第11話 冬花の究極奥義大作戦!
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「あ、美波ちゃんだ!」
「まこ!久しぶりだね!」
ヒロトを連れてやってきたのは駄菓子屋だ。そして店内にいたのは稲妻KFCの皆だった。暫くぶりだけど、元気いっぱいで何より!そうだ、ヒロトにも紹介しないと。
「稲妻KFCの皆ね。グラウンド使えなかった頃は、よく河川敷で一緒に練習してたんだ」
染岡も半田もやる気が全然無かった頃はお世話になったもんだ。そんなまこ達の視線がヒロトに向けられる。
「紹介するよ、って言っても試合見てくれてたら分かるか」
「うん、知ってる。基山選手でしょ!カタール戦で得点してた!」
凄かった、決勝戦も楽しみだと口々に言われる。こうして直接応援してもらえると気合い入るな!息抜きして正解だった!
「円堂ちゃんはいないの?」
「うん。今日はあたしとヒロトだけ」
「二人っきりってことは……」
「もしかしてデート?」
「で、デートって……違うよ」
「本当に?」
疑り深い目で見てくるKFCの皆。恋愛事に興味津々なお年頃ってやつだろうけど、期待に応えられそうにはない。……リカが言ってたのは忘れることにする。
でも下手に答えるとまた変に冷やかされてしまうかもしれない。どう答えようか迷ってると、ヒロトが助け船を出してくれた。
「美波ちゃんには稲妻町を案内してもらってたんだ」
「そうそう!だからそういうんじゃないの!」
ふう……今時の小学生はおませさんだな……。
「ふーん。じゃあ風丸ちゃんは?吹雪選手は?」
「何でその二人」
「円堂ちゃんが言ってた」
「守兄……!」
何を話したのかは分からないけど、あたしの知らないところで良からぬことが起きているのは間違いない。だって、二人は……。
「それにあたし、雷門中での試合すぐそばで見てたよ?」
「試合って……?」
「3ヶ月前のやつ」
「えっ……わあーーー!?」
3ヶ月前、雷門中であった試合。多分それは、ダークエンペラーズ戦のことだ。あの時校門前には沢山の人が来てたけど、まこもいたんだ……!
あの時一郎太に言われた言葉が蘇ってきて、じわじわと顔が熱くなる。こうして人に見られてたのを改めて実感すると、なんか、恥ずかしさがある!
状況は状況ではあったけど、一郎太の気持ちは紛れもなく本物だった訳で。……それはちゃんと理解してるつもりだ。
結局返事はしないまま。あれから3ヶ月経って、今は日本代表チーム。
こうなっては暗黙の了解というやつで、お互い今はサッカーに集中することにしてるけど、全く意識してないといったら嘘になる。昨日もそうだ。
「風丸ちゃんはいくらでも待ってくれると思うよ、慣れてるから」
「……そうだね」
待たせている自覚はある。本当は、合宿中にそれっぽい雰囲気になったことも何回かある。
実のところ、あの3ヶ月の間に何度か、ちゃんと返事をしなければとやろうとした。その度に一郎太は苦笑して止めた。
今の美波が出す答えなんて分かりきってるから、まだ返事はしなくていいと。
急かして慌てさせて、無理に出した答えじゃ俺が納得出来ない。告白して、意識してもらえるようになって、やっとスタートラインに立てたんだと。
……そう言われてしまえば、もう何も言えなくて。
沢山悩んでくれと、それでちょっとでも俺のことを考える時間が増えたら嬉しいと、一郎太は言っていた。
「進みたいけど進みたくないのは美波ちゃんも風丸ちゃんも一緒だね」
「……まこってどこまで知ってるの」
「美波ちゃんが本当は分かってたのはなんとなく」
「……そっか」
ヒロトの方を窺うと、面白そうに商品棚を眺めていた。良かった、ヒロトには聞かれてないみたいだ。
「美波ー!飴くじで勝負しようぜ!」
「あっうん!竜介呼んでるからちょっと行ってくるね」
この話はここでおしまいにしよう。
ヒロトが駄菓子屋に来るのは初めてのことだ。美波から、以前豪炎寺や鬼道と来た時二人も初めてだったと聞きはしたが、確かに今時駄菓子屋は珍しい。
見る物どれもが物珍しく感じ視線をあちらこちらへ向けていると、「ねえ」と呼び掛けられた。ヒロトが声の方を向くと、まこが見上げていた。
「基山選手も大変だね」
「そう見えるかい?」
「うん。基山選手は言わないの?」
「……俺は、今美波ちゃんとサッカーが出来るだけで十分だから」
「ふーん……そうなんだ」
納得いったのかいっていないのか、ジトリとした視線を苦笑でかわしつつ、ヒロトは先程耳に入って来た言葉を、小さく呟き口の中で転がす。
進みたいけど進みたくない。曖昧な言葉だが、それが何を意味するかを、ヒロトは察していた。
いつまでも変わらずにはいられない。関係性が進展する可能性を思えば進みたい。
望む通りにならなかった場合を考えると進みたくない。このままでいられないのが怖い。
ならヒロトはどちらか。自分の想いは分不相応であり高望みだ。彼女が笑っていられるなら、何だっていいのだ。
つまるところ、後者だった。
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「まこ!久しぶりだね!」
ヒロトを連れてやってきたのは駄菓子屋だ。そして店内にいたのは稲妻KFCの皆だった。暫くぶりだけど、元気いっぱいで何より!そうだ、ヒロトにも紹介しないと。
「稲妻KFCの皆ね。グラウンド使えなかった頃は、よく河川敷で一緒に練習してたんだ」
染岡も半田もやる気が全然無かった頃はお世話になったもんだ。そんなまこ達の視線がヒロトに向けられる。
「紹介するよ、って言っても試合見てくれてたら分かるか」
「うん、知ってる。基山選手でしょ!カタール戦で得点してた!」
凄かった、決勝戦も楽しみだと口々に言われる。こうして直接応援してもらえると気合い入るな!息抜きして正解だった!
