第12話 豪炎寺の決意!
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モヤモヤした気持ちのままベッドに寝転がる。お腹いっぱいなのと、色々あって疲れたからか、睡魔は直ぐにやってきた。
……ちょっと早いけど、今日はもう寝よう。明日も練習はあるんだしね。おやすみなさい。
振動でフッと意識が戻ってきた。携帯が鳴ってる。誰だろう。手探りで辺りを探って見つけ出して、通話ボタンを押す。
「はーいもしもし……」
「おーおー、やっと出たな。寝てたか?」
聞こえてきた声に、あたしの意識は一気に覚醒した。
「……晴矢!?久しぶり!寝てた!今起きた!元気してた?あたしは元気!」
「次から次へと話すなよ。元気だけど」
「ヒロトもリュウジも元気にしてるよ!」
「あーはいはい分かった分かった」
ヒロトとリュウジの名前を出した途端面倒そうな声色になる晴矢。リュウジはともかく、ヒロトは今でもいけ好かない奴なのかな。
「お前ら砂木沼達と試合したんだろ?ネオジャパンってやつ」
「そうだけど晴矢が何でそれを。もしかしてメンバーに選ばれなかったから気になった?お日さま園の人達いたしね」
「ちげーよ。茂人に聞いたんだ」
「あ、なるほどね」
ネオジャパンの控えだった茂人は晴矢の幼馴染みだ。あの時はあんまり話せなかったし、またお日さま園に遊びに行きたいな。
「ま、勝ってくれて良かったわ。そうじゃなきゃ面白くねえ」
「代表賭けた試合でこっちは冷や冷やしたんだけど……」
「ここで負けたんならその時はその程度だったって話だ」
「何をお!」
冗談なのか本気なのか、けらけらと晴矢は笑う。多分からかわれてるんだろな。
続けて何か言いかけた晴矢の声が途切れた。そしてドタバタという音がした後、電話に出たのは違う声だった。
「久しぶりだな、美波」
「風介!」
「私がかけると言ったのに少し席を外した隙に先を越されるとはね」
「晴矢と一緒だったんだ。相変わらずの仲良しさんだ」
「なっ、誰がこんな奴と!」
「はあ?それはこっちのセリフだっての!」
「そういうとこだよ。リュウジに言わせれば、喧嘩する程って」
「「違う!!」」
「ほらね!」
声を揃えての否定の言葉に思わず笑うと、電話の向こうは黙り込んでしまった。睨み合ってる二人の姿が目に浮かんで少し笑う。
「まあいい。それより美波が元気そうで何よりだよ」
「うん元気!あ、風介は元気?」
「もちろん。闘志は十分と言ったところだ」
「闘志?風介達も何か試合あるの?」
「まあ、そうだ。漸くここまで来たのだからな。楽しみでしょうがないくらいさ」
「風介がそこまで言う相手か……きっと強いんだろうね。頑張って!応援してる!」
「ああ。美波が応援してくれるなら、これ以上無い程の力になる。必ず勝ってみせるさ」
「そんな大げさだよ……。でも、お互い頑張ろう!」
何故か晴矢の笑い声が聞こえてくる。一体何だって言うんだ。
「イナズマジャパンはどうだ?」
「もう決勝戦に向けてやる気満々だよ!皆調子も良くて……」
そこまで言いかけて、浮かんだのは沈んだ顔の豪炎寺。結局、お父さんとのことは聞けなかったけど……。
不自然に黙ったからか、風介が何かあったのかと聞いてくる。
「えっ……と、ちょっと本調子じゃない奴もいるからさ、試合までに調子を取り戻せたらなって」
「そうか。万全の状態で決勝に臨めるといいな。……そうでなくては面白くない」
「風介?」
「いや。試合、楽しみにしてるよ」
「えっ、もしかして見に来てくれるの?」
「スタジアムになら行く予定だ」
「じゃあ久しぶりに会えるね!応援よろしく!」
「考えておこう」
「ええ……。晴矢といいヒロトを応援するのそんなに嫌なんだ」
「別に奴は関係ない。まあ、美波のことは応援してやらなくもないな」
「風介らしいや。……絶対世界に行くから、見ててよね!」
「……ああ。そうだな」
電話を切って布団に潜り込む。風介、見に来てくれるんだ。きっと晴矢も一緒だろう。俄然やる気が湧いてきた。明日も頑張ろっ!
