第12話 豪炎寺の決意!
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今日はオフェンスとディフェンスに分かれての練習だ。決勝戦は近い。課題も多い。けれど、一つ一つやってくしかない!
「行くぞ、美波!」
「来い!荒波V2!」
「風神の舞!」
「く……うわっ!」
呼び起こした波は暴風によって押し戻されて、飛び散ってしまった。凄い突破力!
「一郎太、突破力に更に磨きがかかったね!」
「ああ!早く世界相手に試したいよ」
絶好調な一郎太は誇らしげだ。あたしも、一郎太みたいに必殺技をレベルアップさせなくちゃ。それから新しい必殺技も……。
オフェンスの方を見ると、丁度豪炎寺が爆熱スクリューを撃っていた。迎え撃つ守兄が、正義の鉄拳で跳ね返す。
迷いは吹っ切れたのか、守兄の表情は晴れやかだ。でも豪炎寺はらしくないシュートだったような……。どうしたんだろ。
「よそ見をするな!」
「ごめん!」
向かってきた鬼道がフェイントを入れてくる。左、右……そこだ!
「貰った!」
「悪くない読みだったな」
「あっ!」
ヒールリフトで跳ね上がったボールが頭上を越えていく。やられた。流石は鬼道。
「今のはやられたよ!……って、鬼道もよそ見してるじゃん」
「……いや」
返事の歯切れが悪い。思案顔な鬼道の視線の先を追うと、練習を見ている響木監督がいた。
「響木監督がどうかした?」
「少し、気になることがあってな」
「気になるなら聞けばいいじゃん」
「簡単に言ってくれる……いや、その通りだな」
頷いた鬼道が、グラウンド脇へ足を向けた。気になるのであたしも付いてくことにする。
「響木監督」
「ん?」
「質問があります。久遠監督の指導力はよく分かりました。ですが、監督ではなくコーチとして迎えても良かった筈です」
鬼道が気にしていたのは、響木監督がイナズマジャパンの監督ではなくコーチになった理由だった。
他に訳があるのでは、か。これまでの試合、久遠監督の作戦もあってあたし達は勝ち抜いてきた。でも、確かにそれはコーチでも出来る。
逆に言うと、久遠監督が代表監督なった理由は何かってことになるんだろうか。前に聞いた時はサッカーへの熱意を買ったみたいなこと言ってたけど。
そういや響木監督って、飛鷹の練習に付き合う以外に今何してんだろ。たまにいなくなるような。……ダメだ分からなくなってきた。
「いや、彼が相応しかったからだ。それに、俺には他に大事な役目がある」
「他?」
響木監督の役目は、久遠監督をサポートして、世界大会に出てくるだろう強豪選手のデータを調べることだと言う。
試合はピッチの上だけで行われるものだけではない。相手を分析して対策を立てる、それが響木監督の役目。情報戦とかそういうのだ。
小さく頷いた鬼道が一礼する。これで話は終わりらしい。
「納得した?」
「……一応は」
「してないって顔じゃん。珍しいね、そこまで食い下がるの」
「どうしても引っ掛かるんだ。他にも理由があるような気がする」
「言えない事情があるのかも?それこそ瞳子監督の時みたいにさ」
「……そうかもしれないな。今は練習に集中しよう。戻るぞ」
「おうっ!」
とはいえそれが何か気にならないって言ったら嘘になる。チームと関係あるのか、響木監督の事情なのか。
戻ると飛鷹が声をかけてきた。次はあたし飛鷹の番か。よし!……あ、そうだ!
「飛鷹はさ、響木監督のこと何か知らない?」
「響木さん?何かって何だ?」
「あたしも分からないけど鬼道が気にしてるから」
「鬼道が?……分かった。もし何かあったらその時は伝える」
「ありがとね飛鷹!」
さあ、練習再開だ!