「円堂ちゃんはいないの?」
「うん。今日はあたしとヒロトだけ」
「二人っきりってことは……」
「もしかしてデート?」
「で、デートって……違うよ」
「本当に?」
疑り深い目で見てくるKFCの皆。恋愛事に興味津々なお年頃ってやつだろうけど、期待に応えられそうにはない。……リカが言ってたのは忘れることにする。
でも下手に答えるとまた変に冷やかされてしまうかもしれない。どう答えようか迷ってると、ヒロトが助け船を出してくれた。
「美波ちゃんには稲妻町を案内してもらってたんだ」
「そうそう!だからそういうんじゃないの!」
ふう……今時の小学生はおませさんだな……。
「ふーん。じゃあ風丸ちゃんは?吹雪選手は?」
「何でその二人」
「円堂ちゃんが言ってた」
「守兄……!」
何を話したのかは分からないけど、あたしの知らないところで良からぬことが起きているのは間違いない。だって、二人は……。
「それにあたし、雷門中での試合すぐそばで見てたよ?」
「試合って……?」
「3ヶ月前のやつ」
「えっ……わあーーー!?」
3ヶ月前、雷門中であった試合。多分それは、ダークエンペラーズ戦のことだ。あの時校門前には沢山の人が来てたけど、まこもいたんだ……!
あの時一郎太に言われた言葉が蘇ってきて、じわじわと顔が熱くなる。こうして人に見られてたのを改めて実感すると、なんか、恥ずかしさがある!
状況は状況ではあったけど、一郎太の気持ちは紛れもなく本物だった訳で。……それはちゃんと理解してるつもりだ。
結局返事はしないまま。あれから3ヶ月経って、今は日本代表チーム。
こうなっては暗黙の了解というやつで、お互い今はサッカーに集中することにしてるけど、全く意識してないといったら嘘になる。昨日もそうだ。
「風丸ちゃんはいくらでも待ってくれると思うよ、慣れてるから」
「……そうだね」
待たせている自覚はある。本当は、合宿中にそれっぽい雰囲気になったことも何回かある。
実のところ、あの3ヶ月の間に何度か、ちゃんと返事をしなければとやろうとした。その度に一郎太は苦笑して止めた。
今の美波が出す答えなんて分かりきってるから、まだ返事はしなくていいと。
急かして慌てさせて、無理に出した答えじゃ俺が納得出来ない。告白して、意識してもらえるようになって、やっとスタートラインに立てたんだと。
……そう言われてしまえば、もう何も言えなくて。
沢山悩んでくれと、それでちょっとでも俺のことを考える時間が増えたら嬉しいと、一郎太は言っていた。
「進みたいけど進みたくないのは美波ちゃんも風丸ちゃんも一緒だね」
「……まこってどこまで知ってるの」
「美波ちゃんが本当は分かってたのはなんとなく」
「……そっか」
ヒロトの方を窺うと、面白そうに商品棚を眺めていた。良かった、ヒロトには聞かれてないみたいだ。
「美波ー!飴くじで勝負しようぜ!」
「あっうん!竜介呼んでるからちょっと行ってくるね」
この話はここでおしまいにしよう。
ヒロトが駄菓子屋に来るのは初めてのことだ。美波から、以前豪炎寺や鬼道と来た時二人も初めてだったと聞きはしたが、確かに今時駄菓子屋は珍しい。
見る物どれもが物珍しく感じ視線をあちらこちらへ向けていると、「ねえ」と呼び掛けられた。ヒロトが声の方を向くと、まこが見上げていた。
「基山選手も大変だね」
「そう見えるかい?」
「うん。基山選手は言わないの?」
「……俺は、今美波ちゃんとサッカーが出来るだけで十分だから」
「ふーん……そうなんだ」
納得いったのかいっていないのか、ジトリとした視線を苦笑でかわしつつ、ヒロトは先程耳に入って来た言葉を、小さく呟き口の中で転がす。
進みたいけど進みたくない。曖昧な言葉だが、それが何を意味するかを、ヒロトは察していた。
いつまでも変わらずにはいられない。関係性が進展する可能性を思えば進みたい。
望む通りにならなかった場合を考えると進みたくない。このままでいられないのが怖い。
ならヒロトはどちらか。自分の想いは分不相応であり高望みだ。彼女が笑っていられるなら、何だっていいのだ。
つまるところ、後者だった。
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