「なんつーか、物は言い様だな……。お前、わざとか?」
「いいサプライズになるだろう。それに、私は美波の驚く顔が見たい」
「まあ……見たいな。美波がマヌケな顔すんの。……なあ、風介」
「何だ」
「本気?」
「私はいつだって本気さ」
***
日が落ちてきてそろそろ上がろうと皆がクールダウンし始める中で、豪炎寺と虎丸は連携の練習を続けていた。
あ、今のこれまでで一番良かったな。虎丸もそう思ったのか同意を求めるけど、豪炎寺は素っ気ない態度で笑いもしない。
決まらなければ意味はない、か。確かそうかもしれないけど、ちょっとくらい喜んだり褒めたっていいのに。
二人はまだ上がらないみたいだ。頑張れと声をかけはしたものの、条兄の言う通り、特訓で怪我したら元も子もないから心配が募る。
「円堂くん、美波ちゃん」
「何だ?」
「どしたの秋」
「豪炎寺くん、何だか様子がおかしい気がしない?」
「そうなんだよなあ……凄く気合いが入ってるとは思うんだけど」
「気合いの入り方が皆と違う気がするよね」
「円堂!美波!行くぞ!」
「ん、ああ!」
「今行く!」
悩んだところで、答えを持っているのは豪炎寺だけ。それを教えてくれるかを決めるのも……豪炎寺だけだ。
練習は終わったけど、気になるものは気になる。冬花さんに用意してもらったボトルを片手に様子を見に行くと、虎丸が声を張り上げていた。
「本気にやる気あるんですか!全然集中出来てないじゃないですか!おかしいですよ!いつもの豪炎寺さんらしくない!」
「俺は集中している。お前がついてこれてないだけだ」
「そんなことありませんよ。先輩の集中力が落ちてるから連携出来ないんです」
「何!?」
これは虎丸が正しい。合ってないのは豪炎寺の方だ。それが分からないくらい、豪炎寺は目の前のことに意識を向けられてない。
……お父さんと、何があったんだろう。少なくとも、こんなにもプレーに影響が出るようなことなのは確かだ。
何かあったんですか。虎丸の問いかけに、豪炎寺は答えない。虎丸もこれ以上の追及は無駄だと思ったのか、ボールに向き直った。
豪炎寺は何を考えてるんだろう。その目はゴールを見据えてる筈なのに、何か違うものを見てるような……。
「タイガー……」
「ストームッ!!」
繰り出されるシュートはまるで炎を纏った虎だ。敵に食らいつかんと、咆哮と共にフィールドを駆け抜ける。
ビリビリッとした感覚が、ここからでも伝わってきた。ゴールポストにこそ弾かれてしまったけれど、あれは、
「シンクロ、した」
今までで一番良かった。必殺技は確実に完成に近づいてる。喜びたい。……それなのに、その筈なのに。
それ以上に、何かを決意した表情の豪炎寺に、どうしてか焦燥感をかきたてられた。
→あとがき
……ちょっと早いけど、今日はもう寝よう。明日も練習はあるんだしね。おやすみなさい。
振動でフッと意識が戻ってきた。携帯が鳴ってる。誰だろう。手探りで辺りを探って見つけ出して、通話ボタンを押す。
「はーいもしもし……」
「おーおー、やっと出たな。寝てたか?」
聞こえてきた声に、あたしの意識は一気に覚醒した。
「……晴矢!?久しぶり!寝てた!今起きた!元気してた?あたしは元気!」
「次から次へと話すなよ。元気だけど」
「ヒロトもリュウジも元気にしてるよ!」
「あーはいはい分かった分かった」
ヒロトとリュウジの名前を出した途端面倒そうな声色になる晴矢。リュウジはともかく、ヒロトは今でもいけ好かない奴なのかな。
「お前ら砂木沼達と試合したんだろ?ネオジャパンってやつ」
「そうだけど晴矢が何でそれを。もしかしてメンバーに選ばれなかったから気になった?お日さま園の人達いたしね」
「ちげーよ。茂人に聞いたんだ」
「あ、なるほどね」
ネオジャパンの控えだった茂人は晴矢の幼馴染みだ。あの時はあんまり話せなかったし、またお日さま園に遊びに行きたいな。
「ま、勝ってくれて良かったわ。そうじゃなきゃ面白くねえ」
「代表賭けた試合でこっちは冷や冷やしたんだけど……」
「ここで負けたんならその時はその程度だったって話だ」
「何をお!」
冗談なのか本気なのか、けらけらと晴矢は笑う。多分からかわれてるんだろな。
続けて何か言いかけた晴矢の声が途切れた。そしてドタバタという音がした後、電話に出たのは違う声だった。
「久しぶりだな、美波」
「風介!」
「私がかけると言ったのに少し席を外した隙に先を越されるとはね」
「晴矢と一緒だったんだ。相変わらずの仲良しさんだ」
「なっ、誰がこんな奴と!」
「はあ?それはこっちのセリフだっての!」
「そういうとこだよ。リュウジに言わせれば、喧嘩する程って」