***
昨日の豪炎寺の様子を見た虎丸の発案で、豪炎寺と虎丸で必殺技を編み出すことにしたらしい。
二人のタイガードライブと爆熱ストームを合わせた連携必殺技。これはまた強力なシュートになるに違いない!
虎が吠えて、魔神が唸る。二人分のパワーが乗ったシュートは、ゴールへ届く前に威力を無くして、逸れていった。
一から新技を作るのも大変だけど、既に使い慣れた必殺技のタイミングをピッタリ擦り合わせるのも難しい。
「タイガードライブと爆熱ストームの連携技か!」
「面白いこと始めやがったな」
「ああ。あの二つが連携したら無敵だぜ」
「だね!完成が楽しみだ!条兄の方はどう?」
「だーめだ。こう、ドーン!と落ちてくる感じにやりてえんだけど壁山となかなか合わなねえ。土方は?」
「俺達はあとちょっとってとこだな!吹雪も張り切ってるし、決勝戦はやってやるぜ!」
「大きく出たな!すっげえ必殺技、期待してるぜ!」
グラウンドでは、二人がもう一度挑戦している。あ、ちょっと良くなった!虎丸も手応えがあったのか、嬉しそうだ。
「今の、さっきよりはちょっと良かったんじゃないですか?」
「いや、全く駄目だ」
「え?」
「タイガードライブの速度が遅い。だから、俺の蹴りがトップスピードで撃てない」
対する豪炎寺は手厳しかった。妙に熱が入ってるけど、そんな全く駄目っていう程だったかなあ……。
その時、響木監督が豪炎寺を呼びにきた。理事長が呼んでるから、理事長室に行くようにと。理事長が豪炎寺を?何の話だろう。
暫くして帰ってきた豪炎寺は、少し暗くて硬い雰囲気をしていた。元気なさそうで、なんだか心配になってくる。
けれど、豪炎寺は何でもないだのそんなことないだの言うばかり。こうなったら、今はもう答えてはくれないだろうな。
「さ、予選決勝は間近なんだ。練習に戻ろう」
「ああ」
「頑張ってください!」
一郎太の呼び掛けで、あたし達はグラウンドへ戻った。
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「行くぞ、美波!」
「来い!荒波V2!」
「風神の舞!」
「く……うわっ!」
呼び起こした波は暴風によって押し戻されて、飛び散ってしまった。凄い突破力!
「一郎太、突破力に更に磨きがかかったね!」
「ああ!早く世界相手に試したいよ」
絶好調な一郎太は誇らしげだ。あたしも、一郎太みたいに必殺技をレベルアップさせなくちゃ。それから新しい必殺技も……。
オフェンスの方を見ると、丁度豪炎寺が爆熱スクリューを撃っていた。迎え撃つ守兄が、正義の鉄拳で跳ね返す。
迷いは吹っ切れたのか、守兄の表情は晴れやかだ。でも豪炎寺はらしくないシュートだったような……。どうしたんだろ。
「よそ見をするな!」
「ごめん!」
向かってきた鬼道がフェイントを入れてくる。左、右……そこだ!
