って!」
「おう!」
「任せろ!」
コースを塞げばその分立向居が楽になる。ディフェンスだけじゃない。いつも以上に全体をよく見て動くんだ。
「やあ、美波。こうも早く君と対峙するとはね」
「風介には撃たせないよ」
「アフロディをフリーにしていいのかい?」
「止められるよ、立向居ならね!」
六枚の羽が羽ばたく音が聞こえる。敵として、味方として、絶望として、希望として。そして今はまた……ライバルとして。
凄いな、アフロディは。視線を向けなくても空気が震えるようなパワーを感じる。でも、こっちだってそう簡単に点はやらない!
「真ゴッドノウズ!」
「ムゲン・ザ・ハンド!」
進化したゴッドノウズを、立向居は見事に止めてみせた。よし!いける!
ゴールキックが前線へ上がる。繋がったのも束の間、上手くカットされてしまった。それから中盤で取っては取られての繰り返しだ。
攻めきれない、いや攻めあぐねている。次はどちらが先に動くか。張り詰めたような感覚。ここはなんとしても流れを取りたい。
「鬼道!」
「ああ!」
合図を出してあたしも上がる。大丈夫、後ろには一郎太達がいる。隙を探せ。糸口は絶対にある。
今度は豪炎寺のスライディングタックル。少し危ない角度にも見えたプレーは、やはりファウルが出た。……なんか、焦ってる?
「豪炎寺!」
「……すまない」
「謝らないで。勝ちたい気持ちは全然おかしくない。焦らずいこう!」
「ああ」
背中を軽く叩けばさっきと逆だなと豪炎寺は苦笑した。別にあたしだって緊張が全部無くなった訳じゃない。だから、こういう時こそ支え合えばいいんだ。仲間なんだから。
溢れたボールを拾った飛鷹が上がる。けれど、ヒロトとリュウジがノーマークにも関わらずパスを出そうとしない。鬼道の声も聞こえてない……周りが見えてないんだ。
トップスピードで走る飛鷹は確かに速い。その代わり隙だらけで、それを逃すファイアードラゴンじゃない。待ち構えるのは晴矢と風介。勝敗は誰の目にも明らかだった。……これ以上は!
「行かせない!」
「おいおい一人で俺らを止める気かよ。相変わらず無茶だな」
「単独で止められる程私達は甘くないよ」
「無茶はあたしの必殺技!やってみなくちゃわからない!」
「それでこそ美波だ」
「倒し甲斐があって助かるぜ」
「っ!」
普段は揉めてばかりなのにこういう時は息ピッタリなんだから、やっぱり喧嘩するほど仲がいいだ。いや、喧嘩出来るだけ認め合ってるからこその連携か。
晴矢が足を振り上げる。二人共、得点を確信してるだろう。……大丈夫、間に合った!
「スノーエンジェル!」
戻ってきていたのは士郎くんだ。涼やかな風が吹き抜けて、繰り出された雪風は氷となって晴矢と風介を包み込む。キープしたボールに足をかけて、士郎くんは微笑んだ。
「時間を稼いでくれてありがとう、美波ちゃん」
「士郎くんが戻ってくるの、見えてたから」
「間に合って良かったよ。さあ、反撃だ!」
士郎くんがボールを蹴り出した。それに続いて土方が上がる。絶好のチャンス、このカウンターは決めたい!
「なるほどね。一対二では無かったということか」
「そうこなくちゃな!」
「今度はこっちの番だよ!マリンアクセル!」
流れる水に乗ってディフェンスをすり抜け、前線で待つ二人へ思い切りボールを蹴り上げた。
「いっけえ土方!士郎くん!」
「いくぞ吹雪!」
「ああ!」
激しい雷を纏ったボールを土方が繰り出す。それに加速して追い付いた士郎くんが、渾身のボレーを叩き込んだ。火花が散って雪が舞う。真っ直ぐに突き進むシュートは、まるで獣だ。
サンダービースト。そう名付けられたシュートは、ファイアードラゴンの強固なゴールを抉じ開けた。イナズマジャパンの先制点だ!
「やったね土方!士郎くん!」
「うん!」
「ナイスパスだったぜ、美波!」
二人とハイタッチを交わしていれば、集まってきた皆が口々に称賛の言葉をかける。完成していた二人の技はチームを勢いづけてくれた。いい流れだ!
「よっしゃ!この調子でガンガン攻めようぜ!皆!」
『おう!』
追い風は間違いなく吹いてる。……でも、アフロディ達がこれで終わる訳がない。皆の調子もいいけれど、所々噛み合ってないのが気がかりだ。
「鬼道はどう思う?」
「このまま終わらせてくれる連中でないことは確かだ」
「完全なる戦術っていうのもまだだよね」
「ああ。……侮れない奴だ。気は抜くなよ」
「もちろん」
試合はまだ、始まったばかりだ。
→あとがき