「「違う!!」」
「ほらね!」
声を揃えての否定の言葉に思わず笑うと、電話の向こうは黙り込んでしまった。睨み合ってる二人の姿が目に浮かんで少し笑う。
「まあいい。それより美波が元気そうで何よりだよ」
「うん元気!あ、風介は元気?」
「もちろん。闘志は十分と言ったところだ」
「闘志?風介達も何か試合あるの?」
「まあ、そうだ。漸くここまで来たのだからな。楽しみでしょうがないくらいさ」
「風介がそこまで言う相手か……きっと強いんだろうね。頑張って!応援してる!」
「ああ。美波が応援してくれるなら、これ以上無い程の力になる。必ず勝ってみせるさ」
「そんな大げさだよ……。でも、お互い頑張ろう!」
何故か晴矢の笑い声が聞こえてくる。一体何だって言うんだ。
「イナズマジャパンはどうだ?」
「もう決勝戦に向けてやる気満々だよ!皆調子も良くて……」
そこまで言いかけて、浮かんだのは沈んだ顔の豪炎寺。結局、お父さんとのことは聞けなかったけど……。
不自然に黙ったからか、風介が何かあったのかと聞いてくる。
「えっ……と、ちょっと本調子じゃない奴もいるからさ、試合までに調子を取り戻せたらなって」
「そうか。万全の状態で決勝に臨めるといいな。……そうでなくては面白くない」
「風介?」
「いや。試合、楽しみにしてるよ」
「えっ、もしかして見に来てくれるの?」
「スタジアムになら行く予定だ」
「じゃあ久しぶりに会えるね!応援よろしく!」
「考えておこう」
「ええ……。晴矢といいヒロトを応援するのそんなに嫌なんだ」
「別に奴は関係ない。まあ、美波のことは応援してやらなくもないな」
「風介らしいや。……絶対世界に行くから、見ててよね!」
「……ああ。そうだな」
電話を切って布団に潜り込む。風介、見に来てくれるんだ。きっと晴矢も一緒だろう。俄然やる気が湧いてきた。明日も頑張ろっ!
「なんつーか、物は言い様だな……。お前、わざとか?」
「いいサプライズになるだろう。それに、私は美波の驚く顔が見たい」
「まあ……見たいな。美波がマヌケな顔すんの。……なあ、風介」
「何だ」
「本気?」
「私はいつだって本気さ」
***
日が落ちてきてそろそろ上がろうと皆がクールダウンし始める中で、豪炎寺と虎丸は連携の練習を続けていた。
あ、今のこれまでで一番良かったな。虎丸もそう思ったのか同意を求めるけど、豪炎寺は素っ気ない態度で笑いもしない。
決まらなければ意味はない、か。確かそうかもしれないけど、ちょっとくらい喜んだり褒めたっていいのに。
二人はまだ上がらないみたいだ。頑張れと声をかけはしたものの、条兄の言う通り、特訓で怪我したら元も子もないから心配が募る。
「円堂くん、美波ちゃん」
「何だ?」
「どしたの秋」
「豪炎寺くん、何だか様子がおかしい気がしない?」
「そうなんだよなあ……凄く気合いが入ってるとは思うんだけど」
「気合いの入り方が皆と違う気がするよね」
「円堂!美波!行くぞ!」
「ん、ああ!」
「今行く!」
悩んだところで、答えを持っているのは豪炎寺だけ。それを教えてくれるかを決めるのも……豪炎寺だけだ。
練習は終わったけど、気になるものは気になる。冬花さんに用意してもらったボトルを片手に様子を見に行くと、虎丸が声を張り上げていた。
「本気にやる気あるんですか!全然集中出来てないじゃないですか!おかしいですよ!いつもの豪炎寺さんらしくない!」
「俺は集中している。お前がついてこれてないだけだ」
「そんなことありませんよ。先輩の集中力が落ちてるから連携出来ないんです」
「何!?」
これは虎丸が正しい。合ってないのは豪炎寺の方だ。それが分からないくらい、豪炎寺は目の前のことに意識を向けられてない。
……お父さんと、何があったんだろう。少なくとも、こんなにもプレーに影響が出るようなことなのは確かだ。
何かあったんですか。虎丸の問いかけに、豪炎寺は答えない。虎丸もこれ以上の追及は無駄だと思ったのか、ボールに向き直った。
豪炎寺は何を考えてるんだろう。その目はゴールを見据えてる筈なのに、何か違うものを見てるような……。
「タイガー……」
「ストームッ!!」
繰り出されるシュートはまるで炎を纏った虎だ。敵に食らいつかんと、咆哮と共にフィールドを駆け抜ける。
ビリビリッとした感覚が、ここからでも伝わってきた。ゴールポストにこそ弾かれてしまったけれど、あれは、
「シンクロ、した」
今までで一番良かった。必殺技は確実に完成に近づいてる。喜びたい。……それなのに、その筈なのに。
それ以上に、何かを決意した表情の豪炎寺に、どうしてか焦燥感をかきたてられた。
→あとがき