「貰った!」
「悪くない読みだったな」
「あっ!」
ヒールリフトで跳ね上がったボールが頭上を越えていく。やられた。流石は鬼道。
「今のはやられたよ!……って、鬼道もよそ見してるじゃん」
「……いや」
返事の歯切れが悪い。思案顔な鬼道の視線の先を追うと、練習を見ている響木監督がいた。
「響木監督がどうかした?」
「少し、気になることがあってな」
「気になるなら聞けばいいじゃん」
「簡単に言ってくれる……いや、その通りだな」
頷いた鬼道が、グラウンド脇へ足を向けた。気になるのであたしも付いてくことにする。
「響木監督」
「ん?」
「質問があります。久遠監督の指導力はよく分かりました。ですが、監督ではなくコーチとして迎えても良かった筈です」
鬼道が気にしていたのは、響木監督がイナズマジャパンの監督ではなくコーチになった理由だった。
他に訳があるのでは、か。これまでの試合、久遠監督の作戦もあってあたし達は勝ち抜いてきた。でも、確かにそれはコーチでも出来る。
逆に言うと、久遠監督が代表監督なった理由は何かってことになるんだろうか。前に聞いた時はサッカーへの熱意を買ったみたいなこと言ってたけど。
そういや響木監督って、飛鷹の練習に付き合う以外に今何してんだろ。たまにいなくなるような。……ダメだ分からなくなってきた。
「いや、彼が相応しかったからだ。それに、俺には他に大事な役目がある」
「他?」
響木監督の役目は、久遠監督をサポートして、世界大会に出てくるだろう強豪選手のデータを調べることだと言う。
試合はピッチの上だけで行われるものだけではない。相手を分析して対策を立てる、それが響木監督の役目。情報戦とかそういうのだ。
小さく頷いた鬼道が一礼する。これで話は終わりらしい。
「納得した?」
「……一応は」
「してないって顔じゃん。珍しいね、そこまで食い下がるの」
「どうしても引っ掛かるんだ。他にも理由があるような気がする」
「言えない事情があるのかも?それこそ瞳子監督の時みたいにさ」
「……そうかもしれないな。今は練習に集中しよう。戻るぞ」
「おうっ!」
とはいえそれが何か気にならないって言ったら嘘になる。チームと関係あるのか、響木監督の事情なのか。
戻ると飛鷹が声をかけてきた。次はあたし飛鷹の番か。よし!……あ、そうだ!
「飛鷹はさ、響木監督のこと何か知らない?」
「響木さん?何かって何だ?」
「あたしも分からないけど鬼道が気にしてるから」
「鬼道が?……分かった。もし何かあったらその時は伝える」
「ありがとね飛鷹!」
さあ、練習再開だ!
***
昨日の豪炎寺の様子を見た虎丸の発案で、豪炎寺と虎丸で必殺技を編み出すことにしたらしい。
二人のタイガードライブと爆熱ストームを合わせた連携必殺技。これはまた強力なシュートになるに違いない!
虎が吠えて、魔神が唸る。二人分のパワーが乗ったシュートは、ゴールへ届く前に威力を無くして、逸れていった。
一から新技を作るのも大変だけど、既に使い慣れた必殺技のタイミングをピッタリ擦り合わせるのも難しい。
「タイガードライブと爆熱ストームの連携技か!」
「面白いこと始めやがったな」
「ああ。あの二つが連携したら無敵だぜ」
「だね!完成が楽しみだ!条兄の方はどう?」
「だーめだ。こう、ドーン!と落ちてくる感じにやりてえんだけど壁山となかなか合わなねえ。土方は?」
「俺達はあとちょっとってとこだな!吹雪も張り切ってるし、決勝戦はやってやるぜ!」
「大きく出たな!すっげえ必殺技、期待してるぜ!」
グラウンドでは、二人がもう一度挑戦している。あ、ちょっと良くなった!虎丸も手応えがあったのか、嬉しそうだ。
「今の、さっきよりはちょっと良かったんじゃないですか?」
「いや、全く駄目だ」
「え?」
「タイガードライブの速度が遅い。だから、俺の蹴りがトップスピードで撃てない」
対する豪炎寺は手厳しかった。妙に熱が入ってるけど、そんな全く駄目っていう程だったかなあ……。
その時、響木監督が豪炎寺を呼びにきた。理事長が呼んでるから、理事長室に行くようにと。理事長が豪炎寺を?何の話だろう。
暫くして帰ってきた豪炎寺は、少し暗くて硬い雰囲気をしていた。元気なさそうで、なんだか心配になってくる。
けれど、豪炎寺は何でもないだのそんなことないだの言うばかり。こうなったら、今はもう答えてはくれないだろうな。
「さ、予選決勝は間近なんだ。練習に戻ろう」
「ああ」
「頑張ってください!」
一郎太の呼び掛けで、あたし達はグラウンドへ戻った。
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