第11話 冬花の究極奥義大作戦!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「げっ、秋葉名戸学園!」
そうだった。この通りにはあのメイド喫茶もあったんだった。準決勝、強制的にメイド服に着替えさせられたのは、あまり思い出したくない記憶だ。
「行こうヒロト、あれに関わっちゃダメだ」
「まあまあそう言わずに!うん?もしや……失礼、お邪魔だったね!」
「君たちもそれかよ」
今日これで3回目だ。皆浮いた話が好きらしい。視線を行ったり来たりさせて不思議そうなヒロトに説明する。
「フットボールフロンティアの地区予選で戦った学校の選手」
「彼らが……?」
ちょっと驚いたような顔をするヒロト。分かるよ、あたしも偵察にここに来た時は開いた口が塞がらなかった。
目金が呪文みたいなメニューをすらすら読み上げていたのは、妙に記憶に残っている。守兄も染岡もたじたじで、一郎太は固まってたたっけ。
「我が秋葉名戸ではマネージャーはメイド服着用が義務でしてね。円堂さんも着られたんですよ」
「あたしはマネージャーじゃなかったのに……」
「なかなか似合っていたよ」
「嬉しくない全然嬉しくない」
もう二度と着たくないし着ない。なっちゃんも呆然としてたし。
「あの時は選手だというのを信じなかったのはすまなかった」
「今度は君ともサッカーをしたいと思ってるよ」
「え、大会優勝の副賞の遠征目当でだったんじゃなかったっけ。フィギュアがどうとか」
「いやあ、我々もすっかりサッカーにハマってしまってね。オタク活動の傍ら続けているのだよ」
「えっ、そうなの!?」
これは驚いた。でもきっかけは何だっていい。サッカーを好きになってくれたなら、それは凄く嬉しい!
「じゃあまたサッカーしよ!練習試合!今度組もうね!」
「もちろん。やるからには勝たせて貰うよ」
「へへっ、日本一の胸を貸してやるんだから!」
漫画のキャラのモデルにしたいという話はスルーして別れる。メイド喫茶が見えなくなった頃、さっきから黙っていたヒロトがやっと話し出した。
「なんというか……個性的だったね」
「あはは、そうかも。野生中はその名の通り野生!って感じだったし、御影はサッカーサイボーグとか言われてたりしてさ」
「戦国伊賀島は忍者の末裔なんだってね」
「へー、ヒロトも見てたんだ!」
「……フットボールフロンティアは強い学校が集まる。戦う相手の選別には丁度良かった。特に快進撃を続ける雷門中は、俺たちの研究対象でもあったから」
一瞬何のことかと思ったけど、直ぐに思い当たった。エイリア学園だ。あたし達が、敵対していた頃の話。
「……珍しいね、ヒロトがエイリア学園の時のこと話すの」
「そうかな」
「リュウジの時とか、ヒロトはもうそんなに気にしてないのかと思ってたけど、そうでもない?」
「……まあ、そうだね」
ヒロトの横顔からは感情が読めない。失敗した、ような気がする。どうもさっきから変な空気になってしまって、上手くいかない。
「俺達がやったことが、誰かを傷つけたのは分かってる。沢山の人を苦しめた。それでも俺は、父さんの望みを叶えたかった」
「吉良さんが、好きだから?」
「……うん。たとえ世間から非難されても、罵られても、俺にとっては大事な父さんだったんだ」
前に一之瀬と話したことがある。親愛、友愛、それから……恋愛。好きの形には色々あって、複雑なんだって。
ヒロトは吉良さんが好きで、大切で、だから応えたかった。その為なら、たとえ自分や誰かが傷つくとしても、何だってするってくらいに。
……好きって難しいと思う。もし、あたしだったら。あたしは大切な誰かの為に、例えば守兄の為に、ヒロト程のことが出来るだろうか。それとも……。
ヒロトは視線を真っ直ぐ前に向けてるけど、その目は何も見ていないような気がした。それが凄く寂しくて、笑って欲しくて、思い付く。
「そうだ!あたしの一番のお気に入りの場所、行こう!」
.
