第9話 代表交代!?最強の挑戦者たち!!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ただ棒立ちになってるあたしをよそに、俺はそうは思わないと、ヒロトは穏やかに笑った。
「エイリア学園が無くなって、皆サッカーが楽しめるようになってから、お前のサッカーは変わったんじゃないか?」
「俺のサッカー……」
「ジェミニストームにいた時は、どこか無理をしているようなところがあったけど、エイリア学園が無くなってからは心からサッカーを楽しんでいた」
無心でボールを追いかけて、何度転んでも立ち上がって。上のランクだった人達とも、互角に戦えるようになったリュウジ。
そして今は、日本代表に選ばれてここにいる。……選ばれた、か。
「大丈夫さ、緑川なら。少しは信じろよ、自分のサッカーをさ」
「……うん!」
「よし、じゃあもう一度だ!」
「ああ!」
ヒロトが蹴ったボールをトラップしたリュウジが笑う。きっともう大丈夫だ。
宿舎の方を見ると、心配そうに見ている守兄がいた。大丈夫の意味を込めてサムアップすると、守兄は安心したように笑った。
「ごめんな美波、こんな話聞かせちゃって」
「え、あたし?ううん。逆になんかちょっと安心した」
「安心した?」
「うん。リュウジもヒロトも、今はサッカーを楽しめてて本当に良かったなって。……もしかしたら止めちゃうかもって思ってた」
「……まあ、ね。それを考えたことは無いって言ったら嘘になるよ。ボールを見るのも辛い時だってあったから」
「リュウジ……」
「それでもやっぱりボールを蹴らずにはいられなかった」
楽しかったのを忘れるなんて出来なかった。そう言ってボールを見下ろすリュウジから、サッカーへの思いが伝わってくる。
多分その気持ちは、全てのサッカープレイヤーの原動力だ。
「……あたし多分、リュウジの気持ちなんとなく分かると思う」
「え……」
「特別枠で選ばれたけど、あたしもまだまだだから。チームの力になれてるのかなって、いつ外されるか分からなくて、正直怖い」
「美波……」
「……うん、だからあたしも練習付き合う!あたしに出来ることなら何でも言って!仲間なんだから!」
「じゃあ、ドリブル以外にも考えてるのがあって、シュートなんだけど……」
「よっし分かった!あたしがブロックするから撃ってみてよ!ヒロトはアドバイスよろしく!」
「ああ!」
「行くぞ、美波!」
「来い、リュウジ!」
それからは、明日も練習なのを忘れて、三人でひたすらにボールを蹴った。
ああでもない、こうでもないと言い合っては、実力を高める。そうだ。仲間として、ライバルとして、こうしてサッカー出来たらって、ずっと思ってた。
持ってきたドリンクが空っぽになった頃、ふっと緊張が切れて、強烈な眠気が襲ってきた。凄い疲れた。今何時だろう。
我慢出来ずに欠伸したら、伝染したのかヒロトとリュウジも口元に手をやって欠伸を噛み殺す。
「明日もあるし、そろそろ切り上げよう」
「うん、二人もお疲れ様。早く寝たい……」
「お疲れ。寝るにはすっかり泥だらけになっちゃったな」
「……もうガス止めてるだろうし朝一でシャワー浴びる」
「木野あたりに怒られそう」
「バレないように早起きする。早起きは三文の徳だもんね」
「寝る子は育つとも言うけどね」
「けどもう俺達、揃って夜更かししてるよ」
「それはそうだ。美波、汗と泥くらいは拭いとけよ」
「風邪引かないようにね」
「分かってるって!というか何であたしばっかり!」
「まあまあ」
話しながら手を動かしては片付けをしていく。コーンを抱えたリュウジが、挑発するように笑って「競争だ!」と言うなり倉庫の方へ走り出した。
負けたくなくてサッカーボールが入った籠を引っ張って走る。……駄目だ、走りにくい。遅れて倉庫に着くと、リュウジは得意気にピースサインをした。
「俺の勝ち!」
「ずるい!あたしは籠だったのに!」
「はいはい負け惜しみー」
「じゃあ今度は先にグラウンドに戻った方が勝ちよーいドン!」
「あっ、フライング!」
「早い者勝ち!」
こうなったら言った者勝ちだ。グラウンド目指して、抜きつ抜かれつ全力で走る。くたくただけど、無性に走りたい気分!
グラウンドではヒロトがローラーを済ませていた。流石はヒロト、手際がいい。手を振って合図すると、ヒロトは眩しそうに目を細めた。
「あたしの勝ち!っと、どうしたのヒロト」
「いや……仲間って凄いんだなって改めて思ったんだ」
「え?」
「仲間がいればパワーは何倍にもなる。円堂くんと美波ちゃんが、雷門が教えてくれたことだ」
「あたしも、こうしてヒロトやリュウジと仲間としてサッカーが出来て嬉しい!」
「俺もだよ。皆とならどこまでだって、それこそ世界にも行けるって信じられるんだ」
「その信頼に応える為に、更にパワーが湧いてきちゃうんだよね。頑張ろうって思える!」
「あー……それ分かるかも」
信頼というか期待というか。言葉を濁すリュウジに、苦笑するヒロト。多分、またあたしには分からないことだ。
「思いに応えたいのは誰だってそうだよ。皆そう!」
「……そうだね。皆の為に、自分の為に、思いを背負って戦う。それが今の俺達、日本代表だ」
「だな。明日も頑張ろう!」
宿舎の方へ二人が歩き出す。その背中に、あたしは呼び掛けた。
「あのさヒロト、リュウジ」
「ん?」
「なんだい?」
「サッカー好き?」
そう聞けば、顔を見合わせた二人は、声を合わせて笑顔で答えてくれた。
「「大好きさ!」」
.