そうだった。この通りにはあのメイド喫茶もあったんだった。準決勝、強制的にメイド服に着替えさせられたのは、あまり思い出したくない記憶だ。
「行こうヒロト、あれに関わっちゃダメだ」
「まあまあそう言わずに!うん?もしや……失礼、お邪魔だったね!」
「君たちもそれかよ」
今日これで3回目だ。皆浮いた話が好きらしい。視線を行ったり来たりさせて不思議そうなヒロトに説明する。
「フットボールフロンティアの地区予選で戦った学校の選手」
「彼らが……?」
ちょっと驚いたような顔をするヒロト。分かるよ、あたしも偵察にここに来た時は開いた口が塞がらなかった。
目金が呪文みたいなメニューをすらすら読み上げていたのは、妙に記憶に残っている。守兄も染岡もたじたじで、一郎太は固まってたたっけ。
「我が秋葉名戸ではマネージャーはメイド服着用が義務でしてね。円堂さんも着られたんですよ」
「あたしはマネージャーじゃなかったのに……」
「なかなか似合っていたよ」
「嬉しくない全然嬉しくない」
もう二度と着たくないし着ない。なっちゃんも呆然としてたし。
「あの時は選手だというのを信じなかったのはすまなかった」
「今度は君ともサッカーをしたいと思ってるよ」
「え、大会優勝の副賞の遠征目当でだったんじゃなかったっけ。フィギュアがどうとか」
「いやあ、我々もすっかりサッカーにハマってしまってね。オタク活動の傍ら続けているのだよ」
「えっ、そうなの!?」
これは驚いた。でもきっかけは何だっていい。サッカーを好きになってくれたなら、それは凄く嬉しい!
「じゃあまたサッカーしよ!練習試合!今度組もうね!」
「もちろん。やるからには勝たせて貰うよ」
「へへっ、日本一の胸を貸してやるんだから!」
漫画のキャラのモデルにしたいという話はスルーして別れる。メイド喫茶が見えなくなった頃、さっきから黙っていたヒロトがやっと話し出した。
「なんというか……個性的だったね」
「あはは、そうかも。野生中はその名の通り野生!って感じだったし、御影はサッカーサイボーグとか言われてたりしてさ」
「戦国伊賀島は忍者の末裔なんだってね」
「へー、ヒロトも見てたんだ!」
「……フットボールフロンティアは強い学校が集まる。戦う相手の選別には丁度良かった。特に快進撃を続ける雷門中は、俺たちの研究対象でもあったから」
一瞬何のことかと思ったけど、直ぐに思い当たった。エイリア学園だ。あたし達が、敵対していた頃の話。
「……珍しいね、ヒロトがエイリア学園の時のこと話すの」
「そうかな」
「リュウジの時とか、ヒロトはもうそんなに気にしてないのかと思ってたけど、そうでもない?」
「……まあ、そうだね」
ヒロトの横顔からは感情が読めない。失敗した、ような気がする。どうもさっきから変な空気になってしまって、上手くいかない。
「俺達がやったことが、誰かを傷つけたのは分かってる。沢山の人を苦しめた。それでも俺は、父さんの望みを叶えたかった」
「吉良さんが、好きだから?」
「……うん。たとえ世間から非難されても、罵られても、俺にとっては大事な父さんだったんだ」
前に一之瀬と話したことがある。親愛、友愛、それから……恋愛。好きの形には色々あって、複雑なんだって。
ヒロトは吉良さんが好きで、大切で、だから応えたかった。その為なら、たとえ自分や誰かが傷つくとしても、何だってするってくらいに。
……好きって難しいと思う。もし、あたしだったら。あたしは大切な誰かの為に、例えば守兄の為に、ヒロト程のことが出来るだろうか。それとも……。
ヒロトは視線を真っ直ぐ前に向けてるけど、その目は何も見ていないような気がした。それが凄く寂しくて、笑って欲しくて、思い付く。
「そうだ!あたしの一番のお気に入りの場所、行こう!」
.