「エイリア学園が無くなって、皆サッカーが楽しめるようになってから、お前のサッカーは変わったんじゃないか?」
「俺のサッカー……」
「ジェミニストームにいた時は、どこか無理をしているようなところがあったけど、エイリア学園が無くなってからは心からサッカーを楽しんでいた」
無心でボールを追いかけて、何度転んでも立ち上がって。上のランクだった人達とも、互角に戦えるようになったリュウジ。
そして今は、日本代表に選ばれてここにいる。……選ばれた、か。
「大丈夫さ、緑川なら。少しは信じろよ、自分のサッカーをさ」
「……うん!」
「よし、じゃあもう一度だ!」
「ああ!」
ヒロトが蹴ったボールをトラップしたリュウジが笑う。きっともう大丈夫だ。
宿舎の方を見ると、心配そうに見ている守兄がいた。大丈夫の意味を込めてサムアップすると、守兄は安心したように笑った。
「ごめんな美波、こんな話聞かせちゃって」
「え、あたし?ううん。逆になんかちょっと安心した」
「安心した?」
「うん。リュウジもヒロトも、今はサッカーを楽しめてて本当に良かったなって。……もしかしたら止めちゃうかもって思ってた」
「……まあ、ね。それを考えたことは無いって言ったら嘘になるよ。ボールを見るのも辛い時だってあったから」
「リュウジ……」
「それでもやっぱりボールを蹴らずにはいられなかった」
楽しかったのを忘れるなんて出来なかった。そう言ってボールを見下ろすリュウジから、サッカーへの思いが伝わってくる。
多分その気持ちは、全てのサッカープレイヤーの原動力だ。
「……あたし多分、リュウジの気持ちなんとなく分かると思う」
「え……」
「特別枠で選ばれたけど、あたしもまだまだだから。チームの力になれてるのかなって、いつ外されるか分からなくて、正直怖い」
「美波……」
「……うん、だからあたしも練習付き合う!あたしに出来ることなら何でも言って!仲間なんだから!」
「じゃあ、ドリブル以外にも考えてるのがあって、シュートなんだけど……」
「よっし分かった!あたしがブロックするから撃ってみてよ!ヒロトはアドバイスよろしく!」
「ああ!」
「行くぞ、美波!」
「来い、リュウジ!」
それからは、明日も練習なのを忘れて、三人でひたすらにボールを蹴った。
ああでもない、こうでもないと言い合っては、実力を高める。そうだ。仲間として、ライバルとして、こうしてサッカー出来たらって、ずっと思ってた。
持ってきたドリンクが空っぽになった頃、ふっと緊張が切れて、強烈な眠気が襲ってきた。凄い疲れた。今何時だろう。
我慢出来ずに欠伸したら、伝染したのかヒロトとリュウジも口元に手をやって欠伸を噛み殺す。
「明日もあるし、そろそろ切り上げよう」
「うん、二人もお疲れ様。早く寝たい……」
「お疲れ。寝るにはすっかり泥だらけになっちゃったな」
「……もうガス止めてるだろうし朝一でシャワー浴びる」
「木野あたりに怒られそう」
「バレないように早起きする。早起きは三文の徳だもんね」
「寝る子は育つとも言うけどね」
「けどもう俺達、揃って夜更かししてるよ」
「それはそうだ。美波、汗と泥くらいは拭いとけよ」
「風邪引かないようにね」
「分かってるって!というか何であたしばっかり!」
「まあまあ」
話しながら手を動かしては片付けをしていく。コーンを抱えたリュウジが、挑発するように笑って「競争だ!」と言うなり倉庫の方へ走り出した。
負けたくなくてサッカーボールが入った籠を引っ張って走る。……駄目だ、走りにくい。遅れて倉庫に着くと、リュウジは得意気にピースサインをした。
「俺の勝ち!」
「ずるい!あたしは籠だったのに!」
「はいはい負け惜しみー」
「じゃあ今度は先にグラウンドに戻った方が勝ちよーいドン!」
「あっ、フライング!」
「早い者勝ち!」
こうなったら言った者勝ちだ。グラウンド目指して、抜きつ抜かれつ全力で走る。くたくただけど、無性に走りたい気分!
グラウンドではヒロトがローラーを済ませていた。流石はヒロト、手際がいい。手を振って合図すると、ヒロトは眩しそうに目を細めた。
「あたしの勝ち!っと、どうしたのヒロト」
「いや……仲間って凄いんだなって改めて思ったんだ」
「え?」
「仲間がいればパワーは何倍にもなる。円堂くんと美波ちゃんが、雷門が教えてくれたことだ」
「あたしも、こうしてヒロトやリュウジと仲間としてサッカーが出来て嬉しい!」
「俺もだよ。皆とならどこまでだって、それこそ世界にも行けるって信じられるんだ」
「その信頼に応える為に、更にパワーが湧いてきちゃうんだよね。頑張ろうって思える!」
「あー……それ分かるかも」
信頼というか期待というか。言葉を濁すリュウジに、苦笑するヒロト。多分、またあたしには分からないことだ。
「思いに応えたいのは誰だってそうだよ。皆そう!」
「……そうだね。皆の為に、自分の為に、思いを背負って戦う。それが今の俺達、日本代表だ」
「だな。明日も頑張ろう!」
宿舎の方へ二人が歩き出す。その背中に、あたしは呼び掛けた。
「あのさヒロト、リュウジ」
「ん?」
「なんだい?」
「サッカー好き?」
そう聞けば、顔を見合わせた二人は、声を合わせて笑顔で答えてくれた。
「「大好きさ!」」
.